第77話

 3日後、シェリーの屋敷の玄関先に、美しい天使と可愛らしいウサギが訪ねて来た。


「どうしたのですか?第2師団長と第9師団長が仲良く訪ねてこられるなんて、暇なのですか?」


「「違う。ここを訪ねたらたまたま一緒になったんだ。」」


「仲良しですね。」


 二人揃って反論したのは、美しい天使こと第2師団アンディウム・グレッソ師団長で白鳥人である。白い髪に黄色い目、騎士団広報がアンディウム師団長のために精魂かけてデザインした白い軍服の背から真っ白な翼が出ている。まさに地上に降り立った天使である。

 可愛らしいウサギこと、第9師団ファスシオン・グアトール師団長で白髪、赤目のウサギ獣人である。あの、学園長と統括師団長閣下と同じ筋肉ウサギの系統なのだが、統括師団長閣下の子供とは思えないほど華奢で、ルークと同じ年の子供がいるとは思えないほど美少年と言っていい風貌である。

 周りからは、グアトールの突然変異とまで言われているが、そもそも筋肉ウサギがおかしいのだ。それにウサギ獣人が師団長を勤められるほどの武力があるのもおかしいのだ。


「どのようなご用件で?」


 シェリーは師団長クラスが訪ねてきても、いつも通りの対応である。普通なら相手が呼び出す立場である人達だ。


「取り敢えず中に入れてください。」


 アンディウムの言った言葉に


「は?」


 とあからさまに嫌な顔をするシェリー。


「じゃあ、統括師団長閣下の部屋とどちらがいい?」


 とファスシオンが身内権力を引き合いに出す。

 シェリーは仕方がなく。


「どうぞ。」


 と屋敷に招きいれ、左側の廊下を進んで行く。一つの重厚感のある扉の前に立ち


「こちらでお待ち下さい。」


 そう言って扉を開け、中へ入るよう促す。

 ファスシオンが中に入る前にシェリーに向かって


「扉は開けっ放しでお願いね。あと、君たちが報告した村の件で聞きたいから、その時いたメンバーを連れて来てね。」


 そう言って部屋の中に入って言った。




 中に入ったファスシオンは辺りを見渡し、部屋を観察する。特に普通の応接室に見える。調度品などは一昔前の物と思える物ばかりだが、上品な物ばかりだ。対面で4人掛けのソファーがローテーブル越しにあり、左右に一人掛けのソファーがある。取り敢えず窓側の4人掛けのソファーに座ると、その隣にアンディウムも座った。


「今日はどうしたの?」


「どうしたもこうしともないですよ。教会絡みの件できました。そっちこそどうなさったのです?」


「こっちは不可解な事件があって第一発見者がシェリー・カークスと共に依頼を受けたもの達だったと言うことで事情聴取。」


「「はぁ」」


 と二人揃ってため息を吐く。

 シェリー・カークスは要注意人物だ。あの勇者の血を引いているというだけでも危険なのに、ラースの目まで持っている。あれを使われれば黒でも白にしてしまう能力がある恐ろしいものだ。

 ただ、今までシェリー・カークスが使ったという報告は上がって来ていない。しかし、それ以外の問題が大き過ぎるのだ。

 なぜか自分の息子をボコられるし、その息子はシェリー・カークスのことを姐さんと慕って修行に行ってくると行ったまま、もう1ヶ月は帰って来ていない。どこまで、修行に行ったのやら。

 その後には第一王子まで締め上げていたというし、できれば関わりたくないのだ。


 本当ならわざわざここには来ずに第9師団の詰所に呼び出せばいいことなのだが、どうしても第5師団の惨状が考えた瞬間、甦ってしまうのだ。あれはない。本当に人族なのかと疑ってしまう惨状だった。三階立ての建物は縦に二つに割れてしまうものなのだろうか。自分の父親である統括師団長なら可能かもしれない。その父親とただの人族が同じ力量があるというのは、頭では理解し難いことだ。


「失礼します。」


 顔を上げれば、シェリー・カークスがカートを押しながら部屋の中に入って来ていた。

 その後ろから『銀爪のカイル』?なぜ、Sランクとシェリー・カークスが同じ依頼を受けているんだ?

 その後から入って来たのが、赤い金狼!深蒼のエルフ!ギランの豹!なんだこのメンバーは!

 あの、図体だけデカイ熊。肝心なことを報告していないじゃないか!そもそもなんでこの国にギランの豹がいるんだぁ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る