第3話 おじいさん
「兄さん」
ローイが兄を呼ぶとキッチンの奥でタバコを吸いながら返事をした。
「どうした?ローイ」
「この町にもういないほうがいい気がするんだ。なんか悪い予感がする」
「どうしてだ?」
「最近物騒な事が多いじゃないか。
火事や窃盗や人殺し。もう怖くて毎晩寝れないんだ。」
「そうだったのか。でも俺らはこの町で生まれ、この町で育ったんだ。俺はまだこの町にいたい。違う町へ行くのは、もう少し先にしよう。」
「そっか。わかったよ。」
二人は食堂を開店する準備を終えて、店を開いた。
客足はそこまでないが、毎日来てくれる、ある一人のおじいさんがいた。
そのおじいさんは家族はおらず、一人で生活しているという。
おじいさんの頼むメニューはいつもカレーだ。
「君たちの作るカレーは最高にうまい。
もっと大きな町へ行き、腕を振るうといいさ。もっとたくさんの人に君たちの作る料理を食べてもらいたいからね。」
おじいさんはいつもそう言ってくれる。
二人はいつもおじいさんに褒めてもらうのが嬉しかった。
二人の生活は貧しいけれど、毎日来てくれるお客さんの笑顔を見るとやりがいがある。
朝は4時に起きて準備を始めて、7時半頃に店を開ける。そして夜の9時に店を閉める。
毎日その繰り返しだ。
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