彼。笑顔だった。

しぬのかな。

なんで私、こんなこと考えてるんだろう。

もう戻らない日々。そして、まだ帰ってこない彼。

もう、会えないかもしれない。

それでも、笑顔で送り出してしまう。二度と会えなくなるわけでもないのに。

彼が見たがっている景色に、私はいない。彼の絵に、私はいない。分かっていた。知っていた。理解もしている。誰よりも。

それでも、どうしても、切なくなる。

そんなに私よりも、頂上の景色が好きか。

分かっていたことなのに。胸の上で鼓動が刺さる。いつかこういう日が来ることも、わかっていたはずなのに。

彼を引き留めることは、できない。私を引き留めておくことができないように。

踊ってみようか。いつかのように。彼のことを想いながら。できるだろうか。私の目の前から去っていった、彼のために踊ることが。

できてしまう。

踊れてしまう自分が、かなしかった。彼がいなくなっても、私は、彼を想って踊ることができる。


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