第2話 その身の上に何があったのかを推理

● 可能性その1


 Tさんは強迫観念に取り憑かれいて、被害妄想の虜になっていた。そのため自分の意思でホテルを抜け出し、団体客から逃走した。しかしながら彷徨っているところを本当のトラブル(別のトラブル)に巻き込まれて、誘拐等の残念な結末に至ってしまった。



● 可能性その2


 Tさんは海外渡航する以前から自発的な蒸発を計画していた。理由としては「人生をやり直したい」「かつて知り合いだった意中の人が欧州に在住している」等々。計画の一環として強迫観念に取り憑かれているような素振りをしていた。



● 可能性その3


 北朝鮮による謀略工作の一貫として拉致された。Tさんがターゲットとして目をつけられたのは海外渡航以前のことで、渡仏の話をかぎつけた工作員がTさんに接近し、仕事の斡旋等の甘言を弄した。その際、適当な口実で「被害妄想にとりつかれた素振りをしつつツアー団体から抜け出す」ように指示し、モスクワ等の目的地を提示して、はじめから北朝鮮行きは教えなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る