第49話 ミーシャの前世。

 まるで悪夢から覚めた時に様に汗をかいてる。


 そこまで悪夢でもなかった気がするけど、気分は最悪。



 って、今日は忘れずに覚えてるよこの夢。




 キオクの再生。記録をなぞっていたかのようなそんな夢。


 っていうかこの夢がミーシャの前世?


 ミーシャの、っていうか、ラギレスの前世のキオクなのか?




 昔まだ子供の頃。


 ミーシャに、金色になってってお願いした時。


 ミーシャがゴロゴロ言いながら金色になってくれた時だったかな。


 あたしの中に、ぽわんとしたクリーム色の卵が出来た。


 ううん。出来たっていうのはちょっとおかしいかな。


 卵があるのに気がついた、が、正解。


 その卵からだんだんぼんやりと金色のマナが溢れ出て。そのまま体の外まで溢れ出た。


 そのおかげでミーシャとおはなしができるようになったわけだけど、同時にミーシャのキオクみたいなものも少しずつ滲み出てくるようになった。



 小さい時は気がつかなかった。


 これがミーシャの前世のキオクだなんて。


 何度も何度も夢に見るけど、朝起きたらほとんど忘れてる。


 っていうか起きた時には覚えていたはずなのに、そこからどんどん忘れていく。


 定着しないキオク、そんな感じで。



 何度も何度も夢に見るうちに、何度も何度も同じシーンをなぞるうちに、その世界に自分が完全に入り込んでいる事に気がついた。



 あたしは、遥香としての人生を経験してる。


 夢なのに夢じゃなくて。なんだかおかしい……。






 定着しなかった記憶はだんだんと自分の中に残り始め、次第に夢の中では完全に遥香として自覚している事に気がついた。


 そして、それがミーシャの、いや、ラギレスの前世なのだと悟ったのだ。いつしか、ああ、そうなのだ、と、気がついたのだった。


 そして。


 溢れてきたミーシャのキオク。


 その前世がラギレスで。


 そして前前世が遥香。


 で。

 

 前前前世のアリシア。



 そこまでは理解したのだった。

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