第44話 事情聴取と……

 クライスは顔を上げて微笑む、いつのまにか頬傷まで追加されている。ラナ戦を乗り越えた老戦士という所か。

「お久しゅう御座います」

 ヨミはクライスと並んで、右手を差し出す。

「おおっ、これは久しいな」嘘だ。昨日会ったばかり、そしてヨミの手を握手。

「今日は通院ですか?」ヨミの質問。

「ああ、記念病院で月イチの経過観察じゃ、仕事終わりにな……」

「こんな時間から、腕の調子はよろしいので?」

「あぁ、通常の診断時間は終わっているんだが、時間外診療をお願いしてな、ほぼ痛みは無くなった。ただし安静時に何というか痛みがな?稀にだが……」

「……そうですか、しかし術後の経過も良好そうで何よりです。今は戦時下、医師も看護の人数も足りません、そこそこ重傷でも、その日の内に一般病室に戻されるとか……金持ちならば、一人部屋で悠々自適でしょうが、四人部屋では休まりませんね、仕方ないですが……」

「なるほどな、ワシはもう入院は懲り懲りだよ、退屈で堪らん、出来れば通院も止めたくらいよな」

「アハハ、ご健勝で何よりですが、医者の話はしっかり訊いておいたほうが良いかと」ヨミは手を振り、笑みを称えて離れようとしたが、思い出した様に振り返り、

「あぁ、そうです、先程も言いましたが、医師も看護婦も減っています。それに6時は日勤と夜勤の交代時間です、待たされる可能性が有りますよ、後、一人部屋も三階の奥部屋、一部屋だけを残してベッドを追加して4人部屋に変更して有るようですよ」

「そうか、一部屋は残しておいたのか?一層全部四人部屋でも良かろうに、まぁ丁寧に有難う。気を付けよう」クライスはヨミに笑みを返す。

「なにやら本日、緊急で来院された患者らしく、かなり金持なんでしょうね、先程身なりの良い老夫婦見舞いに来ていましたよ。あれ程金持ちなら王立病院にでも行けば良いのに、無駄話でしたね。では、また」そう言うとヨミは馬車を器用に避けて、手を振りながら反対車線に消えていった。


 クライスはヨミと別れて杖を突きながら記念病院へ向かう。


【封印戦・戦傷者記念病院へはコチラ】、と書かれた大きな案内板。


 大通りを左折して上り坂。

 ため息と共に上り坂を歩き出す。

 若者や、健常者に追い抜かれて行く。

 それでも、ゆっくりと堅実に病院への道を歩く。


 少し小高い丘に建てられたその大きな建築物は、大きさの割に豪華では無かった。

 終戦を期に建てられた、封印戦・戦傷者記念病院は当時のキルシュナの財政状況もあり、華美な装飾や、金の掛かる設備は無く、合理性一辺倒の建築と設備を持っていた。

 金を掛ける場所には掛けてあるが、業務に必要の無いモノは徹底して省いてあった。

 現オルセー王が就任後、最初に行った土木建築がこの封印戦・戦傷者記念病院の設立だった。


 この病院以前、この国の医療施設はキルシュナ王立病院一択だった訳だが、実の所、キルシュナ王立病院は、名前こそ立派だが、患者の多くは貴族や大富豪等の謂わば、高級介護施設の様を呈していた。

 貧困層どころか、一般市民でさえ治療を受けるのも一苦労だった。

 優先されるは潤沢に金を落としてくれる貴族であり、碌に金の払えない平民は何時まで待っても診断の順番は回って来なかった。

 こんな訳で、キルシュナの一般市民は病気に罹らぬ事が肝要で、罹ってしまえば、自身の収入を遥かに超える治療費を支払わねば診断を受けれない状態。

 結局、入院の必要な多くの市民は病気を治す事無く死んで行った。

 オルセー自身、この碌でもない状況は商工会の会頭時代から見知っていた事だ。

 金持ちとまでは行かずとも、食うに困らぬ彼自身でさえ、病気の時は友人の町医者に診断してもらう事が常で、王立病院で診断等受けた事が無かった。

 商工会会頭の地位を利用すれば、王立病院で受診出来たのかもしれんが、そんなズルはしたく無かった。


 しかし王となり内情を部下から聞くに連れ、国民を余りに蔑ろにしている実情に思わず、

「税を頂く市民を殺してどうするのだ!!!」と大声で叫んだ!

 いつもは、モソモソ小言かやんわりと指示を出すだけのオルセーが初めて王城に響き渡る程吠えた!

