第73話「『ノーザの町』に出張する(1)」

 数日後、ルキエは魔王城に帰っていった。


 国境地帯の交易所は、ソフィア皇女と相談しながら作っていくことになった。

 現場責任者は、ライゼンガ将軍。

 その補助役として、宰相さいしょうケルヴさんの部下が送られてくる予定だ。


 それまでは、俺がソフィア皇女とのやりとりを担当することになる。

 ちょうどよかった。

 ソフィア皇女には、聞きたいことがたくさんあったから。


 重要なのは、例の魔法陣について。

『眠れる魔獣まじゅう』の住処にあった、消えかけていた魔法陣──あれはたぶん、巨大ムカデの存在と関わりがある。

 これは情報が漏れないように、直接会って話をする必要がある。

 それに『フットバス』の使用感や、ソフィア皇女の魔力循環まりょくじゅんかんの変化についても確認したい。魔織布ましょくふの下着も、追加を頼まれてたっけ。


 だから、俺は許可をもらって、ソフィア皇女に会いに行くことにしたのだった。







「それでは『ノーザの町』に行ってきます」

「トールさまは、アグニスがお守りしますので!」


 その日、俺とアグニスは、将軍の屋敷を出発した。


 目的は、ソフィア皇女に会うこと。彼女に『魔織布ましょくふ』の下着を渡すこと。『フットバス』の感想を聞くこと。

 それと『眠れる魔獣』の住処で見つけた、魔法陣について確認することだ。


 あれから俺たちは、帝国側と書状をやりとりして、『ノーザの町』を訪ねるときの約束事を決めた。


 第1に、魔王領の者は人間の商人のふりをして、西側の門から入ること。

『ノーザの町』には、亜人や魔族を恐がっている者もいるから、警戒されないようにするためだ。


 第2に、人間に近い姿をしている者を連れてくること。

 最後に、ソフィア皇女に近づく者は女性であること。ただし俺、トール・カナンを除く。

 以上だ。


 そんなわけで、『ノーザの町』には、俺とアグニスが行くことになった。

 アグニスは『火炎巨人イフリート』の子孫だけど、見た目は人間と変わらない。

 他にも火炎巨人の眷属けんぞくの人がふたり、護衛についてきてくれることになったんだ。

 

