白の反逆 生命編

ニソシイハ

優しい、嘘

 都市部から少し離れた郊外。早朝という事もあり人気の無い道を走る灰色のオンロードバイクが、黒いコンクリートを少しだけ抉っていく。

 乗っているのは二人の男女で、運転している男の名はロック。灰色の髪をワックスとスプレーを使い派手に乱したような髪型だ。そして彼の背後から腰に手を回しがっちりと抱きしめている女はイア。艶のある綺麗な緑色のショートヘアをしているが跳ねているくせ毛もあった。


「少し離れた商店街に行きたい! って、いきなり言っちゃってごめんねロック?」

 ロックの背中にイアは顔を埋めて言ったが、おかげで反省の色は見られない。彼らはお揃いの黒いパーカーを着用しており、今度はロックの言葉が返る。

「いいんだよいいんだよ。優しいだけが俺の取り柄だってイアも言ってただろ? あれ……もうエネルギーが切れたか。昨日見た時は結構残ってた気がするんだけど……」

 彼が運転する機体の残りエネルギーは尽きようとしていた。スピードメーターの右に表示された残りエネルギーは既に5%程度。

「あっ、ちょうど近くにセルフのエネルギー補給所あるって!」

 イアはタブレット端末に周辺のマップを既に表示させていた。その知らせを聞いたロックはバイクのスピードを徐々に落としていき、左の歩道に寄せると右足を高く上げてから降りた。

「うーわ、カッコイイ降り方」

 明らかな嘘を吐いたイアは大人しく、椅子から離れるような軽い動きで降りていた。彼女は灰色のホットパンツを履いており、膝上ほどまでの丈があるニーソックスも着用している。

「悪かったな嘘つき!」

 ロックはそれ以上の返答はしなかった。イアが完全にバイクから降りた事を確認すると、黒いズボンの右ポケットから灰色の小さい棒状の物体。板ガムのパッケージほどのサイズをしたカプセルを取り出した。それがバイクに向けられた途端、粒子となったように吸い込まれていく。数秒ほどでバイクはカプセルに完全に収まってしまった。


「ありがとな、【ROCKING’OUT】」


 ロックはカプセルに口を近づけ囁いた。【ROCKING’OUT】と名前が付いたバイクは彼の『人形ドール』である。

「やっぱりロックの人形ドール、羨ましいな~……嫉妬しちゃう」

 単に性能の問題か、はたまた近くで囁かれた事に嫉妬したのか分からない程度の表情を出したイア。だがロックはそんな彼女にも振り回されてはいなかった。

「はいはい後で同じように近くで名前呼んでやるからよ、耳元で叫んで鼓膜ぶっ壊してやる」



 *



 それからもおちょくり合う発言が続いていたが、直接的な暴言や罵倒は全く出なかった。それは彼らが幼なじみであり、恋人同士でもあったからだ。お互いがお互いを支え合い、信じ合ってきた成果は出ている。

「エネルギー補給ゥ!」

 いつの間にか目的地には辿り着いており、補給ボックスに駆け寄ったロックは勢いよくカバーを開きカプセルをセットした。かつてガソリンスタンドとして機能していた施設は、今となっては人形ドールのエネルギーを補給する場所へと変貌を遂げている。



 20年前のある日、世界政府総長の娘に突然『人形の白』という不可思議な力が謎の人物によって授けられた。謎の人物の名前は“イシバシ”と噂されている。

 当時5歳だったその娘は力の制御なんてものは到底なし得ず、当時生きていた人間、その後に産まれた人間関係なく、全ての人類に平等に『人形ドール』が取り憑く結果となった。取り憑いたとは言っても悪霊のように害を与えることはなく、基本的には持ち主の思いのままに動き従う。

 人形ドールは十二の色で区別されている。黄、赤、青、水、緑、黄緑、紫、茶、ベージュ、オレンジ、ピンク、灰だ。

 更にそれぞれ固有の特殊能力を持ち合わせており、【ROCKING’OUT】は“バイクとして走行できる”能力といった具合。特殊能力は総長の娘の知識、経験、願望が元になっている。

 しかし『人形ドール』を動かすにもエネルギーが必要で、廃業寸前だったガソリンスタンドが食いついた。現在車は殆ど利用されておらず、機動力に優れる人形ドールまでにもなっていた。



