第124話『プレパラートの攻撃!』
かの世界この世界:124
『プレパラートの攻撃!』語り手:テル
ヘルムの島を二つに割ってヤマタは勝負に出たようだ。
「いったん戻った方がいいような気がする……」
「四号も飛べるようになったみたいだし、出直した方がいいような……」
ロキとケイトが気弱になる。
「四号が飛んだのは火事場の馬鹿力だ、安定的に出せるものではない」
ブリュンヒルデは自分のウィンドウを開いて見せた、黒魔法のフライはレベル5に過ぎない。なによりMPの残量が8しかなく、ファイアとかの初級魔法を二度ほどやったら枯渇するレベルだ。
ブーーーーン
小さな扇風機のような音をさせてポチが下りてきた。
「ユーリアの残像が山の方に続いていたよ。それと、なんだか分からないけど禍々しい気配が目の前の林からするよ」
突然の地震にビックリして飛び上がってしまったんだろうが、一応の偵察はやったようだ。
「機会があったらライブラの能力を付けてやるといい。報告の内容が、もっと具体的になる」
「うん、そうするよ。ポチ、中に入って休んでろ」
「分かったあ、ポチ休むの~」
みんな無事であることに安心したんだろう、通信機のベッドからは直ぐに可愛い寝息が聞こえた。
サワサワサワサワサワ……
灌木林の木々が一斉に葉っぱを揺する音がし始めた。
「これは……」
「車内に戻った方がいい、ハッチを閉めて、あの窪地に向かいます」
「分かった」
タングリスの勘に従ってわたしもブリュンヒルデも車内に戻る。
「亀が手足をひっこめるみたいだ」
「ほんとだ」
こども二人が分からんことを言う。
「だれが亀なんだぁ?」
「呼吸が合っているから亀が首や手足を引っ込めるのに似ている」
「四号のことだよ」
ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
ポチの時とは違う羽音が響いた。数が多い……なんてものじゃなかった!
ペリスコープから見える灌木林が振動しているように見える、いや、灌木林の木々の葉っぱが全て振動しているのだ。
「来るぞ!」
ブウウウーーーーーーーーーーーン!
羽音が大きくクレッシェンドしながら向かってくる!
「プレパラートだ!」
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ!
無数のプレパラートが四号の車体を叩いていく!
四号の装甲が削り取られることはないのだろうが、まさに身を削られるような不気味さ。例えて言うなら、数百人の歯医者に取りつかれて歯を削られているような気持ちの悪さだ。
そんな想像をしてしまったからか、プレパラートの衝突音はシュウィーーーーーーーーンという高速音に変わった。
プレパラートの衝突音が収まった時には、みんなレモンを丸カブリしたように酸っぱい顔になっていた。
歯医者のドリルを想像したのは、わたし一人ではなかったようだ。
「わ、スゴイことになってる!」
開けたハッチから真っ先に飛び出したポチが驚きの声をあげた。
「「「「「オオーーーーーー!!」」」」」
四号の塗装は全て削り取られて金属の地肌が露出していた。
そして……
露出した地肌は鈍色の鉄ではなく、眩いまでの金色であったのだ!
☆ ステータス
HP:11000 MP:120 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・80 マップ:9 金の針:5 所持金:1500ギル(リポ払い残高20000ギル)
装備:剣士の装備レベル45(トールソード) 弓兵の装備レベル45(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
白魔法: ケイト(ケアルラ)
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
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