 椅子に座る部下や貴族が飛び上がって国王の方を見た。

 しかし既にオルセーは口を堅く結び、何も発する気配は無く、いつもの無表情に少しだけ笑顔を擦り込んだような表情に戻っている。

 そして皆の方向いて、

「皆さん、良い事を思い付きました」とニコリ。

 そして次回の定例会で分厚い戦傷者記念病院の企画書がオルセーから提出された。

 元来、王自体から企画書が提出されるなどキルシュナでは前代未聞、いや、他国でも同様だろう。

 どこの王も自分で企画書など創りはしない。部下の企画書を見ることはあってもだ。

 これが普通。

 しかしオルセー王は誰よりも精緻な企画書を作成してきた。

 この点で真に恐ろしいのは、この企画書件を会議体の全員が知らなかった事だ。

 これは王の調査力と企画力のみで創られた文章だった。

 何故?部下を使わなかったのか?

 賢しい部下は気付いた。そして黙った。

 王は自身の企画を淀みなく説明する。     

 ある意味で強硬で、反論を許さぬ説明。

 王という地位を利用して問答無用で戦傷者記念病院の企画を通す意思を感じる。

 王立病院の関係者達から、「戦後の困窮時に、膨大な設備投資が必要な病院の設立など如何なものか!」

「王立病院が有るにも関わらず、更に別の病院を建てるな無駄な投資に他ならず、王都には総合病院など1施設有れば十分!」

 その他、似たような内容を言葉を変えて他の数名も苦言を呈してきた。

『何とでも言え……覆らぬよ』オルセーの心の声に対して、表の顔はニコニコ破顔。

 オルセーは今日の会議で決済を通すと決めていた。

 彼には、この強引な決議を通す事が、自身にとって容易である事は解っていた。


『折角、国の頂点に立ったのだ、この時位、権力というモノを使わせてもらおうか』


 王立病院関係者の反対意見にオルセーは起立し、以下の様に答えた。

「先ず、設備投資が、膨大であるという件ですが、戦後で困窮している今こそ、国民の雇用確保が肝要であります。国民が働き、そして収入を得る事で、国家には税が収められるのです。国民に働ける環境と正当な収入を与えねば、只でさえ親族や友人の戦死で心を悼めている事は容易に想像出来る。それでも国民には、この戦後の大混乱を乗り越えて頂かなくてはならぬ」

「次に王都には総合病院は1施設で十分との事ですが、近年の国民の死亡届を調査した所、他国に比べ20代〜40代の働き盛りの死亡届が、大戦の戦死者を除いても多いのです。この由々しき問題の解決の為に、私は王として今後全ての国民に定期的な健康診断を義務付けたいと考えています。本来国民の健康の一助となる筈の王立病院は、高齢の入院患者で満員と来ている。これでは人的にも設備的にも国民の健康診断の受診等、不可能かと思われますが、皆の意見は如何か?」オルセーは会を見回す。

 ボソボソと数人が発言する

「王のお考えは御立派かと、しかしとは言え、王立病院は本来、国民病院として設立された筈。王立病院にこそ、その健康診断とやらの機能を付与し実行させれば良かろうかと、もう1施設総合病院を設立するには、かなりの金が掛かります、この戦後の貧困の中、良策とは思えませぬ」

「成る程、正に言いえて妙、私も王立病院がその責務を果たせるならば1施設で十分と思っております」オルセーは頷く。

「ならば、早速王立病院に医院長に申し伝えましょう」議員が立ち上がる。

「待ちなさい、私はそれでももう1施設、設立する意味が有ると感じています」

「えっ、何故で御座いますか?」議員の大半が不満気。

「いえ、駄目です、もう間に合わないのです。何故なら大戦終了の今、戦死した若年層補充、つまり出生率の向上が至上命題、未来の労働者は今の30代から捻出せねばなりません。端的に言えば、子供を産んで貰わねばなりません。然らば彼等国民にとって子供を育てる際の障害は出来るだけ排除せねばならん。また健全な出産を考えたら猶予は今から数年しか無いでしょう。正に数年です、私の考える総合病院は王立病院の様な華美な施設では在りません、掘っ立て小屋でも良いのです。先ずは十分な医師と病室、設備、それで十分」オルセーの声が会議場に響く。

「……ですが……そもそも今大戦で軍医として戦死した者も多く、2施設分の医師など国内に居る訳が無い!」王立病院の関係者ヒギンズが食い下がる。

「ヒギンズ殿、素晴らしい考察!その通りです。医師の人材こそ居る訳が無い、今の王都に余分な医師など居る訳が無い」オルセーは拍手。

 ヒギンズは面食らう。

「……えっ、ええ???まぁ、そうです、ですので……」ヒギンズは続け……

「そう!私は王立病院の医師を私の企画した病院へ招聘したい」オルセーはヒギンズの発言に被せて自身の案を発表した。

「はぁぁぁ、いえ、いいえ、いやいやいや」ヒギンズが顔の前で手を振る『私はそんな事は言っていない』ヒギンズの顔が歪む。

「現在の王立病院の存在理由、それは高齢者の介護施設の様相を呈している、私の調査では外来患者の受付もしていない様子。ならば王立病院の業務は医師の仕事よりも介護士による介護や終身の医療が多くを占めておる、であれば医師の主たる業務である診断と治療を私の企画した総合病院で引き受けよう。これは業務の棲み分けだと私は考えています、その為にも必要最低限の医師は王立病院に残した上で、他の医師は我が総合病院に移っていて頂く事が国策として必須」オルセーはニコニコと皆を見回す。

