14話目・魔人ベリルと私



開錠アンロック


魔法壁が3枚一気に消える。

開錠アンロックLv.10のユキナには、この程度の魔法壁は自在に開け閉めできるのだ。


通り抜け橋の中腹まで来たところで、施錠ロックで魔法壁を戻すのも忘れない。



城内には物騒なモンスターが多数徘徊しているものの、ユキナには襲いかからないどころか、見て見ぬふりをして素通りしていく。



しばらく行くと大きな赤い扉と、その前に魔人っぽいモンスターが立っていた。


「よくぞここまでたどり着いたな。オレの名は魔人将ベリル。ここがお前の墓場だ、死ねー!」


目の前の魔人が手に持った剣でユキナに斬りかかる。


ユキナは避けるでもなく、そのまま立っている。


「いたっ…!」


ガキーンと音を立て剣がユキナに当たる。


当たった剣はユキナに傷1つ付けることなく、肩で止まっている。


「…はい?」


魔人は当たっている肩を見て、未だに理解が追い付いていない。



その時、ユキナの手から尋常じゃない熱を放つ灼熱の火球が発生する。


「ファイア」


放たれた火球はベリルに直撃し、文字通り骨すら残さず燃やし尽くした。


それと同時に赤い扉が勝手に開かれていく。



「やっぱ当たると反射で「いたっ!」って言っちゃうな…恥ずかしい」


ぶつぶつ文句を言いながら、ユキナは魔王城を進んでいった。

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