第54話 恋命

その手紙は小さな川の淵に、そっと忍ばせるように置いてあった。書きなぐるような字で最後にで。


懸・メイ


現場検証した刑事は、草葉の陰に2組の靴を見つける。


「きっと、懸君とメイさんのものだな」


懸命に捜査を進める刑事たち。


一向に進展はせず、事件か事故か結論は出ず迷宮入りかと思われた。




「恋命だったのでは…」ひとりの新米刑事が呟く。


「連盟か?」


「違います。恋の寿命、恋命です」



「どういうことか、聞かせてもらおう」


取り調べ室で、刑事が刑事を取り調べる。



「この恋は、両想いではなく、片思いだったと思われます。この手紙の最後の連名の筆跡を見て下さい。一生懸命に掛けています。これぞ恋命のしるしです」


「ははあ じゃあ 靴は2足置いたのは偽装で1人の事故ということでいいか?」


「いいえ 違います。この世界のたくさんの片思いが実らなかったことへの後始末の一編です」


小川には長い永い恋史が見えない紙に書かれ流れている。今回の件は小川 懸さんの故意によるものだが、明日はまた別件があがるかもしれない。


恋愛が成就すれば、その見えない紙を切る仕事が私の仕事。毎日懸命に働いている。これが新米刑事が入手した極秘情報源だ。身元等の出所については、秘密警察法第505条(通称SOS条)第1好により、守秘義務が命により課せられている。


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