 そして何やら分厚い紙束を左手に持ち上げペラペラと捲る。

「更に、王立病院の医師の在籍人員86名、非常勤も含めれば104名を抱えており、対して入院患者は180余り。今後高齢者の介護施設として王立病院を運用すると仮定すれば、主に多くの外科と全ての小児科、4割程度の内科については我が総合病院に移って貰っても些かの不足も出まい」オルセーは一息ついて、カップの水を嚥下する。

 そして続ける。

「この医師の移籍数は適当ではありませぬ、外来患者であれば、日による増減や1人当たりの緊急性、施術の難易度により医師や滅菌医、麻酔医の人数に可変も起きましょう。しかし老齢の介護施設であれば診断の終わった患者は主に介護士の責任範疇であり、医師の出る幕は緊急時か死去された際の診断となろう。故に多く見積もっても10名を1人の医者で管理する事が十分に余裕を持った配置かと思われる。平常時は、それこそ介護士が居るのだから」

「私は介護士まで移籍させよ!等とは言っておらぬ、医師だけで良いのです。只、2つの病院の責任範囲を明確にして、人材の適正化を望むだけ」オルセーは議員達の表情を一人一人観て行く。

『反論は有れば言うが良い』

 貴族議員たちは、何やモゾモゾ言いたそうだが、周りの議員が、黙っているのを見て、誰も言い出さない。

 自分から言い出しっぺには成りたく無いのだ。

 オルセーはそれなりの資料を備えてこの場に来ている。安易な反論は逆手に取られて、自身の立場が揺らいでしまう事に成りかねない。

 そんな議員達の反応を観て、オルセーは内心ホッとした。

『何にせよ第1段階は突破したか……』

 そんなこんなで、会は右葉曲折有りながらも、オルセーの企画書を蹴る事が出来ないまま企画は即時決済された。

 そうして設立されたのが、今クライスが向かおうとしている戦勝者記念病院である。


 国民全員に門戸を開き、富む者、貧する者、別け隔て無く受診し、三国で唯一の産婦人科と小児科を持つ総合病院。

 それが、『封印戦・戦傷者記念病院』

 通称:記念病院だった。

 まだギリギリ時間外では無い為、正面玄関が開いていた。


 簡素だが、大きい回転扉の付いた玄関は風除室を備え、外部の異物が容易に入る事を拒んでいる。

 扉の開放時に気圧の変化を全身に感じながら回転扉を押す。院内は簡素だが掃除が行き届いており、清潔感を感じる。

 院内には未だチラホラと患者や見舞い人がそこかしこに歩いている。狙い通りのタイミングだった。

 もうしばらくで、日勤⇔夜勤の入換時間、少しの空白時間。

 先程握手した掌に畳まれたメモ書き。開けると何やら人名らしきなぐり書きと、真新しい鍵。

 見舞客来訪名の用紙に偽名を書き、訪問先の患者名は先程のメモ書きの人名を書く。

 そして受付に渡す。

「二階の206号室です」とクライスの顔を見て微笑み、首からかける名札を差し出す。。

「承知した」小さく頷いてクライスは名札を受け取り踵を返す。

 院内地図を見ながら曲がった腰をトントン叩く。名札には【患者来訪】と書かれてある。ソレを首に掛ける。

 1階は診断、手術室、手術後の経過観察室と重篤な患者用の病室など病院の中枢機能が集約されたいた。

 医師や介護士が露骨に少ないのが判る。どれ程の人材が軍医として前線に赴いたのか、想像してクライスはゾッとした。

 戦時に関して必ず起きる『空洞化』とクライスは思っている。

 戦争とは自国の資産の総力戦である。

 戦争時に国は空になる。

 本来居るべき、

 有能な人材、

 有効な設備、

 貯蓄した国家財産、

 全てを吐き出しながら戦争する。

 そういう事だ。

 だから自国の防御が手薄になる。


 この病院の医師の様に、

 あの王城の黒豹の様に、

 国の中枢部分に易々と入り込まれる。

 今、クライスがヨミに教えられた彼の病室まで、一直線に訪問できる様に。


 唯一残った一人部屋。

 ソコに彼は居るのだろう。

 身動き出来ずに寝ている筈。


 先程、夕食が終わった筈だ。

 あの顎で夕食が噛める訳も無く流動食だろうが、看護士の定期的な訪問までは2時間空く筈、但しこの施設人員の欠員振りからは3、4時間は来そうに無かった。恐らく、患者の異常と就寝確認の為に、夜間に訪問するのか関の山だろう。


