第146話
魅夜に体を貫かれた右近は、意識を失って虫の息となった。しかし、そんな右近を庇う為に魅夜の猛攻を回避し続けている。その最中、虫の息となっていた右近の意識が徐々に戻り始めていた。
「っ……」
目覚め始める右近は、自分が抱えられている事を理解した。だが激痛が全身に走っており、上手く動く事が出来ない右近。しかし、このままでは左近の負担になってしまう事をすぐに理解していたのである。
「くっ……!」
「逃げ回ってるだけで、ボクを倒せるなんて思うなっ」
「(今までの動きよりも数段速い?――これは、回避し切れないっ)」
そう悟った左近は、回避を諦めようとした時だった。動こうとしていた右近は、片腕だけで印を結び始める。辛うじて印を結ぶ事が出来た右近は、満身創痍にもかかわらず術を発動するのであった。
「――妖、術。……
その言葉に反応するようにして、左近と魅夜の間に壁が出現した。視界が遮られ、動きが一瞬でも止まった瞬間だった。咄嗟の判断で左近は、魅夜から距離を取った。
やがて、ある程度の距離を作った左近は抱えていた右近を木の根元に座らせる。意識が微かに戻っている事に気付いた左近は、顔を覗き込ませて右近に問い掛けたのである。
「右近お姉様、今治癒術を施します。もう少しだけ耐えて下さい」
「っ……」
だが、治癒術を発動しようとする左近の手を右近は遮った。
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