バレンタインのキセキ

佐々蔵翔人

プロローグ

「はぁ、はぁ、何とか電車に乗れた」

私の名前は中田恵凛那(なかたえりな)、今日は夢にまでみた東京の私立北本学園高校の入学式がある。中学校時代、電車で北本学園高校の水色のセーラー服を着て歩く生徒の姿を見てこのかわいい制服を着たいと思っていた。

小学生の時、中学受験をしたが合格できず公立の中学校に通った。中学校ではバスケ部に所属し引退後は友達とも遊ばず偏差値60の北本学園高校に入学するために必死に勉強をした。

それなのに朝は寝坊をして本来乗るはずの電車に乗れず次の電車にも駆け込み乗車することになった。

私ってどうしてこんなにおっちょこちょいなのかな。電車に揺られること30分、最寄駅の北本駅に着くと大勢の人が降りて階段に人が密集していた。

私は人の流れに押されるまま階段を降りていると躓(つまず)いて顔面直撃を覚悟していた。すると次の瞬間、背の高い男子高校生が私を受け止めてくれた。私は彼にすみません、ありがとうございます。

彼は私にこの時間は人が多いから気をつけるようにねと言った。あれ、もしかして北本学園の子?

私はそうです。今日からこの制服に着て北本学園に通うことになりました。

そっか、じゃあ一緒だね。俺の名前は佐藤元信(さとうもとのぶ)3年生よろしくね。私の名前は中田恵凛那と言います。よろしくお願いします。

元信は近道があるよ、こっちこっちと私を手招きをして言われるがままついて行った。 入学式1週間前、1度駅から学校まで歩いた時は約20分かかった。

この日元信と共に歩いていくと駅から学校まで10分と半分の時間で着いて驚いた。

元信はまた学校や電車で会えたらいいね、恵凛那ちゃん。その瞬間私は覚えててくれたんだ、嬉しい。

私は北本学園高校の校門をくぐり窓に貼られているクラス名簿を見て 1年A組と書かれていた。

同じ中学からは誰もおらず皆と馴染めるか心配で仕方なかった。私はひとまず体育館に向かいパイプ椅子に座った。そして時間となり入学式が始まった。

校歌が体育館に響き渡り入学生代表が言葉を述べて入学式が終わり教室に向かった。

私は近くにいる女子たちに中田恵凛那よろしくねと挨拶をした。そして前の席に座るショートカットの田中桃華(たなかももか)は私に恵凛那ちゃんってどういう字書くの?

「恵に凛、そして刹那の那だよ」

桃華は不思議そうな顔をしていたのでノートに書いて見せると「恵凛那」っていう字めっちゃ可愛いね。私は画数多いけどね。桃華ちゃんも桃の華なんて可愛い名前だと思うよ。

私は桃華にせっかくだから連絡先交換しない?すると桃華はいいよと微笑みスマホを取り出して連絡先を交換した。

私は北本学園の初日を桃華と共に話して1日が終わった。授業後、桃華は私にこの後どこか行くところある?

私はないよ。どうして?

桃華はなら今から北本駅近くに出来たカフェに一緒に行かない?1人でもいいけど誰かと行きたいなって思ってさ。

私は授業後何をするとか考えていなかったので桃華が誘ってくれたことが嬉しく、これからも仲良くしていけなたらなと思っていた。

私は高校に入学して友達が出来るか不安だったが無事にスタートダッシュを決めることが出来た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る