第2話 雨の匂い

 雨が降る前は匂いでわかる。

 そう言うと、君は「ペトリコールでしょ」と自慢げに教えてくれた。私はそれに微笑みで応える。

 でもね、違うんだ。庭の百日紅の木があるだろう。君を殺して埋めようと思ったその日から、雨の降る日には百日紅から、君の香りがするんだよ。

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