「……ほんと、ありがとねロック」

【ROCKING’OUT】のエネルギー補充中の静寂を破ったのはイアだった。彼女の青い目は下を向いており、後悔も混じっている様。


「私と、一緒にいてくれて」

「……いきなりなんだよ?」


 普段とは見せる態度が違う彼女に戸惑い、それを隠すようにロックは、ボックスの中にあるカプセルを見つめながら言った。

「私は、詐欺で全てを失った。家も、家族も。でもロックの家に引き取ってもらって……おかげで、こうして生きていられるんだからさ、言ったの」

 唐突、尚且つ今更すぎる感謝にロックも動揺してしまっていた。彼は持ち前の優しさを遺憾無く発揮する事しかできない。

「イアはただの被害者。まだ小学生の頃だろ? 詐欺なんて絶対分かんないって。礼なんて必要ない。窮屈な世界でも、生きる場所は平等にあるべきなんだよ」

「あ……うん、そうだよね。ただの、被害者」

 ロックは励ましの言葉を送ったものの、やはりイアの様子に疑問を持ち続けてしまっていた。

 彼女はどんな時でも軽い嘘をつく。しかしどれもの範囲内であり、人を過度に傷つける嘘は無かった。

 対してロックは幼少期の頃から『優しい』とは言われ続けていたものの、それはであり、無理に褒めどころを探す大人達が植え付けた印象。しかしロックはそれを疑う事なく信じ行動し続け現実のものとし、嘘のない本物の『優しさ』へと昇華させていた。



 *



「補給完了ぉ……」

 エネルギーは満杯になったがロックのテンションは下がりきっていた。ボックスからカプセルを取り出し、ポケットに戻した後にやっとイアの方に振り向けた。

「さっさと行こうぜ?」

 これもロックの優しさだった。無闇に他人の事情には首を突っ込まず様子を見てから、自身がやれる事をやる。見極めてからロックは行動する性格だ。


「あ、うん。…………ちょっと待って。話し声聞こえない?」

 少し悲しげな声色のイアは、近くに他の人間が居る事を小声で伝えた。同調し口を閉じたロックも耳を澄まし、彼も何者かの話し声を確認できた。


『……あ…………っちはどうだい? こ………だ』

「……嘘じゃないみたいだけど、別におかしくはないだろ。朝の散歩を日課にしてる人かもしれないし」


 しかしロックも小声になっており、イアと同じく警戒している事は明らか。彼は声が聞こえる背後に顔を向けると、警戒の意識は更に強くなってしまう結果となる。

「あそこから……?」

 彼の目に映ったのは使われなくなった廃工場。錆び付いたタンクや配管は、早朝の太陽に照らされ不気味に光っていた。今にも崩壊寸前と見て取れる煙突まである。

「散歩してるんだったらあんな所に行くのはおかしいし、危ないでしょ。だから……注意しに行こうよ。『優しい』が取り柄のロックさ〜ん?」

 イアはロックのそばまで歩き、彼の右肩に左手を乗せた。顔も近づけ、ロックの選択肢を順調に潰していく。



 *



 根負けしてしまったロックは渋々廃工場へと足を踏み入れる事となった。不法侵入となってしまわないか心配はしていたが、イアが調べた限りでは所有者や責任者の情報は出てこなかったため、入っても犯罪行為にはならないと丸め込まれた。

「もう声は聞こえない……ここにはいないのか?」

 ロックの願望が篭った発言だったが、直後に彼は裏切られる事となる。天井は大きな穴が空いており、既に壊れかけだった骨組みの鉄骨がバランスを崩し、ロックの頭上へと襲いかかった。


「危ない……! お願い【LIAR】! ロックを助けて!」


 イアがホットパンツの左ポケットからカプセルを取り出し、名を叫んだ瞬間。現れた人形ドールは鉄骨に右ストレートを直撃させた。大きく激しい金属音が響いたものの、鉄骨は吹き飛び廃工場の床に擦り付けるだけで収まった。

「うおっ……。ありがとなイア、まさかこんなタイミングで丁度よく落ちてくるなんて」

 イアの人形ドールである【LIAR】は、人間の骨に竜巻状の緑色をした鎧が巻きついているような姿だ。竜巻の鎧とは言っても中身の骨は所々見えており、防御面には期待できない印象。

「いや……これは仕組まれてるよ、最初から」

 お礼を告げたロックだったが、イアは歯を食いしばり辺りを見回していた。まるで誰かを探しているように。ロックも今の倒壊が自身を狙っていたものだったとようやく気づき、緊張が高まっていく。



「……約束が違うんじゃないか? イア」



 突然、彼らの背後から何者かが近づき語りかけた。ロック達が入ってきた入口付近に立ち、外からの光がまるで後光のように射す。背丈はロックよりも更に高く2メートルは軽く超えていた。

「そっちこそ、でしょ……ナイド!」

 現れた男の名前はナイド。緑色のジャケットを羽織っており、傷だらけのジーパンも履いている。眼はやや細く、そして右目を隠すほど長い髪の色はロックと同じ灰。

「あ、さっき聞こえた声と同じ……良かったぁ無事だったんですね」

「……ロックは呑気過ぎ」

 心配していた人物が無傷だった事に安心したロックだが、そんな彼が探しているような人物とはかけ離れていた男がナイドだ。ナイドはジャケットの胸ポケットからカプセルを取り出すと、人形ドールが現れ並び立つ。


