第20話 朝の話① 自己紹介カードの解説:後半 春子ちゃんの不安解消へ

「みんなは、今日、昼休みにサッカーをやりたければ、どうする?」

そう言ってみんなを見回した。

「友達を誘う時、昼休み、サッカーしない?と尋ねるでしょ。

それは、❶の友達の反応を引き出す力の「尋ねる」を今までの経験から使っている。

尋ねられると、応えないといけないものね。


そして、相手の反応で、いいよをもらうために「間」をとり待っている。

この時、相手の顔を覗き込むなど、反応を捉えようとしている。

これは、❷の「間」をとって、友達の反応を観る力を使っていることだよ。


そして、良い反応が感じられたら、にっこり笑って、一緒に運動場へ出ようなどと約束するしょう。

悪い反応が感じられたら、次はあなたのやりたい遊びをやるからさ、今日はサッカーをやろうよなどと誘うでしょう。

これは、❸の相手の反応を次の話になげている力を使っているよ。


みんなは、今まで無意識の内に❶❷❸の力を使っているんだよ。

生活場面で使っていた❶❷❸の力を授業でも使おうと言うことです。

もともとある力なんです。

だから、心配いりません。

だんだん出来るようになります。」

と言った。


それを聞いていた本間君が、

「俺、ぶきっちょだから。

短い時間に3つのことは、難しいと思うんだなあ。」

と呟いた。

本間君も本気で聞いていたんだ。

だから、こんなつぶやきが出たんだ。

みんな本気だなと思った。

先生は、

「本間君は、短い時間にたくさんの事はできないと思っているんだ。」

と語り掛けた。

本間君は、口を尖らせながらも頷いている。

「そうかあ。

でも、私はそうは思わないなあ。」と思わせぶりなにっこり笑顔でみんなを見て、本間君を見た。

「本間君、自転車乗れるでしょ?」

と問いかけ、

「みんなも自転車、乗れるでしょ?」

と言った。

本間君もみんなも頷いて応えた。

「だったら、大丈夫。」

と言う。

何で自転車に乗れたら大丈夫なんだよおと俺は思った。

「自転車に乗るには、ペダルを踏むことが必要。

同時に、バランスをとることも必要。

目標に向かうために、ハンドルの操作も必要。

公道を走るには、同じ自転車だけでなく、人や車にも注意しなければなりません。

何と、沢山のことを受け止め、石橋君もあなた達も、自転車の方向やスピードなどの操作をしているんだよ。

だから、大丈夫!」

と言い放った。

これだけはっきり言われると、そういうものかと思えてきた。

俺の中にあるなら、俺もできるかもしれないなあと思えた。

先生は、明るい笑顔でニコニコしながら柔らかな眼差しをみんなに注いでいた。

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