第14話いきなりアザトース
―アムロ行きますターン
なんかいい感じに分かれたと言うか。おおそうじ君が「漫画・アニメ」系メインでしょじょさんが「ゲーム」系メイン、そして僕が…。
「じゃあ、指名は僕が一番最後だったから攻撃は一番最初でいいよね?まず『クトゥルフ神話』の『アザトース』を…」
僕の言葉に二人が慌てて反応した。
「ちょっと待てーーーーーい!アムロ行きますよ!いきなり『アザトース』に先制攻撃されたら終わっちまうだろうがああああ!」
「そおよお!それに攻撃もラインで送るんでしょ?はい!多数決でここはアムロ行きますのいきなり『アザトース』は認めないんだから!あ…、『ラッキーマン』がうちにはいるから大丈夫かな?」
「ちょっと待てよ、しょじょ!それを言うならうちには『ドラゴンボール超』の『ウィス』がいるんだぜ!『三分前からやり直し』使うぜ!」
うーん、なるほどね。二人の言い分もありだと思う。
「二人の言う通りかもね。と言うより、最初の考え方がちょっと間違ってたかな。このバトルは攻撃と防御を順番にすると言う発想は捨てないといけないかな。どんどん攻撃を繰り出しながら防御も同時にやる、そうしないと成り立たないね。僕の『デスノート』も先制攻撃で『ドラゴンボール』の『アックマン』の『アクマイト光線』を瞬間移動で悟空に運ばれて至近距離で撃たれたら避けられないし…、即死するキャラも結構多いかなあ。でもそれを阻止することも僕のチームは出来る。『キテレツ大百科』がいるんだよ。そうだなあ」
僕はスマホを検索しながら続けた。
「『真っ黒衣』を着ると姿も臭いも消えるかあ。これは『ドラえもん』の『石ころ帽子』と同じぐらい強力だよね。それに『キテレツ大百科』にも『時を止める』道具があるんだよ。『脱時機』。『ドラえもん』の『タンマウォッチ』と同じ効果であり、『スタープラチナ』と同じ能力とも言えるよね」
僕の言葉に二人がスマホを弄りながら驚く。
「うお!マジだ!『キテレツ』も『時を止める』能力者だ!」
「あたしは『キテレツ』の強さを知ってたわよ。『ドラえもん』と両獲り狙ってたんだからね」
「つーか、『アックマン』対策はすでに二人ともしてるのか!」
「そんなの当ったり前だわよ!」
僕は思わず吹き出してしまった。
「なんだよお。アムロ行きますよお。その笑いは」
「いや、ごめん。これから始まるバトルが楽しみすぎてね」
「『アザトース』を眠らせ続ける『ラリホーマ』を俺様もしょじょも使えるってことを忘れんなよ」
「……は僕も使えるよ」
「ん?なんだって?」
「いや、何でもないよ」
僕は聞こえないように小さくわざと呟いた。(『ラリホーマ』は僕も使えるよ)と。確か…、「ドラクエ8」はグーグルプレイでダウンロード出来たよね…。まあ、今は言う時ではないかな。
「よし。多数決のルールでいきなり『アザトース』で先制攻撃は通用しないということだ。攻撃と防御を同時に行うということでこのバトルを続けよう。僕の『クトゥルフ神話』の『アザトース』はしょじょさんの『ドラクエ』とおおそうじ君は『ダイの大冒険』のそれぞれ『ラリホーマ』で深く眠らされ続ける、で了解だ。よし、じゃあもうバトルだ。どんどん行こう。積んだと認めさせられた時点でそのチームはリタイアだ」
僕はそう言いながら心の片隅でこうも考えていた。
(「あれ」と「あれ」と「あれ」も使われると厄介だな。でも…、使われるんだろうなあ…)
それでも僕の選んだ組み合わせは…、勝てる奴いるのかな?その時、おおそうじ君がちょうどいいタイミングで言ってきた。おそらくしょじょさんもその言葉を待っていたのだろう。「ドラフト」中から見え見えのポーカーフェイスが面白いなあ、しょじょさんは。
「バトル開始は明日からにしねえか?」
ここも多数決だ。
「しょじょさんは?」
「え、っと、おおそうじがそう言うんだったらあたしも明日からでいいわよ」
「じゃあ、多数決のルールでバトル開始は明日ってことで。実は僕もそう言おうと思っていたよ。この組み合わせになるとは想像してなかった、と言うより想像出来るわけないよね。普通に考えて、おおそうじ君は強すぎると思うし、しょじょさんも不気味に感じる。それは二人も同じだろ?正直、僕もそんなに詳しく知らない作品も中にはあるし。それぞれの戦力を把握したい。もしかしたら二人ともすでにチートの組み合わせを指名しているのかもしれないしね」
「そういうことだ。俺様も正直言って指名された中にそんなに詳しくない作品があった。アムロ行きますが言った通り。戦力を把握する時間が欲しい」
「そう?知らないから逆にそれをあたしの選んだ能力がどうやって対応するのか考えるのが面白いと思うけどね。でも多数決だしねー。しょうがないかあー」
「付け加えるなら今回指名されなかった作品だ。僕が思うにとんでもないチート作品が指名漏れされてるのも明らかだね。今日一日、相手の戦力を分析すると同時に自分が選んだ能力の分析もしないとね。『補強』枠は一人一個だけだ。ここぞの一回のみ。『トレード』は別として自分の戦力、弱点を見つけておくことも大事だと思うからね。しょじょさんの『人生ゲーム』は特によく調べたいし」
「こんなに俺様が欲しかった作品が指名漏れで『UNO』に『人生ゲーム』だろ?それに『グーグルプレイストア』は分かるが『ウィンドウズ』だぜ。お前ら怪しすぎんだよ」
「そうそう。アムロ行きますの言ってたやつ!『ウィンドウズ』を指名した時点で勝利宣言かましてたわよね!変な屁理屈出されても通らないんだからね」
「ああ、そのための多数決だし。それに二人とも正論なら自分が不利になろうと認める性格だってことを僕は分かってるし」
「あああああああ!」
しょじょさんが急に大きな声で叫んだ。思わず教室中のクラスメイトが一斉に僕らの方に視線をよこした。思わず両手で手を抑え込むしょじょさん。そして浴びせられた視線から解放されたのを確認してから小声で言った。
「あとこれだけは譲れないのが一つだけ!バトル中はその椅子!アムロ行きますが座ってる椅子!あたしはいつも立ちっぱかこの窓に寄りかかってるかだけど椅子に座らせてね!」
「別にいいけど…。何で椅子?」
「まあ、ジンクスみたいなもんだわね」
僕は白熱したドラフトよりしょじょさんの椅子に対する拘りの方がとても気になった。
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