 309号室


 三階の角部屋、階段を上がり1番奥の部屋。

 1階の入院部屋前には医療機階を準備した看護士数十名がテキパキと作業をしている。

 それを横目に2階へ昇る。

 2階にも1階よりも格段に少ないが数名の看護士が廊下で作業準備をして部屋には入って行くのを観る。

 そして三階。

 案の定、3階には介護士は無人。欠員故に配置出来ないのだ。

 更に、3階の四人部屋は全て空室だった。そりゃそうだ、理解出来る。移動距離の長い三階に、只でさえ少ない人員を分散配置する意味がない。

 看護士の移動距離を短縮する為、入院患者を1階及び2階に集約したのだ。更に言うなら、術後直ぐの患者や、容態が急変する可能性の有る患者は1階に配置している。

 そうすれば少ない人員でも移動距離少なく看護する事ができる。

 恐らく、2、3階の患者の緊急時連絡は1階の看護士事務所に届く様に変更してあるのだろう。

 3階は静かで、院外の草木が風に揺れる音が微かに聴こえるだけ。


 右手拳を開く、まだ削りカスが付いていそうな粗削りの鍵。

 その鍵で309号室の扉を開ける。

 スルリと音も立てずに鍵が開く。

 相変わらず、ヨミの鍵屋の腕前は上々だった。

 胸元のポケットからハンカチを取り出し手を覆う。そしてドアノブを捻る。

 室内に滑り込む。

 ハンカチはドアノブに掛けたまま、クライスは人差し指と薬指だけを90度曲げる。ハンカチから「シュッ」と些細な音。

 付与魔法で防音した。これで余程大声でなければ、短時間だが通路には聞こえない。

  そして懐から、小さなピルケースを出し、2粒摘んで1粒嚥下する。もう1粒は小さい。米粒程度。それを手に持つ。


 未だ室内は明るい、低い陽光が窓から射し込む、あと僅かな時間で太陽は死に、また明日甦る。


 目の前に死にかけが居る。

 いや、この程度の傷で死にはしない。

 死ぬのはコイツの洩らした情報で挟撃されるトスカの隊だ。

 恐らくヤーンの居る剣匠達と、後は民間兵で組織された数百名。

 彼等がババを引いた。コイツのお陰で……

『生涯を掛けて磨いて来た、言うも憚られる技術をコイツで試そうか!』

 そんな気が起きそうになる。

 風吹かず、何故か病室のカーテンが揺れる。

 ささやかに揺れる。

 ゆらゆらと揺れる。

 いや揺れていない。

 幻?幻覚?

 何かが入って来る気配。

 幽かな気配。

 濃密な気配。

 気配だらけ。

 気配が流れ込む。

 小さな病室に入り切らない百数名の気配。

 それが何故か病室に綺麗に収まっている。

 そして全員がベッドのマクシミリアーノを見る。


『ヌシら、此奴、どうしようか?』


『死じゃ』

『八つ裂きじゃ』

『生皮を剥ぐのだ』

『腸を引きずりだせ』

『尻から口まで串刺しよ』


 クライスの質問に病室一杯の何者達が答える。

 その答えも幻聴かもしれぬ。クライスにはどうでも良い事だ。

『すまぬが、コイツから情報を取るまでは殺さん』クライスは周りの者達に答える。

 周囲から盛大な愚痴。

「フンッ……」クライスは鼻を鳴らして彼等の罵詈雑言を黙殺した。

 それでも、クライスの周囲から「ブツブツ」文句が溢れる。

 ギロりと周囲を睨め付け、ベッドの骸骨を観る。


 両脚、太腿上部よりほぼ壊死。

 左腕、上腕中頃よりほぼ壊死。

 下顎、関節突起部より骨折。

 顎をぐるりと頭の上まで包帯が巻かれていて口腔内見えない。

 クライスは骸骨の唇を捲る。予定通り。歯牙に関しては上前歯1番2番は便器との激突で下水に流れていったので無い。他は欠けている程度。

 歯が無くなった隙間にその錠剤を放り込む。骸骨の眉間に一瞬皺が寄って、それも直ぐに消えた。

 ベッドの背に挿し込まれた日程表を見る。明日、三肢の切断手術が予定されていた。

 手術室が空いていたのだろう。コイツ最後まで悪運が強い。


 まぁ、これなら食うに困らぬ。

 死にもせぬ。だからこそ3階の個室に居るのだ。日中の定期的な生存確認も要らぬ。まぁ、コイツが金にモノを言わせて、個室を希望した可能性も大だが……病院としては願ったり叶ったり。

 ベッドの脇に座る。クライスの体重でベッドが沈む。マクシミリアーノの身体がクライスの側に少し傾く。


「……んっ、ううっ」苦しそうなマクシミリアーノ。


 微かに瞼が開く。

 目の前に見知らぬ老人の顔面が在る。

 反射的に身体を捻り逃れ様と……稲妻の如く、全身の痛みが奔る。

「がっ……いでええぇ……」と、うめき声。


 ベッドが傾くだけで痛いのだ。

 身体が揺れるだけで痛いのだ。

 それで心が折れたか?