「トールさまをお願いしますね。アグニスさま」

「大丈夫なの。トールさまは、アグニスが命にかえてもお守りするので」


 心配そうなメイベルの手を取り、アグニスは言った。


「トールさまを傷つける人がいたら、アグニスが許さないので。相手が帝国の皇女さまでも、百人の軍隊でも、関係ないので……」

「う、うむ。立派な覚悟だ。成長したな。アグニス」

「はい、お父さま」

「だが、役目を忘れてはならぬぞ。お前はトールどのの護衛だ。勝手に動いてはならぬ。トールどのの手足となり、その望みを叶えるようにするのだ。よいな」

「わかってます。トールさまの命令に従うのは、アグニスのよろこびなので」

「うむ。では、ゆくがよい」


 ライゼンガ将軍はうなずいた。

 それから、大きな手で、俺の手を握って、


「トールどの。アグニスをよろしく頼みますぞ」

「承知しました。行ってきます。将軍。メイベル」

「行ってきますので」


 こうして、俺とアグニスは、帝国領最北端にある『ノーザの町』に向かった。

 魔王ルキエから託された重要な役目だ。しっかりと果たそう。








「お話は殿下と、アイザック部隊長よりうかがっております。どうぞ、こちらに」


 次の日。

 俺たちは無事に、『ノーザの町』に入った。

 ソフィア皇女とアイザック部隊長は、門番に話を通しておいてくれていた。

 荷馬車を連れた俺たちは、問題なく、門を通ることができた。


 門番さんは、ソフィア皇女のいる場所まで教えてくれた。


「……ここだけの話だが、自分は巨大ムカデとの戦いで、魔王領に助けられた。あんたたちが1匹目の巨大ムカデを倒してくれなければ、自分も皇女さまも危なかっただろう」


 ぽつり、と、小さな声で、門番さんは言った。

 にやりと笑った門番さんに手を振って、俺たちは町の中へ。

 そうして、ソフィア皇女の待つ屋敷やしきへと向かったのだった。







「……話は、うかがっております。トール・カナンさまと女性の方のみ、入室を許可されております」


 屋敷のメイドさんは言った。

 こっちも、話は通っていたみたいだ。


「すいませんが、しばらく、こちらで待っていてください」

「すぐに戻りますので」


 俺とアグニスは、護衛の2人に向かって告げた。

 ライゼンガ将軍直属の護衛たちは落ち着いた表情で「承知いたしました」「なにかありましたら、私どもをお呼び下さい」とうなずいてくれた。


 それから俺とアグニスは、屋敷の中に入った。


 ソフィア皇女の部屋は2階だ。ソレーユたちが何度も来てるから、知ってる。

 もちろん、今日も羽妖精ピクシーたちはついてきてくれてる。

 猫型の『なりきりパジャマ』を着て、荷馬車の中に隠れてる。

 いざというときには、俺とアグニスを助けてくれるはずだ。






「──殿下。北の地からのお客さまがいらっしゃいました」


 屋敷のメイドは、2階の一番奥の部屋の前で立ち止まった。

 ゆっくりとドアをノックして、告げる。


「いかがいたしましょう。下の応接間で、お待ちいただきましょうか?」

「入っていただきなさい」


 ドアの向こうで、ソフィア皇女の声がした。


「それと、2階の人払いをお願いします」

「殿下。わたくしは、北の地からの来客と申し上げました。あまり気をお許しになるのは──」

「北の地からいらした方々は、私たちを信頼してここにいらっしゃるのです」


 迷いない口調で、ソフィア皇女は言った。


「ならば、こちらも信頼をお返しするべきでしょう。違いますか?」

「……殿下」

「全責任は私が取ります。会談の内容も、あとでアイザックに伝えます。皆は、さがってください」

「……かしこまりました。殿下」


 凜々りりしい声に打たれたように、メイドの女性が立ち去る。

 足音が階段の下に消えると、すぐにドアが開いて、



「お待ちしておりました! トール・カナンさま。アグニス・フレイザッドさま!」



 ドレス姿のソフィア皇女が姿を現した。

 彼女は笑顔で、俺とアグニスを部屋へと招き入れる。


 入るとそこは、広い、リビングのような部屋だった。

 テーブルには、茶器と焼き菓子が並んでいる。

 俺たちが来る時間に合わせて、準備していてくれたらしい。


「体調はどうですか。殿下」