「【MIDNIGHTER】……これが僕の人形ドールさ」


 【MIDNIGHTER】はいかにもロボットと言った風貌で、灰色の胴体はまるでエスカレーターの踏み板のようにギザギザとした波状。顔の部分は人間と同じようなパーツが無機質ながら揃ってはいるものの、口は開いたままで可動には対応していない。四肢は細く黒い支柱を中心として、カバーのようにフラットな灰色の板が覆っている。更には両腕が特に長く、床に擦れてしまうほどだった。

「俺と同じ灰色! しかもカッコイイ……ちょっと見せてもらっていいですか?」

「ちょっとロック!」

 無闇に近づいたロックにイアは驚き、早歩きを始め結局彼女もナイドへと誘導されてしまう。しかしロックはつまずき体勢を崩した。彼が左足を踏みしめた床は塗装が剥がれており、少しの段差が出来上がってしまっていたからだ。


「うおっ」


 だがロックは転ばずに、左足を中心に身体を反時計回りに回転させ始めた。そして背を向けナイドに行動を悟られない瞬間、腰をやや右に傾ける事で無理やりカプセルをポケットから放出させた。カプセルは落ちてきた右の掌にすっぽりと収まり、その後右足を着地させ更に回転の勢いを高める。


「……【ROCKING’OUT】!」


 ロックが振り向きナイドと目が合ったと同時、カプセルから【ROCKING’OUT】が突如現れた。まるで後輪を足、前輪を頭と見て取れるように縦に立っている。ロックは高く跳躍し、バイクのハンドルにしがみつき体重を委ねた。当然【ROCKING’OUT】は前に倒れてしまい、ナイドを押しつぶす勢いだ。

「なんだと!?」

 予想外の攻撃に反応は遅れていたが、【MIDNIGHTER】が両手でバイクの前輪を支える事で防いだ。おかげでナイドを守るものはこの瞬間何も無かった。

「私も!」

 ロックと【ROCKING’OUT】の体により、ナイドには迫り来るイア達の姿を視認できてはいなかった。【LIAR】はバイクの陰から奇襲を仕掛け、今度はナイドの左脇腹に右ストレートを撃ち込んだ。

「ぐっあぁ!」

 情けない喘ぎ声と共にナイドは吹き飛ばされ、廃工場の脆い壁まで転がり込んでしまう。【MIDNIGHTER】は盾になるようにナイドの前まで飛び退いた。つまり人形ドールを操るナイドの意識は失われていない事も二人は確認できていた。

「まさか君達……」

 壁にもたれかかりながも立ち上がったナイドはイアを見つめた。彼は油断していた様子のロックを始末しようとしていたが、イアの攻撃が向かってくるとは思っていなかった。

「そう、ロックが油断しているっていうのも嘘で……私が慌てた様子を見せたのも嘘。最初からあなたを倒すためにね」

「初対面で挨拶すらしていないのにいきなり人形ドールを見せてきて、しかもこんな廃工場でだ。怪しすぎるだろ」

 作戦が上手くいった二人は微笑ほほえみ余裕の表情。しかしナイドも口角を上げ始め、使われなくなったプラスチックの箱に寄りかかる。

「なるほど、【LIAR】の能力は“肉眼で見た人間の発言が嘘かどうか分かる”というものだったな……」

「ロックはカッコイイなんて言ってたけど、私には嘘って分かってたから」

「それで、なんでこんな所にいるのか目的を聞かせてもらおうか?」

【ROCKING’OUT】から降りたロックは威嚇するように、比較的大きな声で質問を繰り出した。彼自身は優しい性格だが、笑えない嘘を吐く人物には人一倍厳しかった。



「…………イアと、ある取引をするためだ」



 彼女の名前を提出され、ロックの頭上にクエスチョンマークが浮かぶ。先程の様子からナイドとイアは知り合いだとは分かっていたものの、『取引』なんて言い回しはきな臭いとまで感じている。

「ごめんロック。商店街に行きたいっていうのも嘘……本当はこのナイドって奴と会いたかったの」

 珍しくイアの嘘にまんまと騙され、ロックには少しの後悔が生まれてしまう。だが同時に今日の彼女の行動を改めて考え直してもいた。


「エネルギーが少なくなっていたのも、丁度よく補給所が近くにあったのも、話し声への誘導も……全部イアが?」

「……うん。昨日の夜、あそこの補給所の近くでエネルギーが切れるようにカプセルから抜き取ったの。本当に、ごめん」


 彼は裏切られたとは感じていた。しかし彼女がそんな行動を取るには何か意味もある、という信頼もあった。

「でも約束が違うじゃないか。僕は『意識を失ったロックを連れてこい』と言ったんだ。だから鉄骨を落としたのさ。……約束を破った君達は始末しないといけないからね」

「……どうせ、最初から殺すつもりだったくせに。私には分かってたよ。だって【LIAR】の本当の能力は、“声を聞いた人間が嘘をついているかどうか直感で分かる”っていうものだから」

