第2話 経緯:スクランブル発進、そして消滅
● レーダー映像の輝点に対するスクランブル発進
1953年10月23日の夕刻、ミシガン州スーセントマリーに配備されたレーダー(防空軍団迎撃警戒群のひとつ)は、スーセントマリー運河近辺の上空に未確認飛行物体を探知した。
詳細を確認すべくF-89Cスコーピオン戦闘機がキンロス空軍基地からスクランブル発進し、その機の乗員はパイロットがモンクラ中尉、レーダー手がロバート・L・ウィルソン少尉であった。
しかしながら機に搭載されたレーダーでは、目標の追跡が困難(諸元の限界?)であることが判明し、そのため地上レーダーのオペレーターがモンクラ中尉に対して、無線交信にて目標への誘導を実施した。
モンクラ中尉は高度8,000フィートにて未確認飛行物体へと機を接近させた。
● 二つの輝点は重なった…ように見え、そして消滅した
地上管制所はスコーピオン戦闘機と未確認飛行物体の両者を、レーダー上における二つの「輝点」として識別していた。
二つの輝点は序々に接近し、ついには重なって一つの点となった。
このとき地上管制所では、モンクラ中尉が未確認飛行物体の真下か真上を飛行しているものと判断し、すぐにスコーピオン戦闘機と未確認飛行物体が別々の輝点として分離するものと思っていた。
後にUFO研究家ドナルド・キーホーによる話では、このとき「あたかも空中衝突でもあったかのような」不安で包まれていたという。
単独の輝点が以前からのコースをそのまま飛行し続け…そして消滅した。
モンクラ中尉への無線通信はつながらなかった。
即座に、アメリカ空軍とカナダ空軍による合同の捜索救難活動が開始されたものの、悪天候のため、機体とパイロットの発見には至らなかった。
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