「おかげさまで、元気そのものです」


 ソフィア皇女は俺たちに椅子を勧めながら、うなずいた。


「こうしてお目にかかれたことをうれしく思います。書状によると、トール・カナンさまは、私に聞きたいことがあるそうですが」

「はい。まず今回は『フットバス』の使用感と、体調の変化についてお聞きしたいと思っています」


 これまでソフィア皇女は、こっそりと『フットバス』を使っていた。

 だから、使った後は、落ち着いて話を聞くことができなかった。


 でも、今回は余裕がある。

 だからじっくり、体内魔力の変化を感じながら、使ってもらおうと思っている。

 それによって、月に何回『フットバス』を使うのかを決めるつもりだ。

 魔王領としては、そのタイミングに合わせて、ソフィア皇女と会う機会を作るそうだから。


「それと『眠れる魔獣まじゅう』の住処すみかで見つけた、魔法陣についてもうかがいたいのです」

「アイザックからうかがっております。あの場所で、怪しい図形を見つけたと。トール・カナンさまは、それが魔法陣だとお考えなのですね」

「はい。アイザック部隊長は、ソフィア殿下に確認するように言っていました」

「そうですね。私がいた離宮の書庫には、魔術に関する書物もありましたから」


 ソフィア皇女はうなずいた。


「わかりました。トール・カナンさまのお望みのままにいたします。ですがその前に、そちらの方にごあいさつをさせていただけませんか?」

「……え」


 アグニスが目を見開いた。

 ソフィア皇女が立ち上がり、アグニスに向かって頭を下げたからだ。


「はじめまして。アグニス・フレイザッドさま。お父上のライゼンガ・フレイザッドさまたちの勇猛果敢ゆうもうかかんな戦いのおかげで、魔王領との会談の際には、帝国兵には巨大ムカデの犠牲者が出ませんでした。兵士たちに代わり、お礼を申し上げます」

「──こ、これは。ごていねいにありがとうございます!」


 自分に話が振られるとは思ってなかったんだろう。

 アグニスは慌てて立ち上がり、お辞儀を返した。


「ア、アグニスは……トール・カナンさまの護衛を仰せつかりました、アグニス・フレイザッドと申します。お目にかかれて光栄です。ソフィア・ドルガリア皇女殿下」

「ありがとうございます。アグニス・フレイザッドさま」


 ソフィア皇女は、やさしい笑みを浮かべながら、


「勇敢な将軍閣下のご息女にお会いできて光栄です。これから、よろしくお願いいたしますね」

「ごていねいなご挨拶。感謝いたします。父が聞いたら喜ぶと思いますので」


 アグニスは深紅のドレスのスカートをつまんで、一礼する。

 出発前に練習した、帝国風のあいさつだ。

 それを見たソフィア皇女も、同じようにする。


「今、お茶を淹れますね。ゆっくりしていってくださいませ」


 ソフィア皇女はそう言って、茶器を手に取った。

 慣れた手つきで、俺とアグニスのカップに、お茶を注いでいく。


「いえ……皇女殿下自ら、お茶を淹れてくださらなくても」

「気になさらないでください。帝都の離宮では、何事も自分でするようにしていましたもの。もっとも、体調のせいで、色々と不自由はありましたが……」


 ソフィア皇女は、桜色の髪に触れて、


「この髪も、女医に身体を診てもらうとき、邪魔にならないように、短くしているのです。本当は私もアグニス・フレイザッドさまのように、きれいに……長く伸ばしてみたいのですけれどね」

「元気になればそれもできますよ。そのために、これを持ってきたんですから」


 俺は『超小型簡易倉庫』から『フットバス』を取り出した。


「殿下の健康のためにも、これを使った詳しい感想を聞かせてください。身体の中の魔力がどう変化するか、よどんだ魔力がどこにあって、どんなふうに流れだすのかなどを。それによって『フットバス』を、どれくらいの頻度ひんどで使うか、決めようと思ってます」

「わかりました。トール・カナンさま」

「それから……アグニスさん。例のものを」

「承知しましたので」


 アグニスが小さな包みを取り出した。

 彼女はそれを両手で、ソフィア皇女に差し出しながら、


「こちらは『光の魔織布ましょくふ』で作られた下着になりますので。身につけていただいて、サイズを確認してください。それと、あとでソフィア殿下のサイズを採寸させていただければ──」

