第11話

「あら、案外早かったわね。どう? 昨晩は勉強はかどったのかしら? 」


「ちょっと、何? その嫌味な言い方」


「嫌味だなんて……私はただ聞いてるだけじゃないの」


「あー、うん。そうそう。だから疲れてるの。あんまり話したい気分じゃないから」


「そう? 本当にそれだけが理由なの? 」


「だからなぁに!? 他に何かあるって思ってるの? 」


「そうではないけど……。あの、まりこちゃんは何か言ってた? 」


「何かって何? 」


「いえ、あなたのことでしょうから、元気がないのもあの子の事で、何かがあって悩んでるのかなぁって」


「……うーん、そうだね──あんまり大げさにしないで欲しいんだけど……。まりこ、ストーカー被害にあってるみたいなの。それが、どうも近くに住んでる人っぽいんだよね」


「警察には相談してあるの? 」


「まだ危険な目にあったわけでもないし、証拠もないから相談も何もないよ」


「……そうなの。何かあればすぐお母さんに話してね? まりこちゃんも親御さんが近くにいないから、困ることもあるでしょうから。少なくとも、子どもだけでなんとかしようとは思わないようにね? 」


「わかってるよ。もう、まりこに限って馬鹿なことはしないってば」

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