②
彼。笑顔だった。
しぬのかな。
なんで私、こんなこと考えてるんだろう。
もう戻らない日々。そして、まだ帰ってこない彼。
もう、会えないかもしれない。
それでも、笑顔で送り出してしまう。二度と会えなくなるわけでもないのに。
彼が見たがっている景色に、私はいない。彼の絵に、私はいない。分かっていた。知っていた。理解もしている。誰よりも。
それでも、どうしても、切なくなる。
そんなに私よりも、頂上の景色が好きか。
分かっていたことなのに。胸の上で鼓動が刺さる。いつかこういう日が来ることも、わかっていたはずなのに。
彼を引き留めることは、できない。私を引き留めておくことができないように。
踊ってみようか。いつかのように。彼のことを想いながら。できるだろうか。私の目の前から去っていった、彼のために踊ることが。
できてしまう。
踊れてしまう自分が、かなしかった。彼がいなくなっても、私は、彼を想って踊ることができる。
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