第47話 坂井晴人の視点

 2日目。


まだ佐々木柚は目を覚さなかった。


佐々木柚の担当医は、僕坂井がすることになった。


様子を見に行く。


「みんな元気ですか?」


「坂井先生〜! 元気ですよ」


佐々木さんと同じ病室の3人が返事をする。


「この間、お孫さんきてましたね。可愛かったですねぇ」


「そーなのよ。ちっちゃくてね〜。私の宝」


いつも通りの会話をして、病室に入る。


佐々木柚のベットには誰もいなかった。


ちょうど帰ってしまったところのようだ。



ほんときれいな寝顔だな。


しゃべったこともないのに、少し惚れてる自分がいる。


それと同時に、彼女のことを心配している。


日々、たくさんの患者に会ってるからなんとなくなんだけど、佐々木には影がある気がする。


普通の人よりも厚い影。


こんなきれいな人なのに、過去に何かあってそれを抱えているような。


目を覚さないのも、この世に生きていたくないからじゃないのか。


ストーカーされてるだけでも十分怖いし、ストレスだよな。


1人で抱え込んで辛かっただろうな。


よく頑張ったな。


でも、まだ生きててくれ。


僕は佐々木さんと話してみたいんだ。

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