「ありがとうございます。もちろん、採寸もお願いいたしますね」


 ソフィア皇女は、あっさりとうなずいた。

 その反応に、アグニスがびっくりした顔になる。


「よいのですか? 皇女さま」

「なにがですか? アグニス・フレイザッドさま」

「帝国の皇家の方は、亜人を警戒していると聞いてましたので」

「あなたは、トール・カナンさまのお友だちなのでしょう?」

「は、はい。アグニスは、トールさまに忠誠を誓ってます」

「でしたら、問題ありません。私はトール・カナンさまの婚約者を目指しております。そのお友だちが身体に触れるのを嫌がるわけがございません」

「わ、わかりました」


 アグニス、びっくりしてる。

 無理もない。相手は帝国の皇女さまなんだから。


「じゃあ、まずは『フットバス』を使ってください。その後、落ち着いてから採寸と、魔法陣についての話をします。それでいいですか?」

「はい。ですが『フットバス』の使用について、お願いがあるのです」


『フットバス』を手に、ソフィア皇女は言った。


「できればこれを、寝室の方で使わせていただいてもよろしいですか? 静かな環境の方が、使ったときの魔力の変化や、身体の状態がよくわかると思いますから」

「いいですよ。どうぞ」

「では、失礼いたしますね」


 そう言って、ソフィア皇女は隣の部屋──寝室に入っていった。

 ドアが閉まると、俺の隣で、アグニスがため息をついた。


「緊張しましたか?」

「はい……アグニスは、魔王領の外に出るのは、はじめてなので」


 そういえばそうだった。

 アグニスは『発火体質』のせいで、よろいを脱ぐことができなかった。

 当然、外に出ることさえほとんどなかった。

 それでも今回、俺の護衛を申し出てくれたんだ。外の世界を見てみたい、って。

 やっぱりすごいな。アグニスは。


「やっぱりすごいのです。トールさまは」

「……え?」

「トールさまと一緒にいると、世界が広がって行くようなのです」


 そう言ってアグニスは、笑った。


「トールさまは、よろいの中に閉じ込められていたアグニスを、外に連れ出してくれたので。メイベルとも──触れ合えるようにしてくれて、そして今度は、魔王領の外の世界を教えてくれて……」

「……アグニスさん」

「だから、恩返しがしたいので。アグニスは『原初の炎の名にかけて』、トールさまに忠誠を誓うので。だから、多くは望まないので……」

「その『原初の炎の名にかけて』の意味が気になるんですけど。そろそろ教えてくれませんか?」

「……誕生日に、なったら」


 アグニスは『健康増進ペンダント』を握りしめて、視線を逸らした。


「もうちょっとすると、アグニスの誕生日が来るので。その時になったら……なので」

「わかりました」


 そういうことなら、仕方ないな。

『原初の炎』というからには、『火炎巨人イフリート』の血を引く人に関わる事情があるんだろう。

 誕生日まで待ってというなら待つことにしよう。

 せっかくだから誕生日プレゼントを用意しておいた方がいいかもしれない。


 そんなことを考えていると──



「申し訳ありません、トール・カナンさま。こちらのお部屋に来ていただけますか」



 不意に、寝室の方からソフィア皇女の声がした。


「『フットバス』が、うまく動かないようなのです。見ていただければ……」

「あ、はい。すぐに行きます」


 もしかして、魔石の魔力が切れたのか?