「そうか……電話で話していた時から騙されていたって事か。いやぁ、僕の完敗だよ」

 心当たりのない会話を繰り広げられたため、ロックは置いてけぼりとなってしまう。“ナイドは自分を狙っていたが、意識を失った状態ではなかったため殺されそうになった”という所までは理解はしていた。

「えっと……なんで俺を狙ったんだ?」

 単なる好奇心。ロック自身は狙われる心当たりなどはなく、ナイドを警察に突き出す前に聞いておきたいと思ってもいた。



「……それはね、イアを口封じ。殺すためだ」



 ますますロックは困惑する。今までの話だと自分が目標だったと捉えていたのに、実はイアを殺そうとしていただなんて。

「このっ……!」

 するとイアは走り出そうとした。今度こそナイドを仕留めようと殺意のこもった瞳で。だがロックは右手を彼女の前に出し立ち止まらせる。

「イア……俺に嘘をついてたんだよな。間違いなく、だ。俺はその真実を知りたい」

「う……ごめん。分かった」

 まるで失望したように低い声でロックは話したが、声色は優しかった。イアには何かのやむを得ない事情があると彼は確信していたからだ。

「続きは……話してもいいみたいだね」

「ああ。但し逃げようっていうんなら……こいつで追いかけっこだ」

 ロックは【ROCKING’OUT】のヘッドライトを優しく二回叩いた。


「まずは何故イアを殺そうとしたか、からだね。根本の原因から話すとね、イアの両親を騙した詐欺グループ……その一員が僕だったのさ」

「お前が……? でもお前は随分と若い風貌じゃないか」

「グループの中には“外見を若返らせる”能力の人形ドールを操る者もいるんでね。まあ僕は元々若い頃から入ってたし、本当の外見とさほど差異はないよ。おっと、話がズレてしまったか」

 追い詰められているというのに、ナイドは余裕を崩す事はない。何か奥の手があるのかと警戒し、ロックの緊張は更に高まる。

「イアは当時小学生。世間からは『両親自殺! 借金だけが残された哀れな少女!』とかなんとか同情されていたけど……真実は違ったんだ」

「……っ!」

 歯ぎしりを激しくさせたイアの様子に、ロックの額には少量の汗が流れ始める。幼い頃からの関係が、壊されてしまう。そんな予感が彼の脳裏を過ぎってしまっていた。


「ロック、君でももう理解はできるだろう。【LIAR】の能力を小学生の時から既に使いこなしていたとしたら」

「ま、まさか……!?」

「ああそうだ!  詐欺だと分かっていながら両親を止めず、更には自殺にまで追い込んだ張本人なんだよ! イアは!」


 ロックは慌ててイアの顔色を確認しようと振り向いた。しかし俯いており、黒い陰と緑色の前髪で表情などは全く見えていなかった。

「グループの中には“肉眼で見た相手の思考を見通す”能力を持った人形ドールもいるんだ。その時は【LIAR】の本当の能力までは見通せなかったみたいだけどね。『見て見ぬふりをしていた』という後悔しか見えなかったらしい。でもマスコミに紛れ込んだその彼のおかげで、メディアの前でも悲劇のヒロインを気取っていた事が分かると……僕達のせいでもあったけど、見ていて本当にうんざりしたさ。……それとしまいには、ロックの家に引き取ってもらったとか。嘘で家族を捨て、好きなものを手に入れる。失望するだろう?」

「ロックごめん……!」

 ロックはイアを見つめ続けたまま話を聞いていた。いくら優しいとはいっても、ここでどんな励ましをすればいいのか。彼にも分からなかった。

「だけど、イアは僕達の事を最近になって調べ始めたんだよ。まぁそれは僕の人形ドールであるこの【MIDNIGHTER】の能力、“自身の事を調べようとしてきた人物の個人情報がデータとして手に入る”力ですぐに勘づいたから……過去の事件の証人でもあるイアを始末しようとした、という訳さ。……けど、探りを入れられた責任として僕一人で殺してこいだなんて、リーダーも酷いや」

 なかなかの早口だったが、ロックの許容範囲内ではあった。イアを殺そうとする理由は知れたが、元々の疑問をぶつける。

「待て……ならなんで俺も連れてくるよう指示したんだ?」

「単なる人質だよ。『嘘をついていた』という事と個人情報をバラされたくなかったらロックも連れてこい、って命令した訳さ。それに乗り物として使える人形ドールは高く売れるし、意識の無い君がいたらイアも迂闊に手は出せないと思ってね。だけどイアはそれに背いた……だから殺そうとしたんだ。でもまさか、【LIAR】にあんな戦闘能力が備わっているとは思っていなかったよ」

