第71話 幼生体。

 それは、一本でもドラゴンを屠ることのできる剣。


 それが何万本、一斉に襲いかかるのだ。


 これで倒せないと面倒かな。


 そう思いつつ前に出る。




 できればエクスプロージョンは使いたくない。

 使ったとしても最小のレイに留めたい。

 この遺跡を壊してしまいたくはないからね。



 ブラドが次元の位相を漂いながら逃げるのを、逃さず追いかけるヤイバ。


 Gaooooooo!!


 断末魔の声?


 剣の山。ブラドの体はその輪郭をもわからない程の剣で埋め尽くされ。



「やった?」



 そう思ったところでブラドが弾けた。


 一瞬目を逸らし、後方を確認。


 うん。レイチェルがちゃんと魔法障壁の重ね掛けをしてる。


 あれなら今の衝撃も耐えられる!



 と、ブラドに向き直った時。


 ああ。まだ、終わってない、か。


 内部から表皮をパージしたブラドの幼生体? が、そこに居た。


 その魔力量は先ほどよりも増え、エネルギーの塊となったその姿。


 あたしはドラゴンスレイヤーを一本、ドラゴンバスタードに進化させ右手に構える。


 炎の究極魔法アークレイズエレメントをバスタードに纏い、その目の前のブラドに向け飛んだ。




 位相を移り行きブラドに追いついたあたし。


 横殴りにバスタードを薙ぐ。


 ブラドが右手でバスタードを掴み、


 あたしはそのまま左手のシルトガントをブラドに当て黒褐色のカケラ、ビットを射出!


 ブラドの体内で弾けるビット。


 ここで。


 魔・ギア 解放!


 マギア・キャッツアイの権能、レイ・エクスプロージョン!


 左手の指の先から放たれたそれは、ブラドのコアを破壊。


 エネルギーが一瞬収束し、そして膨れ上がる!



 ん! ブラド、弾ける?


 このままこのエネルギーが弾けたらちょっと不味い、ね。


 ちょっとエネルギー総量が多すぎる。レイチェルの障壁でも持たないかも?




 あたしはそのまま左手からブラドのエネルギーを自身のインナースペースに取り込んだ。


 そして。


 漆黒に包まれていた部屋が晴れていくのがわかった。

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