第6話 推敲と校正
娘が長い春休みの宿題で、最後に残しておいた読書感想文を一生懸命に書いている。徹夜でだ。
『どれ どれ スイスイスイ こう 仮名?』
『お父さん、そんなに文章変えたら親の入れ知恵とバレちゃうよ』
『大丈夫、推敲だから』
作家である父親は娘の頑張りと期限提出を補助するため、推敲と偽り、校正をして見栄えを良くする。
『よし、これで完璧だ』
『お父さん、お礼に私、推敲してあげる』
娘は推敲の意味をわかっていない。が、しかし、父の最新作をああせいこうせいとチェックし、女性目線や青春性的文字感覚を造語を使ってじっくりと校正する。
『えーと あーせい 構成。お父さん、これで璧かんよ』(とりまOK?)
ベストセラーを記録した話題作は実は女性のゴーストライターがいたと噂されている。
青春バイブス的大作を書けたのは、紛れもなく娘の推敲力のおかげだった。
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