 明かされた順序がバラバラだったため、ロックはやはり困惑してしまっていた。


 両親はかつてナイド達に騙され命を絶ったが、イアはそれを黙認していた。ところが最近になってイアはナイド達に探りを入れたものの逆に探知され、意識のないロックを連れてくるよう指示されてしまう。だがその約束を破ったためナイドは襲ってきた。破った理由は恐らく、二人でナイドを返り討ちにするため。


 彼はこの結論を出し、深呼吸をした後にイアを見つめ直す。

「イア……正直に話してくれ。どうして親御さんに注意もしなかったんだ?」

「それは……それはっ……!」

 イアは口を開こうにも開けない様子だった。嫌われる事を恐れている、というのはロックも見て取れていた。


「嘘でもいい」

「……え?」

「但し、笑えない嘘だったら俺はお前を信じられなくなる」


 ロックにとっても賭けだった。イアとは今まで付き合ってきたものの、今の状況は極めてイレギュラー。自衛のための嘘を吐いてしまう危険性は充分過ぎるほどにある。

「……怖かったの。父さんと母さんは電話の向こうの声を信じて疑わなかった。口を出そうとしても怖い眼で私を見てきたの……」

 満を持して想いを口にしたイア。受け取ったロックは一瞬で、彼女は嘘をついていないと確信した。

「二人が自殺した後、私には毎日のようにマスコミが押しかけてきた……でも【LIAR】の力を使ったら、私を心から心配してくれる人なんて誰一人いなかったって知った! そうだよね、赤の他人が不幸な目に合ってても少し『可哀想』って思うだけだもんね……!」

 このイアの発言はロックにも突き刺さった。ニュースで不幸な事件が報道される度に抱く感情は、果たして『優しい』と言えるのだろうか、と。

「でもロック……あなただけは違ったの」

 唐突に自身の名前を出され、考え込んでいたロックは驚き目を丸くする。



「ロックは心の底から私を心配して、優しくしてくれた……! 迎え入れてくれた! だから大好きなの……ロック。この想いは嘘じゃなくて本当、だから」



 直後に駆け出したイアはロックのそばまで近づいた。しかし体が触れる直前でブレーキをかけ、彼女はロックの両手を自身の両手で優しく包み込んだ。

「そうか、誰にも真実を話せなくってずっと苦しかったんだな。俺の方こそごめん」

「なんで謝るの……?」

 イアは【LIAR】でロックの真意を確かめたが、謝っている事に嘘は無かった。おかげでイアの動揺は高まってしまう。

「そりゃ、俺がもっと優しかったら真実を話してくれたかもしれないだろ? 過去の事件についてあまり触れない優しさが裏目に出ちまったか!」

「……ほんと、優しすぎるんだから」

 我慢していたのか、右目から少しだけ溢れた涙をイアは指で掬った。だが笑みも浮かべており、本心から生まれた言葉で会話が出来た事に感動している様子。


「……危ないっ!」

 突然、ロックの左側頭部に向かってきた灰色の弾丸。それが視界に入ったイアは庇うように【LIAR】を彼の前に移動させる。両腕を交差させ防御の姿勢をとっていたため、左腕上腕の鎧に弾丸はめり込んだ。風圧でロックの灰色の髪が揺れただけで済み、二人は安堵した様子。

「うざいんだよ、惚気話っていうのは……もっと金になる話の方が僕は好きなんだ」

 弾丸は【MIDNIGHTER】の口の部分から発射されていた。奥の喉らしき部分をよく見ると穴が空いており、そこから煙も舞い上がっている。

「君はイアを見限るかと思ってたけど、本当に底抜けの……優しいバカだ」

「俺にとったら褒め言葉だな? ……ありがとなイア、助かった。後はこいつを片付けるだけだ」

 工場の支柱を頼りにナイドは立ち上がり、再び弾丸を発射しようと【MIDNIGHTER】の方を向いた。対してロックは軽々と【ROCKING’OUT】に飛び乗りハンドルを握りしめる。

「僕はこんな所で終わる訳には……いかないんだよ! まだまだ金は集め足りない!」

 自分から起こしてしまった事態だというのに、ナイドは口から唾が零れるほどの激昴を見せた。【MIDNIGHTER】の口に光が集まり、再度弾丸は放たれる。

「こっちも終わる訳にはいかないんだ!」

 ロックは思い切りアクセルを踏み込み【ROCKING’OUT】は走り出す。更に前輪が持ち上げられウィリー走行となる。大して勢いがついていない状態でこんな芸当ができるのも人形ドールの長所。あくまで能力を持っているだけで、人の姿をしたものより自由は効かないが各部位を動かせる。

 弾丸はバイクの腹部、つまりエンジン部分に弾かれ無力化された。攻撃は通らなかったがナイドは諦めず、轟轟と迫り来る【ROCKING’OUT】を再び受け止めようと自らの人形ドールを身構えさせた。

