第21話 ノームのジェフォ
「ははぁ~どうかあの時のイタズラは忘れて頂きたくて、フェニックス殿がこの世界に来たという事は、貴方が予言していた事が起きるのですね、つまり沢山の種族が結託する時が」
「あのう、僕がやろうとしている事をなんであなたは知っているのですか、それにイタズラの事は何も知りません」
「そ、そうか、死んでしまったか、あのフェニックスの奴なぁ、そして選ばれし生物と融合した。って所か、なるほどなぁ、まぁ話を聞いてくれ今のフェニックス、えええと」
「メテスです」
「ではメテス、お主に伝える事がある」
その時だった。
空高く暗い闇の中を照らす丸いお月様がぴかーんと光出した。
そこには12時になった針と、戦闘が始まるような音楽が流れた。
こちらはコロポックル達が突然笛を取り出して噴き出す。
動物達は太鼓を叩きまくる。
「すまん、いつもの喧嘩やってくる」
「その後に続きを聞かせてください」
「その時は死神も一緒だ。いい加減に終わらせる」
「それは出来るのですか?」
「さぁな」
ノームはどすんどすんとお相撲さんのように歩き出した。
しかし大きさは人間より遥かに小さいし、ドワーフよりも小さい、小人は見た事がないけど、きっとノームの方が小さいだろう、コロポックルを少し大きくした程度である事は紛れもない事実。
ノームが巨大なグラウンドの真ん中に到達すると。
反対の屋敷から1人のふわふわと半透明なものがやってくる。
それは地面に着地したのか足元の砂に足跡が出来ている
その光景を空を飛翔しながら見ている。
空に飛翔するくらいなら許されそうだ。
闇風とリリも見たそうにしていたし、しかしリリはまだぶるぶると芯の底から震えていた。
「なぁ死神、いやデンデデン、いい加減に喧嘩を止めないかフェニックスが来たぞ、なら意味が分かるよな」
死神はゆっくりと骸骨そのままの姿をした髑髏をノームのジェフォに向ける。
ジェフォは全然怖くなさそうにしているが、リリと闇風は恐怖の表情になっている。
そして俺もホラー系が苦手なので少しビビりつつも。
「なんちゅう事やねん、全部あんたが悪いっちゅうねん、そこんところ分かっとる? あんた好きな女の子に告白して振られたからって大地震を起こすのちゃいまっか? そのせいで沢山の生き物たちが死んで、あの世はパニック状態やねん、分かるかいな、その日は休みをとって地獄にバカンスに行く予定があってな、わくわくしてんな、あの世に尋常じゃない数の使者やのうて死者が来ちまったんだ。意味が分かるかってん? おのれの地獄バカンスがだいなしっちゅうねん」
「それは何回も聞いた。あれは本当に済まないと思う」
「え、あんたいつもそんなんな事どうでもいいって答えてたんねん? ど言う事やねん」
「ああ、それはな、こんな茶番をしている場合ではないからだ。彼女の事はようやく吹っ切れたよ」
「それはよかったねん、ふう、長かった」
その2人の間に僕は着地した。
フェニックスの炎の羽がぶわっと熱い湯気を起こす。
なぜか湯気が起きるには理由がある。それはこの2人のバカは何を求めていたのだろうかという事だった。
「ほう、フェニックスやねん、いやーひさしりやねんなぁ、タコ焼きがあればあんたらに食わしてやりてーんだけどなぁ、タコ焼き知っとる? 中にタコ入れるんやで」
この大阪弁が崩壊したような話方をする死神。
顔は骸骨そのものであり、大きな鎌を独り言を呟かせながら振り回している。
非常に危険な人物だが、壊れた大阪弁のお陰で悪い死神ではない事が分かる。
地獄にバカンスに行くくらいなのだから。
「タコ焼きは知ってますよ、僕の世界に沢山あります」
その発言でノームのジェフォと死神のデンデデンは真面目な顔つきになった。
「やっぱりーあの子は死んでしまったやねん、とても悲しい事やねん、あの子の力が君の心の奥底にある事はなんとなく分かるっちゅうけどね」
「デンデデンも理解した所で、色々と説明する。この茶番を引き起こした理由についても」
「そうねんなぁ」
その後ノームは語りだした。
この茶番と前任者のフェニックスの話。
ノームのジェフォは鼻水をすすりながら、死神のデンデデンは髑髏の顔をこちらに向かせながら。
時間は分からないが2人の話をじっくりと耳を傾けて聞いていた。
闇風もリリもいた。
リリはまだまだぶるぶると震えている。
2人の戦いが終わったのだが、いまだにコロポックル族の笛の音色が空を漂う。
動物達の太鼓が地震のように響き渡る。
その音の中でもグラウンドのような場所の真ん中ではさほど響かない。
響かないという事はじっくりと話を聞いていられるという事だった。
大体の事を僕と闇風とリリでまとめると。
1 ノームのジェフォと死神のデンデデンの友達喧嘩はすべてやったフリ。
2 このファンタジーの世界で大地震を引き起こしたのはジェフォではない。
3 フェニックスとその他の仲間達で決めた事は本当の敵を倒す為にそれぞれが力を温存する。
4 フェニックスの温存とは生まれ変わる事だから死ぬ事、そして生まれ変わったフェニックスが現れたら。それぞれの仲間達が結集するという事。
5 大地震を引き起こした奴の討伐もそうだが、大地震により崩壊しかけている種族たちをまとめ上げる必要がある。その為にメテスの手助けをする。
2人は5つの項目を述べると。
僕はごくりと生唾を飲み込んだ。
ノームのジェフォは小さなおっさんらしくふてくされているし、死神は髑髏の顔を空に向けている。
きっと2人は寂しい心の風景を見る事で癒しているのだろう。
その時の僕はそう思ったんだ。
「あっしと死神のデンデデンはここで尋常ならざる力を手に入れた。まったく死神の力とノームの力が合わさるとここまですごい異空間が出来るとな」
「はっは、逆によかったやん、なぜならそれも計算してましたねん、デンデデンをなめちゃーあかんとちゃいまっか」
「まぁ、あっしの知り合いだったコロポックル達がここに住んでてくれていたみたいだし」
「それなら、コロポックルと動物の家畜達は僕達の国に輸送しました」
「ほーそんな事が出来るのかどうやったねん、とてつもなく気になってしまうんがな」
「空の船に乗せただけです」
「「はいいい」」
2人は唖然とした瞳でこちらを見ていた。
僕はいたたまれなくなってあっちを見ていた。
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