 それで魂は擦り切れたか?


 お前が散々凌辱したあの高潔な二人。

 あの二人の心を汚し、へし折った。

 彼女の穴という穴を犯したお前が……

 彼の睾丸を叩き潰し、眼球を、鼻を、ありとあらゆる場所をカラスの餌にしたお前が……

 あの二人はそれでも気丈に支え愛い生きている。


 そしてお前が黒豹に散々洩らした情報で、死にグルイに成るだろうトスカの兵。


 その地獄で鬼と踊らねば成らぬ、我が弟子。


 そもそもお前は、その毒針の如く一撃を我が国に与えた事すら理解していない。


 それでもお前は死にもせず、これからも生き続ける。


 全く持って割に合わない。


 これは私怨。


 今まで金を貰って仕事をしてきた。

 己の感情は殺してきた。

 だからこそ痛め、殺めても仕事と割り切る。だからこそ仕事なのだ。

 クライスには今まで仕事に個人の感情が入る余地等無かった。

 合理で在り。

 理合で在り。

 仕事に一心不乱に集中するのみ。

 感情は揺れ、

 感情は乱れ、

 感情は濁り、

 これらは自身の生業に支障が出る、不確定要素に他ならない。

 相手の人生を奪うと云う事、その重大さを鑑みれば、雑音を排除し真摯に仕事に向き合わねば成らぬ。


 手を抜かず、

 一切の妥協せず、

 そして私情に流されず、

 人殺しだからこそ真摯に向き合わねば成らぬ。


 殺される相手にとってはどうでも良い事かも知れないが、少なくともクライスはそうしてきた。


 そうしてきた中で、真に好敵手たる人物も数人いた。

 無言での腹の探りあい。

 彼等との駆け引きに感じたのだ。

 殺し合いは言葉に頼らぬ、高密なコミュニケーションだった。


 相手の行動を読み、

 相手に行動を読まれ、

 相手に先んじる為に欺き、

 そして相手の罠を読み、躱す。


 言葉では無い、高度な対話。

 話し合うなど隙でしか無い。


 もし万が一、話すとすれば、話して相手の隙を作ろうとした時だけ。

 それも、ある一定のレベルの相手には不必要。そんな言葉に相手は揺れ無い。

 逆に、我が喋りの間に策を練られるだけ。


『お前には一生判らぬだろう……』


 目の前の骸骨を睨む。


 放り込んだ錠剤がそろそろ……


「起きているかね?」声がいつものクライスでは無い、酒焼けした様なガラガラ声、恐らく先程飲んだ錠剤の所為らしい。音量は小さいが、妙に良く響く、骸骨はクライスを見る。


「……だへ?……」マクシミリアーノの隙だらけの声が室内に響く。

 ほんの少し目が泳いでいる。

 先程の錠剤の効果、自白剤に類する薬をクライスは投与したのだろう。


「申し遅れました。私はこういう者です」上着の内ポケットからスラリと名刺を出し、マクシミリアーノの眼前に差し出す。


    キルシュナ特務隊

   ドノヴァン・アウレリア


 と書かれてある。勿論、精巧ではあるが全くの偽物。


「早速で申し訳ないですが、マクシミリアーノさん。君をこの様に傷めつけた犯人を探しているのです。思い出したく無いかとは思いますが、王城で何をされたか詳しく教えて頂けませんか?」ガラガラ声に似つかわしくない優しい問いかけ。

「……えっ、あっ、おまへなんたって?いでぇ……くほぅ……」前歯が無いので喋り難いのか。

「マクシミリアーノ君、貴方を、痛め付けた、相手の事を、教えて下さい」クライスは再度ユックリと話す。

「クホッ、いへぇよ。どふなって、いてぇ」

『質問に答えろ、糞が』顎が割れているのを百も承知でクライスは訊く。

「もう一度訊きます、貴方は誰に痛め付けられましたか?」

「そんなのひるか!おでは……ひらねぇ……いへふぇ、いでぇ」

「そうですか……それでは筆談で」懐から懐紙とペンを出す。

「コレは失礼。右手は使えるようですね、これで大丈夫ですか?」

 マクシミリアーノの飯用のトレイに紙とペンを備え、ヤツの腹の上に置き、ベッド脇の回転ノブを廻して、骸骨の上半身を起こす。筆談は保険だ。欠けた歯と、顎の骨折の所為で聞き難い場合の予備の手段。

