第7話「耳無し」
2070年11月 教室 1年A組
街宣車「インクベーティスト反対!インクベーティスト
はジャホンから出て行けー!!」
街宣車のスピーカーからは大音量でインクベーティスト反対という音声が流れている。そして学校の周りを30分程度回った後、どこかへ去っていった。
生徒A「先生!今のはなんだったんですか?」
鈴村先生「あれは「インクベーティスト特権を許さない会」略して「イン
みんなも知っての通り、医者、弁護士、政治家、経営者とかの
そういうと、鈴村先生は授業を再開した。
先生の授業が再開して10分後、校長先生からの構内アナウンスが流れた。
校長先生「緊急の構内アナウンスです。ここ数ヶ月、インクベーティストが″
今までで被害者は5人目だそうです。被害者の情報によれば、耳無しが現れた瞬間に力が入らなくなり、逃げたり抵抗ができなかったそうです。
耳無しの他にもインクベーティスト特権を許さない会の街宣車も多数出現しています。
皆さん気をつけて、帰宅の際は寮まで一人で帰らずみんなで帰るようにして下さい」
鈴村先生「校長先生の言った通り、寮までは1人で帰らず、集団で帰る事!今日の授業はここまで!」
そういうと鈴村先生は教室を後にした。
◆◆◆
放課後 教室 1年A組
新「いや、全然記憶に無い。ていうか不思議なことに、俺の過ごした中学時代と違う出来事が多々起きているんだ。」
達也「世界線?」
慶子「私達には多くの選択肢があるでしょ?例えば朝何を食べるとか、将来何になるとか。その選択肢の分だけ世界線があるの。新が昔と違った選択をすると世界線が変わり、記憶と違う出来事が起こるのよ。一言でいうとパラレルワールドね」
清十郎「つまり、新が
慶子「そういう事!だから選択次第ではXデーも
新は自分のせいで耳無しを生み出してしまった気がして、少し怖くなった。
達也「俺たちで耳無しを捕まえようぜ(笑)」
清十郎「やめた方がいい、俺も気になってこの件を調べていたが恐らく耳無しは一般人じゃなくてインクベーティストだ。不可能ではないが子供の俺たちが大人のインクベーティストを相手するのはリスクが大きすぎる。素直に警察に任せよう」
◆◆◆
その日の帰り道
新達4人は学生寮にしゃべりながら帰っていた。
新「すっかり夜になってしまったな!今日の寮の晩御飯なんだろう」
達也「なんか寮の味付け濃いんだよなぁー、やっぱおふくろの味が1番だよな」
慶子「きゃーーーー!!」
よく見るとその男は耳が無く、顔に無数の傷や火傷の跡が刻まれている。また顔も
慶子「助け…て…」
耳無し「フシューーーー」
慶子の顔が見る見る青ざめていく。
清十郎「俺らか束になれば慶子を助けられる、だがな
ぜなんだ…体が震えて動かない…」
清十郎は声を出すのが精一杯の様子である。
達也「くそっ!俺もだ!こんな時に俺はびびってる場合じゃねぇ」
新「お前ら俺を思っ切り殴れっ!!」
突然の新の提案に2人は混乱した。
清十郎「何を言ってるんだ!?」
新「物は試しだ!早く!」
新は何かを伝えるように清十郎の目を見た。
清十郎「わかった、悪く思うなよ!オラっ!」
清十郎が自由の効かない体をめいいっぱい使って頭突きをかました。
達也「お前を信じるぜ!オラッ!」
達也も新を思っ切り殴る。すると新の体から緊張が一気に無くなった。
新「センキュー!最大出力…
新が慶子の首を絞めている耳無しに向かい全速力で殴りにかかった。
達也「あれはっ!俺の
ドカッという音と共に新の拳が耳無しを
達也「新!俺たちも殴ってくれ!慶子がやられて、黙って帰すかよ!!」
パトカー「ピーポーピーポー」
慶子の放心状態が続く中、パトカーがやってきた。幸いにも慶子の悲鳴を聞いて、一般人が警察に通報したのだろう。
気づけば耳無しはどこかに消えていた。
パトカーに連行された新達は深夜まで事情聴取された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます