第149話『ここはどこだ・2』
かの世界この世界:149
『ここはどこだ・2』語り手:タングリス
四号から降りて驚いた。
四号は石造りの建物一軒を押しつぶしていたのだ!
「しまった! 不可抗力とは言え、まずいことになったな……」
「……ヨトゥンヘイムの神殿……か?」
ナフタリンもたよりない。
「神殿なのか?」
「ヨトゥンヘイムの真ん中は広場になっていて、真ん中に巨大な神殿があるんだ。ヨトゥンの巨人たちがリカちゃん人形に見えてしまうほど巨大な神殿なんだぞ、下敷きのペシャンコになっているのは番小屋ほどの大きさしかないし……」
「ヨトゥンの街に似せたミニチュアのテーマパークとかではないのか? ヴァルハラには縮尺1/24のワールドパークあるぞ」
「んなの聞いたこともない。周囲と同じように縮んでも、ちょっとした街のカテドラルほどの大きさだぞ」
二人で不思議がっていると、四号の向こう側がざわついた。他の乗員も目覚めたようだ。
キャーーーー!!
「どうした!?」
急いで反対側に周る。真っ先に飛び出したのだろう、ユーリアが腰を抜かしている。
「ひ、人が押しつぶされてる!」
瓦礫の下から人の下半身がはみ出して、おびただしい血も流れている。他の者には見せてはいけない!
が……手遅れだった。
カチャ カチャ カチャ
あちこちのハッチが開く音がして、他の乗員たちも顔を覗かせている。
「華奢な脚だけど、これは男の人ね」
姫が冷静な判断を下す。
「ローブのようなものを着ている、身分のある者のようだ」
「なにか掛けてあげたほうが良くない?」
「なにか、探そう」
テルの呼びかけで、みんなが周囲を見回した。
「ア! 誰かいる!」
ロキが指差した。二階建ての家の陰に何者かが身を隠した。
「待て!」
姫がジャンプして、あっという間に捕まえてしまった。
それは、粗末な法服を着た少年だった。
「なんで逃げるのだ!?」
「姫、わたしが聞きます」
「……頼む、このままだと絞め殺しそうだ」
「ムヘンブルグの戦車隊のものだ。わたしは副官のタングリス。指揮官はおまえを掴まえた人だ。ここに着いたばかりで当惑している。ここはヨトゥンヘイムではないのか?」
「……ヨトゥンヘイムだったところだ」
「だったところ?」
少年は、我々の顔を順繰りに眺めまわすと、深いため息をついて俯いてしまった。
「え……まさか、マシガナさま? マシガナさまなのですか!?」
ナフタリンが驚いた。
我々も驚いた。
誰に対してもため口ばかりのナフタリンが『さま』を付けて畏敬のこもった口調で呼びかけたのだ。
☆ ステータス
HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・300 マップ:14 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
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