第40話 柚の過去
私が通っている学校で、子どもが1人自殺をした。
その子は、私よりもひどいいじめを受けていた。
集団りんち。
男の子だったのだが、10人くらいから毎日のように暴行を受け、心はボロボロになって死んでいった。
その男の子の担任だった、教師は、仕事を辞めた。
その教師は、集団りんちしてた奴らから、バケツで水を頭からかぶせられた。
その教師もいじめられていたのだ。
授業では、誰も話を聞かず、背中に
「死ね」
と書かれた紙を貼られていたらしい。
保護者会でも凄い言われようだったらしい。
死んだのはあなたのせいだ。と。
でも、死んだのは紛れもなく集団りんちをしていたやつらで、そいつらは、のうのうと生きている。
許せない。
周りのみんなは、こう言っていた。
「死ななくてもいいのにね」
でも、わたしには、その男の子の気持ちがわかるように気がする。
死ぬしか選ぶことができなかったのだ。
きっと、その男の子は、たくさん考えたと思う。
いっぱい、考えた上で、
「死ねば、何も考えずに済む」
って、思ったのかもしれない。
わたしだって、そう考えたこともある。
男の子は、苦しかったのだ。誰にも言えないくらい。
私は、親にいじめられていることを相談できなかった。
なぜか。
それは、親に心配をかけたくないからだ。
親のことは大好きだった。
しかも、わたしは長女。
妹もいる。
そんな私がいじめられているなんて知ったら、
悲しむし、心配する。とても。
だから、どうしても言えなかった。誰にも。
1人で辛い苦しい日々に耐えてきた。
私も自殺した男の子のようになっていたかもしれない。
でも、わたしには男の子のように自殺する勇気はなかった。自殺できなかったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます