第8話 心の大きさ。
にゃ!
っとびっくりして。
たぶん今ものすごく目がおおきくなってる気がする。
っていうか。
この子、どうして……。
「あは。ミーシャのめまんまるだー。かわいいなぁ」
そうこちらを覗き込むようにアップになるレイア。
碧い瞳がキラキラして。
ほんと可愛いのはあなただよ。
そう言ってあげたい。
っていうか残念ながらあたし喋れないしね。猫の声帯じゃ言葉を話すのはちょっと無理。
ふにゃうあうう、あううあう。
みたいになっちゃう。
まあ、念話なら出来ないこともないだろうけど、こんな幼い子の心こじ開けちゃって魔力流したら、ちょっとかわいそうだからやめておく。
魔力っていうのを使うにはやっぱりそれなりの心の広さが必要で。
ん、ちょっと語弊があるか。
心の、インナースペースに余裕が必要って話だっけ。
大人になるまでにゆっくりと心の大きさを育てないとだめって話で。
まだちっちゃいうちに無理やり魔力を流すと、ちゃんと成長しないからとかなんとか。そんな事習った気がする。
まあ、あたしの場合はほんの小さい時から勝手に魔力が溢れてしょうがなかったし、たぶん最大魔力量も計測不能だって言われたことあるしで、ちょっと規格外っぽかったから参考にならないんだけどね。
どちらにしても魔法を使おうと思ったらインナースペースの出口は自分で開けないとだめ。
こう、心の奥底に潜っていって、どんどんどんどん奥に潜っていくと、まあるく見える出口があるの。
そこから手を伸ばすイメージ?
よいしょっと手を伸ばしてその出口開ける感じ。
で、伸ばした手で目の前のものを掴むとするでしょ?
そうするとそれを自在に動かしたりできる。
まあ、基本はそれ。
心の奥底にエネルギーを溜め込んで、それでもってそれを吐き出すためのテクニックが必要。
そんな感じ。
「ねえ。ミーシャ。わたしみてたよ。夢なんかじゃない」
レイアはそう、ぴかぴかの笑みを浮かべ。
「すっごく痛くって動けなくて苦しかったあのとき。あたしの胸の上で金色に光ってた。わたしを舐めてくれたよね。すーっと痛みが引いて気持ちが良くなってきて。結局そのまま寝ちゃった、けど」
レイアの手があたしを撫でる。
頭から耳の裏までを丁寧に。
うう、気持ちいい……。
「夢、じゃ、ないよね? ねえ。ミーシャ」
あたしはレイアの手に頭を擦り付け、自分から撫でられに行って。
ゴロゴロゴロって音がいつのまにか胸の奥から響いてた。
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