 マクシミリアーノは、唸りながらも、クライスに支えられたトレイにペンを立てる。

「貴方をこの様に、痛め付けた人物を見つけ出して、相応の処罰を与えねばなりませぬ。何卒覚えている事をお教え下さい」マクシミリアーノは紙になぐり書き、今更怒りが沸いて来たのだろう。

【男……オッサン声……顔は見えない】

 其れだけだった。

「有難う御座います、顔は見れなかったのですね」

「おでのあだまに!!きだねぇしりを……クホッ!!おでは」骸骨の口脇からぬるっとした赤黒い血が垂れ下がる。

「おおぅ、傷口が開きます、マクシミリアーノ君、筆談で……」クライスは、ベッド脇の布巾で骸骨の口元を優しく拭いてあげる。

 骸骨の目元が潤む。

「おでは、あんムシけらに、こんあめに……ゆゆさない」何とか聞き取れそうだ。

『ワシは虫けらか?』

「そうです、貴方はキルシュナでも一二を争う大商人であり、政財界でも強い発言力を持つシェファー家の嫡男。後はお父様の跡を継ぐ可能性も在ります」クライスは持ち上げる。

「おではこのままいけば、アニキのかわりに……なのに……」ボロが出る。

『兄の代わり?』解せん……

「そうですね、お兄様は出征されました、生きて帰れる保証は有りません。その時は貴方がシェファー家当主でしょう」骸骨の言いたい事を代弁する。

『どうやら最悪な考察が当たりそう』

「せーかく、おれは、あのおとこに、アニキのいきさきを、おしえたんだ」

『良く効いている』

「トスカに、はいぞくされたんだ、アニキ。あいつはソコにいって、アニキをしまつしてくれるって……」

『あぁ、そりゃ、確実に当主に成れるわな』

 戦時下という殺人が合法になる空間で暗殺を行う。


『木を隠すなら森』


 バカのコイツにしては良く考えた。

 或いは、それすらもあの黒豹の受け売りか?

 コイツは黒豹に股間をスリスリして貰い、我軍の配属先情報を軒並み話したのだろう。

「貴方が当主に成るのがシェファー家にとって最も良い事ですから」クライスは同調する。

「そおーだよ!おでがあたまになるんだ!そいで、あのこーきゅーずべこうを、めかけにしてやろうと、それなのに!へんに、おたーかくとまりやがって、あのアマ」まぁ、良く喋る、喋る。コレなら筆談は不要。

 まぁ、あの薬には鎮痛剤もいれてある。顎の痛みも多少緩和されている。饒舌に成って貰わんとワシが困る。

『気を失う前に全部喋れ!骸骨』

「せっかく、おでがマダムのみせのスポンサーになってやるって、やくそくしたのに、おれをバカにしやがって!」

「あのアマ、けつははじめてだったんだぜ、ビュービューなきゃーいいのによ、ずっとおれをにらんで、クソはらたつ」

『……そうか彼女は強かったんだな……』

「なかまぜんいんでヤッたよ!そのうちしずかになったさ。さいしょからなきさけべよ、こうふんしねぇじゃねぇか!」

『……吐きそうだな』

「けつのあなはちだらけだよ、これからクソをするのもたいへんだろうよ、おでをむしするからだ!おでをあいせよ!」骸骨は涙を浮かべながら喚く。

「おでだけだったら、おでがあたまだ、シェファーけもおでのもんだ、じゃまなんだよ。おではかんぺきなんだ!アニキなんか!」鼻水垂らして喚く。

「貴方なら当主に相応しい。しかしどうして戦いの配属先を知っていたんですか?お兄様にお聞きになったのですか?」嘘八百の同意。

「アニキなんかにきくかよ!おやぢだよ!おやぢ!おやぢはなんでもしってんだ!アニキがいっちまって、まいにち、めそめそしやがって!おでがいるんだから、シェファーけは、あんたいだろが!」熱弁は続く。

「よるにさけをついでやって、ねほりはほり……おでならそんなのらくしょう。なきながらぜんぶしゃべったよ、ゲヘヘ」

『シェファー家の当主……情報の速度、精度も文句無しの情報源とは言え、軍属からの情報では無い、ならば、まだ初期の出兵時の情報のみか……』

「あいづもそうだ!!おでから、きくだけきいて、とっとときえやがって!」口の端から血の混じった唾液を垂れ流しながら喚く。

『あの黒豹のことか?』

「さいしょだけだ!ぐんのじょうほうわたしたあとは、てのひらかえしやがって!」

『そりゃあ、お前にはもう用は無いだろうよ』

「アイツとは何者ですか?」

「ガゼイラからきた、けしょーひんのしょーにんだよ、ウチのブテックにしょーひんを、うりこみにきたんだよ」

『成る程』

「くろんぼだが、イケメンでよ、アイツのモノは、めちゃきにいってたんだぜ、ヘッヘッヘッ」下卑た嗤いに、クライスの周囲にいる金魚のフンが一斉に睨む。中にはマクシミリアーノの首に手を掛ける者も出てくる始末。