「これならどうだ!」

 先程とは趣向を変え、【MIDNIGHTER】は長い両腕ではなく右足によるハイキックで迎え撃った。これもエンジン部分を狙ったもので、二つの硬い装甲がぶつかり合い重い音が響き渡る。

「と、止まっちまった!?」

 キックを繰り出した右足は重みにより震えていたものの防ぐ事には成功していた。安堵しため息をついたナイドだったがそれもつかの間、彼の視界左からは【LIAR】が襲いかかる。

「なら【LIAR】で決める!」

 イアの宣言と共に三度目の右ストレート。先程は突然だったため両手でバイクの対処に追われていたが、今回はかろうじて両腕、それに口が空いている。【MIDNIGHTER】は右ストレートに対し左腕を仕向けた。

 次の瞬間、拳撃をまともに受け止めた左腕の装甲は凹んでしまったが防御した事に変わりはない。間髪入れず【MIDNIGHTER】の口からも三度目の弾丸が放たれた。

「くそっ……!」

 決定打を与える事ができなかったためイアは悪態をつく。弾丸は【LIAR】が再度右腕で防いだが、その隙をナイドは見逃さなかった。

「今だっ!」

「うおっ」

 右足に留まらず、更に右腕のパンチもエンジン部分に衝撃を与えた。【MIDNIGHTER】の腕が長いからこそ可能だった攻撃。【ROCKING’OUT】もこれには耐えきれず押し返され、後ろ向きで倒れ込んでしまう。

「ロック!」

「よそ見している場合かな!?」

 バイクの下敷きになったであろうロック。彼を心配した隙を突き、【MIDNIGHTER】は素早く走りイアの顔面目がけて左ストレートを仕掛けた。【LIAR】を咄嗟に盾として利用する事で直撃は免れたものの、それが原因で吹き飛ばされた【LIAR】に押しのけられ転がり込んでしまう。

「うっ……」

 足首を痛めたイアは苦い表情を浮かべる。この時点で勝利を確信したナイドはニヤリと笑い、右手で自身の頭を抑えた。

「危なかったがなんとか勝ったぞ……これでリーダーにも認めて貰って金をたんまり──」

 笑顔を廃工場の天井に向けた途端、ナイドは黙りこくってしまい口をぽっかりと空けてしまう。天井付近の骨組み、その鉄骨にぶら下がっていた人物が目に入ってしまったのだから。



「な……!?」

「これで終わりだ、ナイド!」



 右手を頼りにぶら下がっていた男はロック。【ROCKING’OUT】の下敷きになったものだとナイドは思っていたため、思いがけない光景に反応は遅れてしまう。

 ロックは一度後ろに揺れる事で勢いをつけた後、手を離すと前方へ飛び上がった。

「しまっ──」

 自らの失態に気づいたが時すでに遅し、ナイドの顔面はモノトーンの靴で踏みつけられ発言も封じられる。そのままロックの全体重がナイドへとのしかかり、硬く茶色い床に後頭部が直撃した。

「あ、が……」

 発したものはそれだけだった。目を閉じ力が抜け、【MIDNIGHTER】も動かなくなった事を確認するとロックは足を離した。




「……終わったな」

 座り込んでいたイアまで歩き、右手を差し伸べて言った。彼女は律儀に応え、同じく右手を伸ばし手を繋ぎ笑顔で立ち上がる。戦いが終わった事に安心感を覚え、二人の緊張は解けきっていた。

「最初にあの鉄骨が落ちてきて思いついた。【ROCKING’OUT】を踏み台にしてジャンプしたら、きっとあそこを掴めるって」

「すごい事思いつくね~……一瞬、死んじゃったかと思ったんだよ?」

「嘘……じゃないよな?」

 からかったようにロックは返答をすると、イアは鼻で笑った後に口を開く。


「本当、だよ。ロックが私を心配してくれたように、私もこれから……あなたを気にかけるから!」


 目も線になり、口角も更に上がっていくイア。幸せの体現者と言わんばかりの顔を見せた彼女に、ロックも微笑みを返す。

「俺はこれから、もっと本音のイアが見れると思うとワクワクしてくる」

 確かに彼女は嘘をついていたが、全てがそうだった訳ではない。嘘の割合は一割にも満たないのだとロックは確信した。

「……さ、早くあいつを警察に──」

 気持ちを切り替え、イアの両親の仇と言っても過言ではない犯罪者の方へと体を向けたロック。


 しかし彼の目に映ったものは、口に光が集まっていた【MIDNIGHTER】だった。狙いを定めた先にいる人物はイア。

「金にもならない話を……だらだら続けやがって……──」

 ナイドの意思は完全には消失していなかった。しかし肝心のナイドは発射直後に気絶し、今度こそ意識を失った。

 弾丸が発射される寸前に気づいたのはいいが、【ROCKING’OUT】は自身から離れているため今から操っても間に合わないとロックは結論づける。彼が取る行動は一つしか無かった。

