第153話『カテンの森のトンネル小僧』


かの世界この世界:153


『カテンの森のトンネル小僧』語り手:ポチ    






 横に伸びる穴をトンネルというんだ。


 当たり前のことを思い出したのは十分くらいガスマスクを追いかけた時だ。


 トンネルだとは思えないくらいに地底の穴はグニャグニャなのだ。でも、トンネルと推測するのは間違っていないと思う。


 だって、いっこうに枝分かれというか分岐が無い一本道だから。


 これは、落ち着いてアナライズすれば簡単に分かるだろう。




 地べたに座り込んで、両方の壁に手を伸ばす。


 グヌヌヌ……体がちっこいので、両方いっぺんにタッチすることができない。


 


 エイ! エイ! エイ!




 仕方なく、反復横跳びみたくステップ踏みながらタッチ。


 グニャグニャになっている訳が分かった。ここはカテンの森の地下なので、カテンの巨木の根っこが深くまではびこっている。


 トンネルは根っこを避けて掘られているのでグニャグニャなんだ。もし、横穴とかを掘っていたらラビリンスになって、もっと迷ったことだろう。


 地中なので捜索には時間がかかるけど、反復横跳び100回で全体が分かった。


 トンネルは、カテンの森の地下一面に及んでいるみたい。みたいなんだけど、出口は意外に近い。


 右横の壁を一メートルほど行ったところから縦になっていて、そこを下りて行った形跡がある。ちなみに、そのまま足跡をたどっていくと、総延長は100キロを超えてしまい、大変なロスをするところだ。


 ポチという名前を付けられたせいでもないだろうけど、横穴は十分足らずで開けられた。あ、でも、ちゃんとタガーを使ってだからね。手で掘ったわけじゃないから。


 竪穴の底は青く光っていた。海かなあ? とりあえず飛び込んでみる。




 エイ!




 勢いで抜けると、引力が逆さまになって、三メートルほど突き抜けてから逆に落ちる。そのまま落ちては、また穴の中に落ちてしまうので、穴の縁を蹴って、ドサリと着地。一面の草が生えていて痛くはなかった。


 あ、こいつ!


 目の前に、探検隊みたいなコスで、脇にガスマスクを転がして寝ている男の子がいる。


「おい、起きろ!」


 馬乗りになって、頬っぺたをペシペシ叩いてやると「ギョエ!」っとカエルみたいな悲鳴を上げて目覚めやがった。


「あんたでしょ、デバガメみたくエスケープハッチから覗いていたのは!?」


「な、なんでえ!?」


 目をまん丸にして驚いた顔は意外に可愛い……んなことはどーでもいい!


 はずみで、緩くかぶっていたしょうちゃん帽がポロリと脱げて、立派な耳がピョコンと現れた。


 弧の耳はオオカミサンの耳だ! それが、ひどく似合っていて、自分でも目尻が下がるのが分かった。下がった目尻なんて観られたくないから、両手の人差し指で目尻を上げて詰問した!


「お、おまえ、正直に言え! 何者なんだあ!#o#!」


「な、なんで、来られたんだ!? あんなグニャグニャのラビリンスに掘ったのに!?」


「ああいうのはラビリンスとは言わん!」


 トンネルの単純さを指摘してやると、ガックリと肩を落とす。


「とりあえず、お腹の上から降りてくれないかなあ、ちょっと苦しいよ」


「あ、あ、ごめん」


 慌てて降りて、びっくりした。




 あたしってば、普通の大きさになっていたよ!




☆ ステータス


 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー


 持ち物:ポーション・300 マップ:14 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)


 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)


 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)


 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 


 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾


☆ 主な登場人物


―― かの世界 ――


 テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫


 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる


 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士


 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係


 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 


 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児


 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態


―― この世界 ――


 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い


 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長


 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る