 骸骨は何も感じていない。

 饒舌は続く。

「なのに、きくだけ、きいて、とっとと、にげやがって!クソッ!どんだけ、おやじに、こうきゅうワインをつっこんだとおもってぇんだぁ〜」

『おやおや、そろそろ呂律が怪しくなってきたか?』結局、自白剤とは理性を外し、心を裸にする事である。

 酒と何も変わらない。故にアルコールでも似たような事は出来る。

 クライスの薬はそれより多少、饒舌になり、且つ失神までの時間の猶予が有るだけ。

 成分は自然由来の自白剤だった。


 その方が良いのだ。


 万が一でも、小便や大便の分析等行われた際に検出されても困る。

 ここは病院なのだから。

 ベッドの下に微かにポケットから引っ張り出した酒瓶を転がしておく。


 もう、マクシミリアーノは寝息を立て始める。この睡眠はそうそう起きない。明日も朝までぐっすりだろう。


 尋問したが、まぁ予想通りの答え。

 しかしそれを犯人の口から聞く事が重要なのだ。

 自身の推測だけでは、思考の最終着地点が大きくズレる事がある。

 思考の精度を上げる為に、情報を収集するのは必然だった。


 結果として、クライスの読み通りでシェーファー家へ与えた情報のみ、この骸骨は黒豹に渡した事になる。

 しかし、出兵届からトスカ行軍までほんの数日だった筈、その間に情報収集から本軍に情報を与えるとは、中々腕の良い諜報員の様だった。


 現段階でクライスにはその情報がトスカにどの様な影響が与えられているかは全く判らない。

 しかし、クライスが敵軍の将ならば、可能なら先回りしてトスカを奪う。

 もし間に合わないなら、十分な準備と、念入りな戦略でトスカを奪取する。


 ワシならそうする。

 情報を100%活かす。

 だから敵もそうする。


 だからヤーン達は、準備万端の敵軍の罠に自ら飛び込む事になる。


 いや、剣匠なら死など当然。

 故に、初陣は未だ良かった。

 クライスに敵軍の情報は漏れ聞こえていた。

 彼等は祖国を護る為に、皆より送り出され、自身の全力を賭けた。

 結果、素人民兵を虐殺し、昏い闇を湛えたとしても……


 だが、今回は違う。

 これは、下品な戦いになる。

 泥水を啜り、屍肉とまみれ、いや泥水位なら幾らでも、我等にとって死ぬのは仕事だ。

 その様な事に囚われは無い。

 ただ、ほんの少し『求める死』が在れば良い。


 ただ、トスカは多分……生きる事すら……ヤーンだからこそ……


 ソレをヤーンには教えていない。

 いやソレは教えられない。

 ソレは実戦の積み重ねでしか得られないモノだ。

 もう少し、あともう少し実戦に身を置ければ……些か、時間が無さ過ぎた。ワシの教えた事、全て実行してもまだ足らぬ。


 この骸骨の所為で……


 ワシは苛つくのだ。

 仕事で在るにも関わらず。

 この意識をワシは嫌悪する。

 ……そう、嫌悪する。

 ワシが定めた掟を、ワシ自身が破っているのだ。

 仕事に支障が出かねない。

 判っているのだ。


 それでも……


 初めて会った時……


 弟の為に命を捨てる覚悟で……


 ワシの殺意の前に仁王立ちする……


 アイツ……


 そこからのあの兄弟との生活……


 欺瞞

 陰謀

 暗殺

 毒殺


 そんなモノに満たされたワシに『愛』等教えられる訳も無かろう、そう思いながら十年余り……


 故に愛が教えられぬなら、せめてと思い、人殺しの術を徹底的に教えた……

 あの二人が生き残れる様に……


 生き残れば、いつか二人もワシの知らぬ『愛』を見つける事が出来るかもしれぬ。


『嗚呼、しかしヤーンお前は既にそれを持っているのかも知れんな』

 だからこそお前はトスカで生き残れるか?ゼオの為に命を投げ出すお前が……

 愛など知らぬワシにはそれを感じる事すら出来ぬが……


 人殺しを生業にするワシらにとって……


 最も得難い資質を持つ……


 馬鹿で可愛いアイツが……


 これは私怨……


 駄目だ……


 それはいつか、いつの日か、ワシに牙を剥くだろう。


 それが判る。


 特にワシの居る狩場に、その様な想いは……


『ようこそ、復讐へ』

『お前を燃やす尽くす憎悪』

『ようやく憎しみで殺せるな』

『こっち側に来い、心地よいぞ』


 静観していた金魚のフン達がこぞってクライスの耳元で話す。


『喧しいわ!!ワシは……』数十年見たことが無いクライスの真顔。

