その四 学園初級部に行こう

 更に時は過ぎニーナと出会ってから二年が過ぎた、ニーナはいまも私の御付きとして頑張っている。そして更に可愛らしくなったと思う。


 そして最近、私の精神というか魂がカナード王子の肉体に引っ張られているのか、かなり男の子と言う物を理解できていると思う。

 そのうち私は生前の記憶を持ったカナード王子になるだろう。でも私は私でもあるし、別にそれはそれでいいかなとも思っているところだ。


 そしてこの年、私はまたある重要人物に出会う事となった。


 私達は九歳となり王立学園初級部に通う事となった。

 私達の世界でいう所の小学校なのだが、初級部は四年制なのが違いである。初級部を終えると中級部すなわち中学となるここは三年制と同じで中級部、その次が最後の上級部ようするに高校である。


 あとお付きの人も主人の推薦があれば入学を認められている、私はニーナの入学を父親に頼んで推薦してもらった。私とニーナは同じ歳なので同じクラスで同級生となる。

 元の世界では人付き合いの苦手だった私には、とても有難い存在である。


「ふふ、銀髪イケメンショタのビシっとした制服姿は様になるねぇ……」


 私は鏡を見ながらビシっとポーズを決めてそうつぶやいた。


「はい! 王子凄くかっこいいです!」

「でしょー、これが萌えだよね萌え」

「そう思います!」

「ねー」

「ねー」


 ん? 私は誰と会話して……おそるおそる後ろを向くと。

 そこには満面の笑みのニーナががが


「今の聞いてたの?」

「はい! ところでショタと萌えってなんですか?」

「ショタとは少年のことです……萌えは……なんでしょうね?」


 ニーナが僕のつぶやきに返事をした。うん、呟き聞かれたー!

 カナード王子は今は私だから自画自賛しまくってる呟き聞かれた……恥ずかしい……


「そ、そうだ! ニーナも制服に着替えてきたらいいよ」

「はい! わかりました!」


 照れ隠しにニーナに着替えてくるように言う私、返事をして元気よくニーナは私の部屋から出て行った。


「僕の婚約者がニーナなら良かったんだけど、アレは無いよアレは……」


 私はソニアの顔を思い出し……気分が悪くなった。

 やっぱアレ無理だよ無理……

 気分を悪くしていたところにニーナが戻ってきた。


「カナード王子! 着替え終わりました」

「はや」


 ニーナがスカートの裾をつまんでお辞儀をした。

 うんうん、とても可愛らしいじゃないのよ。妹に欲しいわこの子。


「うんうん、似合うよニーナ」

「ありがとうございます!」


 とても良い笑顔でお礼を述べる、ニーナは今の私の心の清涼剤になっている、幼い妹を見る姉の心境ってやつね。


「さて、準備が済んだなら僕たちも学園に向かおう」

「はい!」


 私とニーナは御者のヘンリーと馬車に乗り学園へと向かった。

 ヘンリーはそろそろ六十近くになる小柄な老人だ、王家の庭師も兼任している。


「ではカナード王子にニーナ嬢ちゃん準備はいいかね?」


 ヘンリーが人懐っこい笑顔で訪ねてきたので、私とニーナは元気よく返事をして馬車に乗り込んだ。

 私のショタも大分板についてきたな、まだ少し恥ずかしいけどね……


 ヘンリーが馬車を進め一五分ほどすると学園が見えてきた。


「本当に私まであのような凄い学園に通ってもいいのでしょうか?」

「ニーナは僕の世話係だからね、ちゃんとその資格は持ってるよ」

「はい! 王子に恥をかかせないよう頑張りますね!」

「ははは、気楽にいこうよ」

「はい」


 私は当然だがニーナもお城で私と一緒に読み書き算盤の勉強はやっていた、王子の世話係たるもの最低限の読み書きはできないと恥をかくということで、私と一緒に家庭教師をつけてもらい一緒に勉強したのだった。

 いやー、この歳になって一から文字を覚えることになるなんてねぇ……

 英語とカタカナの中間みたいな文字なんで形だけなら覚えるのにそこまで苦労はしなかったのが救いかな、あと算盤があってビックリ。


 お城から学園はそこまで遠いわけではなく馬車なら約二〇分くらいの場所にある。

 学園の敷地は大きく、兵士による警戒も厳重だ。

 それも当然である、この学園は貴族や王族などの身分の高い者が主に通う学園なのだから当然厳重な警備が敷かれている。

 一般市民用の学園も当然存在はしているが、そちらはここまで厳重な警備はされていない。

 アレこれ説明口調で色々考えていたら学園に着いたようね。


「ここが、今日から僕たちが通う学園か」

「立派な建物ですね」

「この辺りじゃ最大級らしいからね」


 私がニーナに学園の規模について話していたところ馬車のドアが開いた。

 ヘンリーが馬車から降りるのを手伝ってくれた。


「さあ、お二方着きましたぞ」

「ありがとう、ヘンリー」


 私に続きニーナも降りてくる。


「ありがとうございます!」


 私とニーナはヘンリーに見送られて学園へと向かった。

 記憶を辿るがこの初級部時代はゲームには登場はしていなかったかな、何事もなく終わることができればいいのだけど……

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