第5話 中学からの同級生同士の結婚

その新郎B男と新婦B子は、中学からの同級生で、その結婚式は、二階建ての芙蓉亭を全て貸し切って、大勢の友人たちが集っていた。出席者のほぼ全員が2人ともの友人で、親類もほぼ顔見知りもしくはそれ以上の仲だった。


そのため、テーブルも普通は、職場の友人、大学の友人、など分かれるものだが、これまでに2人が繋げてきた友人同士という人も多く、つまり150人の互いに知らない人がほとんどいないパーティが催されたわけで、それはそれは盛り上がっていた。


B男は、移動する際はとにかくB子のそばを片時も離れようとしない。甲斐甲斐しく寄り添い、手を取り、大きな自分の身体で小さなB子を大事そうに取り扱っていた。対照的にB子は明るい性格で気が強く、ドレスさばきも見事で一階から二階へ、また一階へと、招待客のテーブルを縦横無尽に動き回っていた。


「ドレスにあんなに高いハイヒールで、こんなに元気に動き回る花嫁は初めて見ましたが、なんと、コース料理もまさかの全て完食ですね!」という司会者のスピーチで、全員がどっと笑った時にはまるで建物自体が笑ったかのように揺れた。

「チビで大食漢って言ったでしょいまー!」と大口を開けて快活に笑うB子は結婚が幸せというよりも、たくさんの友人たちと一堂に会したことが幸せでたまらない様子だった。


B男は、プロポーズを5回した。その度にB子は笑顔で年収を釣り上げてきた。B男はなんと2年で3回の転職を重ねてついにB子は結婚を承知してくれた。2人は13歳から顔見知りで、14歳の時には親友になり、高校卒業の頃から付き合いだした。そんな2人はもう29歳になっていた。

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