「イアっ!」

 自分自身が盾となり、彼女の代わりに弾丸を受け止める。優しすぎた行動により、ロックのあばら骨の間に細い弾丸は突き刺さった。

「うがぁっ!」

 初めて体験する激痛に彼は悶え、膝をついたが盾となれた事に間違いは無かった。傷口から出血し始め、更に息も苦しくなっていく。それでも愛する者を守れた事に後悔は持たず、振り向いた瞬間。思いもしなかった光景を目の当たりにしてしまう。






「あ……ぇ…………?」






 小さな喘ぎを発したイアの心臓付近からは、ロックとは比べ物にならないほどの血液が流れ出ていた。黒いパーカーは貫通されており、体は小刻みに震えている。

「そんな……まさか!?」

 するとイアの体は崩れるように後ろ向きで倒れ、口からも血が吹き出し緑色のもみあげを赤く染める。【LIAR】は前のめりで倒れ起き上がる事はなかった。


 盾にはなったが弾丸は自身の体を貫き、そのまま後ろで立っていたイアの胸に着弾。この真実にロックは後悔と驚愕の念を抱き、自分の傷の事を無理やり忘れ駆け寄った。


「おい、おいイア! しっかりしろ……」

「あ、う……ロッぐふぁっ」

 自分の血液で窒息してしまわないように、ロックは首に手を回し持ち上げた。それでも吐血は止まらず、何をどうすればいいのか分からず困惑を極めてしまう。

「イア……そんな、俺のせいで?」

 自身の体を貫通した時に勢いが弱まったせいで、イアの体に弾丸が留まってしまった。盾にさえならなければ、今の自分のように貫通し痛みを伴うだけで命に別状は無かった。


 今まで信じてきた『優しさ』が仇となってしまった事による激痛は、あばら骨辺りから来ている銃撃の痛みとは比べ物にならないほどの痛み。ロックの後悔は赤く染まってしまう。


「イア、聞こえるか!?」

 彼がとった行動は呼びかけ。偶然倒れている人物に出会った時、最初にする行動としては最適解なのだが彼女の場合は逆。更に心の傷を増やしてしまう結果となる。

「あ、あぁ……騙したこと本当は嫌だったんだね、ごめん、ね。今度、ちゃんとしょう、てんがい……にはいこっうぅ」

 後半部分はまともに喋る事もできず、途切れ途切れの悲しい受け答え。

「イ、イア……大丈夫なのか? 大丈夫なら、そうだと言ってくれ!」

 言葉を返してくれた事に僅かな希望を持ったロックだったが、それも直後に打ちひしがれる。

「ありが、とね……嘘つきの私、といっ……しょにいぅてくれって」

 自身の声は届いていない。耳も機能を失ってしまったと察し、彼の瞳からは涙が次々と溢れる。それでも諦めず耳元に口を寄せる。

「頼むイア! 『大丈夫』って言ってくれ……! こんな所でお別れだなんて俺は耐えられない!」

「……?」

 尚も血を吐いているイアの鼓膜を破る勢いでロックは叫ぶ。ひたすら泣き叫んでいた。

「やっとこれから本心を見せ合って……これからイアも俺を気にかけてくれるって……言ったばかりじゃないか! 頼む……応えてくれ、イアっ!」

 赤ん坊が駄々をこねるように、涙と共に鼻水まで噴出していた。するとその涙が零れ落ち、イアの頬に叩きつけられた瞬間。イアは口を開いた。



「ロッ、ク……うん。大、丈夫だから……。安心、して……だいじょ、うぶ」



 小さな微笑みと共に送られてきた報告だが、見た目とは明らかに違っている。今にも命の灯火は潰えそうだというのに、『大丈夫』だとイアは言ってしまっていた。

「そうか、大丈夫なのかイア! だったら早く病院に────」

 彼女の言葉を心から信用したロックはお姫様抱っこの体勢に移行するため立ち上がろうとした。しかし、そこで気づいてしまった。




 イアの体が、既に動きを止めていた事に。




 目は半開きになり、口からは血が垂れている。そこまではまだ気を失ったと捉えられるが、震えさえも止まっていた。


「イア……?」

 微動だにしないイアの身体から、目を離しはしていない。揺すりもしていない。ロックはただ生きていると信じ声をかけ続けているだけ。


「イア……!」

 しかし、希望は時間と共に小さくなっていく。いつまで経っても瞬きすら行わないイアの体からは、ぬくもりすらもなくなっていく。


「イ、ア……」

 再び涙が零れ、彼女の頬へ。しかし今度は何の成果も生み出せはしなかった。ただ伝い落ちていくだけだった。






「…………」






 死。






 ロックの想いは、砕け散った。自らの過ちが理由でイアは命を落とした。後悔だけが鎧のように体にまとわりつき、それは外れることなくこびりつき始める。自らの自慢であり、取り柄だった『優しさ』が裏目に出た。かつてイアを救った『優しさ』が、イアを殺した。


