第53話 人間とか猫とかそんな些細なこと。
最初、そこは何も無い空間に見えた。
でも。
温かい感情で満たされたその場所は居心地が良くて。
さすがにあたしも事象の果てからここまで跳ぶのにかなり消耗したのかそれ以上意識が保てなくてそのまま寝て? しまった。
ミーシャ柄の卵。
そんなイメージで固まって。
次第に。
その世界がいろんな感情で溢れて周囲の状況がわかってくると。
あう。
あたしもしかしてレイアのインナースペースの中に転移しちゃった?
っていうことに気がついた。
転生したわけじゃ無い。
ちゃんとレイアの心が育ってる。
って、これって詰んでない?
あたしがこのまま自分のインナースペースを広げたら、レイア潰しちゃうかもしれないよね?
たぶん、きっと。
前前世の日本の言葉で言ったらこれって『憑依』に近いかも。
でも。あたしがこのまま出て行ったら、ちっちゃな産まれたばかりのレイアの心はたぶんあたしのインナースペースに飲まれちゃう。
それは勘弁だ。
だから。
じっと我慢することにした。
なるべく殻に閉じこもって。
って、比喩じゃないよ?
ほんとに殻に閉じこもって。
ミーシャが産まれた。
レイアがほんとに喜んでくれている気持ちがすっごくわかる。
あたしもレイアの目を通じて産まれたばかりの自分をみて。
あは。やっぱり子猫はかわいいね。
すぐに死んじゃった兄弟。ガーゼに包まれて連れて行かれた。お庭に埋めてもらえるって聞いて安心して。
かあさんのお乳にすがりつくあたし。
うん。
なんだかすごく甘酸っぱいキオクを思い出した。
ただただ甘えて過ごせばよかった産まれたばかりの子猫時代。
幸せだったな。
そう思って。
人間とか猫とかそんな些細なことほんとどうでも良くって。
生きているってことだけがすごく嬉しくて幸せで。
ミーシャが怪我をしたレイアを助けた後。
あのベッドで詰め寄られた時。ミーシャのマナに反応しちゃってあたしからマナが溢れ。
で。レイアの心の中があたしのマナいっぱいになっちゃった。
しまったって思ったけどもう遅かった。
本来だったらゆっくり育つはずのレイアのマナ。
それをあたしのマナで塗り替えちゃったっぽい。
まあ、マナだけの問題で済んだからー。とか思ってたけど、これってちょっとふにゃぁ?
レイアの魔力紋は完全にあたし、ラギレスの魔力紋と同じになっちゃっていたのだ。
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