第17話 朝の話① 春子ちゃんの先を見る力と憂鬱

 すると、春子ちゃんは、

「凄いことなんだけど、どうすればできるようになるのかが分からない。

だから、春子、心配になっちゃった。」

と言った。

「春子ちゃん、すごいわねえ。

目標に向かって、どんな活動を重ねていけば達成できるかを考えたんだ。

見通しを持とうとしたけど、できなかったから、不安になったんだね。

素晴らしいです。」

と言ってみんなを見た。

「春子さんの素晴らしい所を先に言います。

次に、聴き手の様子を感じる力を身に付けていくかを言います。」と話の方向を先生が示した。

「まず、春子さんの素晴らしいところは、自分の伸ばし方が分かっていること。

自分を伸ばすために、目標をもったら、それに向けての活動をしないといけない。

そして、できたか、良いところはどこか、修正点は何かなどを振り返る。

そして、活動を目標達成まで継続していく。

これによって、自分を伸ばせる。

これは、PDCAサイクルと言われるものだけど、そのサイクルをもう持っている感じがする。

(黒板にP:目標達成に向けての活動計画、D:実践、C:振り返り、A:再度実践と書く。)

大人でも忘れてしまうことを言えるなんて、自分を伸ばす素敵な力が育っている証拠。

みんなにも、聴き手の様子を感じる力を育むことを通して、PDCAサイクルも身に着けてほしいと思っていたところ。

それが、もうできつつある。

素晴らしい。」

そこまで言うと、一呼吸置き、みんなを見回した。

ポカンとしている子もいる。

俺は、「へー。」という気持ちだ。

それらを見回し、

「大丈夫。

三学期には、全員、あの時の春子ちゃんを先生が褒めたのは、こういうことだったのか、と思わせてあげる。

今は、そうかなあと思っておいて。」そう言った。

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