第9話 家庭教師と魔法
こんにちは、トラウです。
今度は家庭教師に魔法について習っている。
習ったことの中で驚いた事が幾つかある。
まず、杖というアイテムの存在。ファンタジーでは定番中の定番だったが、この身1つで魔法は使えそうな感じだったので、完全に失念していた。
この世界における杖とは、魔法の使用をサポートするツールのようだ。杖を通すことで、魔力の流れが1本にまとまり、魔力操作が簡単になるらしい。それによって、1回で操れる魔力量が増え、より規模の大きい魔法を使ったり、魔力ロスを減らしより少ない量で同じ規模の魔法が使えるらしい。もちろん、操作性が当たるので、命中率も上昇する。
それが基本的な普通の杖の説明。
その他には一部、特殊な杖が存在し、一種の魔道具になっているらしい。属性石と呼ばれる魔石の一種を組み込んだ杖になっており、それを使うことで、自分の適性外の魔法も使えるようになるらしい。ただ、その杖を使って魔法を放つ際には、絶対にはまっている属性石の属性の魔法しか使えないようだ。
因みに、自分に適正がある属性石がはまっている杖の場合は、普通の杖より、より効率よく、より大きな魔法が使えるようになるとの事。
僕は加工系の魔法があるので、自分にあった杖を作ってみたい。狙いを定めるという点で考えると、銃の形にするのが効率的だろうか。
因みに、属性石は一般的な魔物が持つ、魔石が変質したものなので、もちろんレアである。しかも、属性石を持つ魔物は亜種と呼ばれ、属性石の属性の魔法を使えるので、通常種の1.5~2倍ほど強いらしい。まぁ、つまり属性石は高いということだそうだ。更に、属性石は基本的に基本5属性と、上位属性の分の10種類しかなく、固有属性の属性石はほとんど確認されていない。一部の例外として、ダンジョンと呼ばれる場所の最奥にいる、ダンジョンボスと呼ばれる魔物は極々稀に固有属性の属性石を持っていることがあるらしい。それは高価すぎて、国宝になったりすることもあるのだとか。創造魔法を極めれば自分で生産出来るかもしれないが、今のところは無理らしい。創造魔法も、魔法と名のつく技術なので、魔力操作が必要になる。希少なものを作るには精密な魔力操作が求められるわけだ。特に魔力に関連するものはより精密に魔力を操る必要があると思われる。とりあえずの目標として、属性石の生産を出来るようになることにしようと思う。
次に、固有属性魔法についての話。今まで記録されている中で、確認されている魔法は、雷、闇、光、時間、空間、回復、の6つらしい。つまり、僕の属性は新しい属性だということだろう。
雷属性は、電気などを操れる魔法。闇と光は対を成す魔法で、勇者と魔王が持っていたのが初めらしい。魔法としては闇は状態異常を引き起こす魔法が多く、光は回復や身体能力強化などのサポート系魔法が多いらしい。時間魔法は時間を操る魔法。空間魔法も同じく。このふたつは、同じ人間が持っていることが多いらしい。付与とか出来たら便利そうなのに、と思っていたりする。ファンタジーではテンプレの収納袋的なものをつくりたかったのだが。最後の回復魔法というのは、固有属性としては比較的見つかりやすい魔法属性で、その名の通り回復するための魔法が使える。無属性の自然治癒力を高めることによる回復とは違い、即効性があり、上達すれば欠損部位の再生もできるらしい。
最後は、先生は多分王国で、1,2を争うレベルの魔力操作能力を持つ人であるということ。ただ、魔剣士という、魔法特化型のステータスを持つjobじゃなく、また、僕みたいに子供の時から魔力量強化をしていた訳でもないので、連射性はあまり期待出来ないらしい。適正が、火、無、音なこともあり、騎士団時代は無属性による身体強化や、音魔法による
「物理に対し耐性がある魔物の代表例はスライムだな。」
やっぱりこの世界にもいるんだな、スライム。少し見てみたい。
「因みに、スライムは魔物がいるところには大体いる。奴らは繁殖力と適応力が高く、いろんな種類がいるな。魔物の中で最弱級のヤツもいれば、
亜竜クラスとなれば、町一個分の被害をもたらしかねないレベルだ。領主などが知れば、討伐隊の編成は必至という感じ。
その上は
逆に下は、そのクラスの代表的な魔物からとって上から、
そんなこんなで、多少脱線しつつ先生からの魔法の講義は終わった。この後は、実際に魔法を操る練習をするらしい。
という事で、屋敷の魔法訓練場にやってきた。的があって練習がしやすいかららしい。
「まず始めは、水属性魔法の初歩、
「分かりました。」
「
先生が的に向け右手を突き出し、その先に魔力を収束させる。ほとんど無駄なく、魔法というエネルギーに変換されている。実は最近魔力について研究したいという欲求にかられ、元理系の血が騒いでいるのだが、とりあえずその感情は心の奥にしまい込む。収束仕切って火球となった魔力は、的に向けて一直線に進む。的のど真ん中に当たった。
「まぁ、こんな感じだ。わかったか?」
「はい。1回やってみます。」
「そうしてくれ。」
右手を的に向け突き出し、その先に魔力を集める。
「
先生が作った火球より、ひとまわりかふたまわりほど大きい水の球ができた。
「む?あのサイズは…。」
先生がなんか言ってる気がするが、無視して的に向け水球を放つ。水球は先程の先生の火球を超える速度で的に向け飛んでいき、着弾した。
着弾の衝撃で、周りの砂が舞い上がる。
「ゴホッゴホッ…どうなったんだ?」
少しずつ視界が晴れる。視界が晴れ切った後、見えたものは的があった部分に発生したクレーターだった。
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