大賢者は生産職 ?〜アカシックレコード使って生産無双~

水草。

序章

第1話 転生と勘違い

 僕は日野奏多ひのかなた。至って普通の男子高校生である。

 いや、未だに厨二病が抜けきらないことを除けば、至って普通の男子高校生だ。


 そんな僕は、今ありえない光景を目にしている。単刀直入に言おう。自分が死んでるところを見ている。何を言ってるかわからないと思うが、自分も何を言っているか分からない。

 正直なところ、心残りはほぼない。勉強と部活だけのつまらない日常をすごしていたし、親は1年前に死んでいた。兄弟もいないし、自分が死んで悲しむ人もほぼ居ないだろう。親が死んで塞ぎ込んでいたせいで友達居なかったし。あるとすれば、彼女いない歴=年齢だったことだろうか。


 周りの状況から察するに、歩道にトラックが突っ込んで、運悪く僕を弾き飛ばしたらしい。多分即死だったっぽい。だって死んだ記憶ないし。


 僕どうなるんだ?輪廻転生って仏教の考え方があるが、それに戻るのだろうか。


『いいえ、貴方には輪廻転生の輪からはずれていただきます。』


 オオゥ!? 急に頭に声が響いてきた?まぁ、もう死んでるから頭もクソもないと思うけど。若めの女性の声だ。あんた誰よ。


『私はあなた方の住まう世界とは異なる世界を管理している神です。』


 異なる世界の神って。量子力学の多世界解釈って間違ってなかったんだな。てか、神様って沢山いるのか?神道の八百万の神って正しいのだろうか。流石にそんなに居ないか。


『いいえ、八百万の神という考え方は一部を除き、ほぼあっています。1柱の神で世界を成り立たせようとすると、多分神は一瞬で干からびます。なので分担して世界を維持しています。私は別世界の1番力の強い神でその世界の神々を統括しています。です。ただ、中間管理職のようなものなのですが。』


 へぇー。それが世界に出回ったら宗教とかってぶっ壊れそうだな。信徒が多い一神教もあるし。

 というか、そんなこと考えてる場合じゃない。もう1度よく考えてみよう。………え?タンマタンマ。輪廻転生の輪から外れる?じゃあ僕どうなんの?


『貴方には異世界に行っていただきます。行くと言うと多少語弊がありますね。貴方の知識に置けるところの、所謂異世界転生というものです。記憶は残りますが体は完全にあちらの世界のものになります。』


 まじか。ラノベでは定番中の定番だが、自分がその立場になるとは。どうせ拒否権はないだろうし、どんな世界に行くのかは知らないけどこっちの世界より楽しそうだ。


『話が早くて助かります。最近の日本の若者は話が早くて楽ですね。貴方に転生してもらう世界は日本の「らのべ」と呼ばれる書物に出てくるような「あーるぴーじー」の様な世界です。剣と魔法の世界で、jobやスキルなどがある世界だと思って頂いて結構です。』


 じゃあチートとか貰えるんだろうか?大賢者とかそんなチートjobが貰えるとかそんな特典があるといいな。かっこいいし。


『いいでしょう、貴方は私の都合で別世界に転生して貰うのです。それぐらいのサービスは致しましょう。その内容はjobが大賢者になる、で宜しいですか?』


 え、まじ。そんな簡単に認めてもらえるのか。まあ、いいや。チートあればそれなりに楽しく生きれるだろ。


「 それでお願いします。」


 よく考えたら、死んでから初めて普通に喋ったな。喋る必要ないのに、心読まれるし。そういえば、神様の都合で転生させられるって言ってたけど、僕は転生先で、何かしなくちゃいけないんだろうか?


『いいえ、そんなことはありません。転生先の世界に私が干渉する必要があったために、貴方には異世界に転生して頂くのです。神は基本的には下界に干渉することは出来ませんが、例外があります。それは異世界からの魂の流入があった時です。貴方が選ばれたのは、タイミングよく死亡された日本の若者だからです。最近は神の負担をなるべく軽減するために日本の若者を転生させることが推奨されています。話が早い方が楽ですからね。』


 ぶっちゃけたなこの神様。へぇー。神様も大変なんだなぁ。何もしなくていいならのんびり過ごしたいなぁー。


『それでは貴方を異世界に送ります。良き人生を歩めることを心からお祈り申し上げます。』


 そんなこんなで異世界に転生した。


 因みにその時の僕は知らない。大賢者というjobがゲームなどのように魔法に、所謂魔法職では無いことを。そして、とんでもなくぶっ壊れなjobなことを。


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