「うっ、うぁぁぁぁぁうぅぅ!!」

 ただ泣き叫ぶしかなかった。今までの行動理念が間違っていたと突きつけられ、絶望。泣いても何も変わらないというのに、息継ぎを挟み喉が枯れるまで。


「ああぁぁぁぁ!! 俺が、俺のせいで……! イアっ! ぐぅぅ、うっあ、ああ…………うぅっ!」

 今更になってロックは自らの胸に空いた銃痕の痛みを思い出した。肉体的な痛みと精神的な痛みが同時に襲ってきたため、ますます彼の叫びは激しくなる。


「ごめんっ! ごめん! 俺が『優しい』せいで! イアは……! 死、死ん………………うわぁぁぁ!! あぁぁぁぁぁあぐうっあぁぁ」

 優しいだけでは救えないものもあると、身をもって理解したロックはそのまま叫び続けた。




 *




 12時間後、ロックの喉は完全に枯れた。まともに発声もできず、風が通るような音がするだけ。

「ぁ…………」

 廃工場の窓枠からオレンジ色の太陽が差し込み、ここでやっとロックは時間の経過に気づいた。涙の跡が彼の目から顎にかけて出来上がってしまっており、流した液体の量は計り知れない。

「…………」

 何も言わずに、やっとの思いでロックはイアの元から離れた。最後に彼女が発した『大丈夫』の声は嘘だと察したが、それもロックを安心させるための嘘。



 優しい、嘘。この重みは、ロックが背負いきれないほど。



「ナ、イド……」

 イアから離れ向かった先は、相変わらず倒れているナイド。気絶している彼の上に馬乗りになるように、ロックはゆっくりと腰を落とした。

 そしてロックはナイドの首元へと手を伸ばし、ぐっと力を入れた。既に彼は心身ともに疲弊しきっており、力は弱かったがこのまま続けるとナイドは窒息死に至るだろう。

「……!」

 しかしロックは手を素早く離した。『復讐』の意思を抱いている事に僅かながら後ろめたさを感じ、急いでナイドのそばからも離れる。

「俺は……」

 喉を刺激しない程度の小さな呟き。同時に彼の体は廃工場の出入口へと向き、小さな一歩を踏み出した。


「優しくなんかない。俺は、バカなんだ……」


 自身やイアの主張を否定し、ナイドが言った言葉を肯定するような呟き。しかしナイドもまた『優しい』とは言ってはいたため、どちらも合っているとは言えないものだった。

「うっ……」

 胸に空いた傷跡を右手で抑え、夕暮れが射し込む室外へとロックは歩き始めた。歩幅は安定しておらず、時々転びそうにもなっている。

「優しくなんかない俺は、ナイドを警察に突き出して……あいつら詐欺グループの壊滅を手助けする」

 言い聞かせるようにロックは言ったが、すぐに言動の矛盾にも気づいてしまう。

「あ、殺しはしなかったから『優しい』のか……? なあ、イア」

 振り向き彼女へと問うも、勿論答えは帰ってこない。ただ口と胸から流れていた乾いた血がこびりつき、倒れているだけで。


「わかんないな……お前がいなくっちゃ、俺が『優しい』かどうか。【LIAR】で、調べてくれたら……嘘かどうか分かるはずなのに」


 時間と共に頭も冷えたようで、小さな微笑みをイアへと向けていた。




 *




 数秒経った後、ロックは廃工場から抜け出していた。警察に電話をしようにもかすれ声でまともに会話もできない。ならば自ら交番か警察署に出向くしかないと思い、独りで呼吸を荒くしながら歩いていた。【ROCKING’OUT】も使用していない。満身創痍の状態で乗ろうものなら事故でも起こしかねない、という理由からだ。

「ナイドの様子からして、まだ詐欺グループは活発……か」

 ロックはふと思い出しかすれ声で独り言を発した。『リーダー』や『他のメンバー』の存在も詳しくは言及されていなかったが、未だに活動しているのは事実。

「悪いな、イア……」

 前もって彼女に謝罪を送る。彼の中には前までの彼には思いつきもしない思案が芽生えていた。


「ナイドから聞き出した情報を警察から盗んで、俺がこの手で詐欺グループを潰す。俺はもう、『優しい』俺じゃない。俺はバカだ。だからそのくらいやらかしても……いいだろ?」






『白』の意思は絶対だ。『白』の人形は絶対だ。

 だが、その意思に真っ向から反抗する人間が現れた。白はどんな色にでも変えられる。そこが、唯一の盲点だった。そして彼は『復讐』という一筋の想いを胸に走り出す。

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