 眉間に深い皺を寄せ、歯を噛み締めて周囲を睨む。

 ヤーンとゼオは見たことすら無い。

 そしてクライスの顔から表情が消えた。


 クライスは、氷柱の様な表情のまま、既に気を失った様に眠るマクシミリアーノの首筋に鍼を立てる。


 そして手印を作る。

 印相とも言う。

 人差し指と小指を立て、中指と薬指を握り込む。親指は握り込まれた2本の指の内側だった。


「ギンッ」鍼が鳴る。


 マクシミリアーノの四肢の上に掛かったシーツが波打つ、そして微動だにしなくなった。


 唯一、胸部だけが心拍に合わせて上下している。


 クライスの表情が戻る……一瞬泣きそうな顔、また無表情。


『ヤッちまったな……』そんな声が聴こえる。クライスにだけ。


『判っていたさ……そうなる事は……』


 日が落ちつつある、病室は初秋の涼しさで、庭の見える窓から日中とは打って変わって肌寒い風が、カーテンを揺らす。

『さあ出よう、もしかしたらカーテンを閉めに看護師が来るかもしれない』クライスは、そう思いながら自身が行った行為を……

 初めて行った復讐を……

 初めて破った掟を……

 恥じた。

 入った時に掛けておいたハンカチが風で床に落ちていた。

 それを拾う。ポケットに仕舞う。

 そしてドアノブを捻り通路に出る。

 階段を降り、1階通路に着く。

 既に日中の正門は閉鎖されており、クライスは、夜間専用出入口に向かう。入口横の小部屋に座る警備員に名札を返し、会釈する。


 クライスは無表情。

 しかし後悔は無い。

 そして懺悔も無い。

 ただ、今までの掟を破り、マクシミリアーノに……己が望む事を成した。

 只、其れだけ。

 病院の下り坂を歩く。

 もう、日が沈み、所々に付与魔法の街灯が仄かに点灯し始める。


 クライスは兄弟の事を想う。

『もし、あの大通りでゼオに話しかけられた時、弟子の誘いを断っていたら……』

「フフフッ……」10数年前の懇願を思い出し、思わずニヤけてしまう。

「そこから決まっていたのだな」

「なら、仕方無し」

 急にニコニコと好好爺の体で、坂道を下りる。すれ違う通行人が怪訝そう。

『ワシと出逢った事、あの二人にとって幸せだったのか?ワシにはわからん、只、ワシは幸せだったのだ。恐らくな。すまぬヤーン、ゼオ』


 何だかクライスの心は晴れた。


 トスカのヤーンの事。

 残されたゼオの事。

 仕事を違え、復讐した事。


 気になる事ばかりだ。

 それでも、二人に会えた事は素直に喜ばしい。


 自身の復讐も兼ねたとはいえ病室で行った事は、元々マクシミリアーノに与えるつもりの復讐だ。

 元々、彼を殺す気は無かった。

 只、彼にこれから死ぬ迄の膨大な時間、外界と断絶し思考する時間を与えた。

 それは『死』と同じかも知れない。いや『死』より辛いかもしれない。


 それがあの盗賊から渡された金貨の対価。


 だがクライスは自分の意思でソレを行った。


 自分は代替だと常々思っていた。


 犠牲者本人、

 犠牲者の肉親、

 犠牲者の親友、

 犠牲者の恋人、


 そういった者達の代わりに無念を晴らす暴力装置だと思っていた。

 だからそこに感情を入れては成らぬ。

 暴力装置に感情は要らぬ。

 もし己の感情も込めてしまえば、暴力は既に犠牲者の無念を晴らす以外の意味を持ち、純度が失われる。

 装置は装置らしく、只ひたすら行為遂行すれば良い。


『犠牲者と、その周囲の者達の復讐の意味が薄まる』


 クライスは此度、あの二人の復讐に自分の復讐も追加した事になる。


 だから恥じた。


 だがそれも仕方無し。


 時は戻らない。


 初陣から帰ってきた二人との会話を思い出す。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「そうだろうな。二人とも、満場一致で地獄行きだな」クライスはうんうんと頷く。

「あの~慰めるとか無いんですか?」ゼオは呆れる。

「殺ってしまったモノ、どうしようも無いだろうが!!」クライスはキレる。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ヤーン、ゼオ、ワシもヤッちまったわ。年は取りたくないな」フンッと鼻で嗤い、クライスは繁華街に消えて行った。

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