第65話
廊下から地響きのような音が響き渡る。どうやら二人が帰って来たようだ。シェリーの部屋の前まで来てドアをノブをガチャガチャ回している。どうやら結界で入れないようだ。
「残念時間切れだね。」
カイルはベッドから降りて、ドアを開ける。ドアの外には怒りを顕にしたグレイとスーウェンがいた。
「だから、俺がいない間にいちゃいちゃするなって言って出ただろ。って部屋に入れないじゃないか。」
「ご主人様ご無事ですか?カイルこの結界をときなさい。」
二人が結界を叩いて文句を言ってきた。
「その結界はオリバーさんが作ったモノだから俺じゃどうしようもないよ。」
「じゃなんでテメーは入れているんだ。」
「それはもちろん前に来たときに、君たちと同じように結界に阻まれてしまったからね。稀少な素材と交換で入れてもらえるように頼んだんだよ。」
「うるさい。」
シェリーの一言で三人がしゃべるのを止めた。
「取り敢えず、部屋から出ていってください。もう
シェリーが魔時計を確認しながらいう。
「じゃ、下で待ってるよ。」
「わかった。」
「早く来て下さいね。」
そう言って、三人が部屋を出ていった。シェリーはなぜこんなことになってしまったのか、頭を抱えたくなってしまった。
「本当はもっと早く帰って来るつもりだったんだよ。」
グレイがシェリーの口にスプーンを差し出しながら言う。今日はスーウェンの膝の上で、グレイとカイルに食べさせられていた。バージョンアップしている。
「冒険者の登録して、タグを貰ったら直ぐに帰って来ようと思っていたのに、受付にいたヤツが早速この依頼をしてください。って王都の配達の依頼を出してきたんだよ。断ろうとしたら、『ここは初めてだよな。王都のどこに何があるか知っておくべきだよな。』と言って強引に受けさせられたんだよ。」
それはもうニールで間違いないだろう。何故か特殊依頼のところではなく、今日は一般の受付けに居たようだ。運がない二人である。
「終わったらもう昼前だろ慌てて帰って来てみれば、いちゃいちゃしているし。はぁ。さっきから気になっているんだけど、シェリーの首の赤いのはなんだ?」
グレイがカイルを睨みながら言う。
カイルはにこにこしながら
「キスマーク。」
「テメーぶっ殺す。」
「グレイさん退場です。」
シェリーが素っ気なく言葉を発する。
「うえ。」
「殺し合いするなら出ていってください。」
シェリーの言葉にグレイがオロオロしだす。
「あ、いや、それは言葉のアヤで・・・あー。頭に血が上ってしまっただけで、あ。うん。ごめんなさい。出ていくのだけは嫌だ。」
黙って話を聞いていたスーウェンが後ろからシェリーの首元に口づけをし吸い付く。
「ひぅ。」
いきなりの後ろからの行為に思わずシェリーの口から声が漏れる。
「これはいいですね。ご主人様に自分の跡をつけることができるのは。」
「ずるい。」
グレイがシェリーに近づいたとき、ガチャリと廊下とダイニングを隔てる扉の開く音に遮られてしまった。
「なんだかスッキリしたと思ったら帰って来ていたのか。」
相変わらず美しいと表現すべき
「なぜ、3週間程でここまで酷くなるかがわからない。」
「それは、人を雇っても長続きしないからだね。それにしても、三週の間に二人増えて帰って来たシェリーはどうなんだ?」
「不可抗力。」
「そうそう、こんなものが届いていたんだけど行ってくれるか。今手が放せないんだ。」
そう言って、同居人はシェリーに1通の封筒を渡して、去って行った。
シェリーが受け取った封筒の差出人は王立騎士養成学園の学園長となっていた。ルークに何かあったのかと思い封筒の中身を確認する。
内容的には話したいことがあるので、保護者の人に学園の方に出向いて欲しいということだった。日付を確認すると
「今日?時間は?
シェリーは魔時計を確認する。今
「わたしはルーちゃんの所に行かなければならないので、付いて来ないでくださいね。」
「一人はダメですよご主人様。」
膝から降りようとするシェリーをスーウェンが引き留める。シェリーはイラっとする。本当にツガイというのは面倒だ。
「じゃ、誰か一人に決めてください。わたしは準備をしなければならないので。」
学園に保護者として行くのに何を準備しなければならないのか、シェリーが言うと物騒に聞こえてしまうのは気のせいだろうか。
そして、シェリーがダイニングを出ていったあと、三人の目が怪しく光った。
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