第43話 コーラスとコルネリア。
教室に入るとそこには見知った顔ばかり二十人。
実は魔力を発動する子供って年々少なくなっていて、国内全部見渡してもわたしたちの年代はこの人数しかいない。
だからクラスは一つしかないしメンバーも去年とまったく同じ。
もうひとつおまけ。
このクラス、一人を除いてみな女子なのだ。
その男の子、コルネリウスって名前が本名なんだけどみんなコルネリアって呼んでる。
って、ほんとに男の子? って思うほど華奢でかわいい。
コーラスが自前のピンクのミニ騎士服をあげたら喜んで着てくるし、もうすっかり女子扱いなんだけどね。
「おはよー」
「あ、レイアさんコーラスさんおはようございます」
「コルネリアも今日もかわいいね。嬉しいな両手に花だよ」
なんてキザっぽいセリフを言い放つコーラス。
なんだかこの子生粋のフェミニストな感じでこんなセリフばっかり言うけど、あなた女の子でしょ? と、言いたくなる。
「って、コーラスの方が綺麗だし」
「そんなことはないよレイア。僕はね、君たちみたいな可憐な花を守るための騎士になるんだ。そう兄さんたちから教えられた。か弱い女性は守らなければいけない。それが僕の使命なのさ」
なんだか麗人って感じで胸に手を当て佇むコーラス。目を細めちょっとうっとりした表情で。
もう。
おまけに自分のこと「僕」だしね。
「コーラスさん、さすがです! 尊敬します!」
両手を合わせ拝むようにコーラスを見つめるコルネリア。
髪の色は違うけどコーラスと同じ髪型にしてるコルネリア。もうそうしてると双子みたいにそっくりだ。
ちょこっとコルネリアの方が背が低いかなってくらいで色違いのお揃いの騎士服で。
まあこうして見てる分には目の保養になっていいんだけどね?
今日は新しい学年の顔合わせだけで授業は明日からはじまるらしい。
先生の説明が終わり早々に解散だ。
馬車は待機場で待ってるけどどうしよう?
「ねー。今日ってどうする?」
「とりあえず懇親会とかあるって話だけどあれって自由参加だよね? 僕は不参加かな」
「私はコーラスさんと一緒にかえる!」
ああ。この子、今年から一人称私になったっぽい。去年まではかろうじてボクだったのにな。
かくいうわたしも気がつくとあたしって喋っちゃう。
ミーシャは自分のことあたしって言ってたしわたしもなんだかミーシャの喋り方うつってる所もあるんだけど、ね。
今は意識してわたしって言ってる。そこまでミーシャと同じになっちゃうと、ほんと自分がラギレスになっちゃいそうで怖い。
「じゃぁ、わたしもやめておこうかな」
「まあ、それがいいかもね。先生たちレイアと話したくてうずうずしてたっぽいから、思いっきり囲まれそうだよ?」
「あー。じゃぁぜったいパスだ。そういうのもううんざり」
「まあしょうがないけどね。気持ちはわかるよ。あ、そうだ。今日はうちに来ないか? 兄さんたち留守だから大丈夫だよ?」
「私行きたい!」
「うんうん。コルネリアはかわいいね」
「えへへ」
「あは。うん。遊びに行くね」
「うん。大歓迎だよレイア」
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