 ……あれ。そういえば、交換してなかったかもしれない。

 どれくらい使えるか計測するために、使い切るまで交換しないことにしていたんだっけ。思ってたより早く、魔力が尽きたみたいだ。


 俺は寝室のドアに近づいて、ノックをした。


「トール・カナンです。入ってもいいですか?」

「はい。どうぞ」


 ソフィア皇女の返事を確認してから、俺は寝室のドアを開けた。


「すいません。魔石の魔力が切れたみたいです。すぐに交換しますから──」

「お願いいたします。トール・カナンさま」


 ソフィア皇女は、俺の方を見て微笑ほほえんだ。

 下着姿だった。


 彼女はリラックスした姿勢で、ベッドに腰掛けてる。

 部屋は、薄暗かった。カーテンを閉じているからだ。

 うっすらと差し込む光の中、白い肌が浮き上がって見えた。


 ソフィア皇女は首をかしげて、俺の方を見てる。

 桜色の髪が、肩の上で揺れている。

 髪が短いのは、医者が診察をするときに邪魔にならないように。

 だから、髪は身体にかかっていない。かかっていないから、彼女の身体のかたちがよくわかる。

 今のソフィア皇女は、下着しか身につけていないからね。

 光の魔織布の下着だから、半分以上、透けてるし。


 ソフィア皇女の身体は細い。

 肌が白いのは、あまり光に当たっていないからだろう。


 それでも身体のラインは美しく、女性的なふくらみもはっきりとわかる。

 でも、下着は、きちんと採寸した方がいいのかもしれない。

 一番身長が近いメイベルに合わせて作ってきたけれど、少しサイズが大きかったような気がする。


 服を脱いでるならちょうどいい。アグニスを呼んで採寸してもらおう──


 ──いや、そうじゃない。

 思わずじっくり見てしまった。

 というか、なんで下着姿なんだ?


「殿下。そのお姿は」

「身体の魔力の流れが、よくわかるようにいたしました」

「なるほど。服を着ていると、布が肌に触れる感触が邪魔になって、魔力の流れがわからなくなるからですね」

「さすがトール・カナンさま。すばらしい洞察力どうさつりょくでございますね」

「おめにあずかり光栄です」

「でも、あなたさまから頂いた下着なら、魔力の流れの邪魔になりませんから」

「理にかなってますね」

「というわけで、申し訳ありません。『フットバス』の調整をお願いいたします」

「それよりも、殿下」

「はい。なんでしょうか」

「俺がいるのですから、服を着られた方がよいのでは」

「え? でも、これは医療行為いりょうこういなのですよね?」


 不思議そうに首をかしげるソフィア皇女。


 なるほどな。

 ソフィア皇女は病弱だった。だから、治療ちりょうの邪魔にならないように、髪まで切った。

 その彼女にとって、医療行為のために服を脱ぐのは当たり前なのか。

 盲点だった。しかも、理にかなってる。


「それに……私はトール・カナンさまの婚約者をめざしております」


 ソフィア皇女は、胸に手を当てて、つぶやいた。


「婚約者からいただいた下着を身につけた姿を隠すべきではないでしょう。きちんと、チェックしていただくのも、礼儀のひとつかと考えております」


 堂々としていた。

 動揺してるこっちが、間違ってるような気分になった。


(……ここが魔王領だったらよかったのに)


 半透明の下着だけを身につけたソフィア皇女は、きれいだった。

 ずっと見ていたいくらいだった。


 ここが魔王領だったら、そのままでもよかったんだ。

 ソフィア皇女が『フットバス』を使っている間、光の魔力が身体の中をどんなふうに移動するのか、解説してもらうこともできた。錬金術れんきんじゅつの参考にもなったはずだ。


 でも、ここは帝国領だ。

 外には帝国兵がいて、屋敷の1階にはメイドもいる。

 もしも彼らが飛び込んできたら、大問題になる。ソフィア皇女がよくても、帝国の者たちは、俺がこうして下着姿の皇女と同室しているのを許さないだろう。


 俺とアグニスは魔王領の使いとしてここに来ている。

 トラブルがあったら、ルキエに迷惑がかかる。


 だから──


「ごめん。アグニスさん。ちょっと来てくれるかな」


 俺はアグニスを呼ぶことにした。


「は、はい。トールさま」

「事情が変わったようです。俺は『フットバス』の魔石を交換するから、アグニスさんは殿下の採寸をお願いします」

「承知しましたので!」


 アグニスの返事を聞きながら、俺は素早く『フットバス』を回収した。

 きょとん、としてるソフィア皇女に、作業の順番が変わったことを説明。

 そうしてそのまま、リビングへ移動した。


「それでは殿下、また後ほど」

「はい。トール・カナンさま」

「あ、あの。皇女さま……採寸前に下着姿にならなくとも……?」



 ぱたん



 俺は寝室のドアを閉めて、深呼吸。


「なんというか……危なっかしい人だな。ソフィア皇女は」


 ほっとけない。

 この人を帝都に帰したらいけない──そんな気がする。


 そう思いながら、俺は『フットバス』の魔石交換をはじめたのだった。

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