第12話 

「大丈夫?」


心が泣いていた。目に涙を浮かばせて。


職場だから泣くこと我慢してたみたいだけど、私が声をかけたら泣いちゃった。



「あ、ゆずさん。また唐木さんに怒られちゃって」


「あの人さ、人の間違いつつくの大好きだから、気になるのはすごくわかるけど、気にしちゃだめだよ。こころさん」


「はい。ご心配ありがとうございます」


またあの唐木か。


唐木はすぐ人の間違い、ミスを見つけ、それをみんなに言いふらす。


悪口製造マシーンだ。


あの人に悪口言われてないの誰もいないと思う。


ほんとにたち悪い。


しかも、影でこそこそ言ってるのが無性に腹立つ。


なんで人のミスをそんなに言いふらすんだろ。


怒る時は声でかいし。


声でかい人苦手だな。


こころ、まだ二年目なのに、すごい仕事頑張ってる。


しかし、唐木はそんなの容赦しない。


唐木は、機嫌がいいときと悪い時の差が大きい。


機嫌がいいときは、全然怒らない。


機嫌が悪いときは何をしても何か言われる。


嫌みの小言のように。


50代のおばさんで、嫌みを言うのが得意のようだ。


年上ということもあり、逆らえる人が全然いない。


この会社の長老みたいになってる。


でも立場は平社員。


なんなんだろ。


この立ち位置。


平社員なのに、態度でかいし、みんなの雰囲気ぶち壊すし。


迷惑きまわりない。


きっと、誰かをいじめてないと自分の幸福が感じられないんだろうな。


人を貶めて、それを見て、自分より下に立たされた人を見るのが好きなんだと思う。


可哀想な人。


私の大切な心を泣かせた唐木。


心には、少しだけ心を許せる。


私は、ギャルとか、明るい人とか、うるさい人は苦手。


過去にそんな辛い思いしてこなかったんだろうなという人も苦手。


心はいつもにこにこしてるけど、私の生理的に受け付けないゾーンには全く入らず、むしろ仲良くしたいなと思う。



だからこそ、許せない。


いつかギャフンと言わせたい。


 

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