16話目・魔王と私



「…四天王を倒し、ここまでたどり着くとはな!我こそは魔王、魔王ベゼルなり!」


水牛の角を生やした魔王が玉座を立ち上がり、こちらを睨む。


「…おまえ、その装備はなんだ?」


ユキナの明らかに初期装備っぽい革鎧を見て魔王は何とも言えない顔をしている。


「ちょっと急いできたから、まぁ恰好は気にしないでいいから。とりあえず話を聞いてくれる?」


ユキナは魔王に対して、怯えるでもなくフランクに話しかける。


…え?。こいつなんなの?。


魔王は目の前に立つ勇者(?)の少女をなんとなく調べてみる。


─────System───────

ユキナ

Lv.2 鍵師

Exp:15

スキル:開錠アンロックLv10・施錠ロックLv10

開錠アンロック(事象)Lv.10・施錠ロック(事象)Lv.10

───────────────


…は?。Lv.2?。それも鍵師???


魔王は理解が追い付かない。


Lv2で魔王城にきて、四天王倒してここまで来るとかおかしいだろう?。


他にも仲間がいるかと思ったけどそんなわけでもない。


そして最大の謎が、『魔王城を包む魔法壁が3枚消えてない』。



可能性として、この魔王の目の前まで魔法壁なども壊さずに転移してきたとする(まぁ普通に考えて無理なんだけど)。


だがそれだと少しおかしなことがある。



自分の方で四天王死亡は把握しているのだ。扉の封印も4か所解かれている。


つまり、このLv2の、それも戦闘職ですらない鍵師が、間違いなく四天王を倒して目の前にいるのだ。



魔王は混乱している。


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