第4章 ケース3:みなみな私のもの
第23話 久しぶりの
2日目のバイトを終えた凛太は家に帰ると、すぐにゲームを付けてテレビに向かった。
頭の中には今日を乗り越えた安心感と、何もかも忘れたいという気持ちがあった。だから、とりあえずゲームに没頭することにした。
バイト先の病院にて、治療を終えた後は昨日のシフトの時と同じく「君には才能がある」と、馬場院長と増川に言われた。
危険な悪夢だったのに1人で、しかも初めてで患者さんを治療できるなんてすごいと褒めちぎられた。馬場のテンションなんてそりゃもう高くて、その道で100年に1人の天才を見つけたかの如く騒いでいた。
帰りに馬場からもらったコンビニで買って来たであろう食品と飲み物の詰め合わせが入ったビニール袋を開いて、目に付いたものの封を開ける。奢るという約束はしっかり果たされた。
どうにかして自分をつなぎ留めたいらしいが、昨日の刃物女も腐った園児達も今も鮮明に頭に残り、思い出す度に心臓の辺りを締め付ける……。
凛太はそのままお昼前までゲームを続けた。面白くて熱中した訳でも、目標を持ってプレイしていたわけではない。ぼんやりとした頭でコントーローラーを操作し続けて、気づいたらその時間という感じだった。
凛太はそれほどゲームのヘビーユーザーではなかったが、休日や友達と遊ぶときにパーティゲームなんかはよくやっていた。やる頻度は低いけれど、やりだすと止まらなくなる。何かを忘れたいときはゲームをするのが一番だ。
疲れた目をぐっと閉じながら、窓を開けてベランダに出る……じりじりと街を焼き始めた真夏の太陽が目に染みる。今日も狂ったように暑くなるんだろう。目を半開きにして太陽を睨みつける……。
けど、心地良い。明るくってなんだか守られてる感じがする。落ち着く……。
明日というか今日はバイトは無い。約束のバイトをやめても許される1週間後まで残された勤務は後2回、明日行って、もう1日休みがあって、その次の勤務で終わっていいはずだ。
だから今日の予定はからっきし未定。何をして過ごそうか……あっちぃから日中に外出はしたくないな……ちょっと寝足りないから昼寝もするだろう……。
凛太はしばらくベランダで日向ぼっこをした。洗濯機とエアコンの室外機に挟まれて陽の光を全身で受け止める。深夜の病院で過ごした後だからか異様に気持ち良い。
日向ぼっこに満足した後は、昼寝をする態勢に入った。太陽のおかげで良い具合に怖い体験が薄れてくれたのでよく眠れそうな精神状態になった……。
枕を丁度良く盛ってふんわりさせる。クッションを抱き枕にして両手で抱える。家族以外には見せられない女の子のような寝相。この眠り方をすればいつもぐっすり眠れた……。
お金を貯めた後はどこに旅行に行こうかなんて考えながら、布団を羽織らずにすーすーする夏用のシーツで身を丸めるといつものようにスムーズに……。
眠りに落ちると、物心ついてから久しく見た覚えがない悪夢が始まった。
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