第10話 スポーツ用品店の息子さんですか?
透明感のある赤いロード・クロサイトを、ゆっくりと自分の目にはめ込もうとしているJC、その手をガッと掴んだレーダー。
(ウソだろ…これが女の力か?)
レーダーが両手で抑えつけても、JCの右手を止められない。
「レーダー、何をしている‼」
ドライブがJCの指からロード・クロサイトを取り上げる。
ギロッとドライブを睨むJC。
「返せ…また、取り上げるのか?」
「また? 何を言ってるJC‼」
「無駄だドライブ‼ 普通じゃない‼」
ブッシが叫ぶ。
「返せー‼」
ドライブに飛び掛かるJC
「うわっ‼ パス‼」
思わずロード・クロサイトをブッシに投げるドライブ。
「えっ? えぇー?」
ワタワタとキャッチしたブッシ…当然のようにJCと目が合う。
「返せー‼」
方向を変えてブッシに向かって走り出すJC。
「ぎゃぁぁぁ」
叫びながら逃げるブッシ
(そういうことか…)
レーダーが階段を駆け上がり2階へ移動する。
「ブッシ‼」
2階から投げろと合図するレーダー。
JCの手がブッシの肩をグイッと掴む。
「はわぁぁあ」
慌ててブッシがレーダーに宝石を投げる。
ギロッと2階のフロアの手すりに上反身を投げ出しているレーダーを睨むJC
「時間稼げばいいってもんじゃないんだろうけどな~」
ゆっくりと階段へ回ってコツコツと革靴の踵を響かせながら登って来るJC
(走ってこない…何か考えているな)
2階へ上がってきたJCが突然走り出す。
「ドライブ‼」
レーダーが宝石を階下のドライブへ投げる。
「おい?」
JCは宝石には目もくれずにレーダーに向かってくる。
「冗談だろ‼」
レーダーが後方へ走り出す。
2階で繰り広げられる喜劇のような攻防
「見ようによっては、楽しそうなんだよな…」
ブッシが壁にもたれて一息ついている。
「コレ…どうするんだよ?」
ブッシの隣に歩いてきたドライブがブッシに尋ねる。
「……戻しておけば?」
「あの絵画に?」
「そりゃそうだろ」
「近づきたくないな…なんとなく」
ホイッとブッシに宝石を投げるドライブ
「おい…バカ‼」
思わずキャッチして、そのままドライブへ投げ返すブッシ
「俺は嫌だよ‼」
「俺だって嫌なんだよ‼」
1階ロビーで宝石のパスが続く…
2階ではJCに襲われて、しどろもどろに振る舞うレーダー。
「あっ‼」
ブッシが思い切り投げつけた宝石をヒョイッと避けたドライブ
「ハハハッ…捨てればいいんだよ、こんなもん」
ドライブ笑う。
カキーンっ…ドライブの後方で金属音が響く。
金属バットで宝石を打ち返したのは学生服の男『オニィ』
ニタッと笑いバットを引きずりながら、こちらに歩いてくる。
「今度はバットかよ…」
階下の様子をチラ見していたレーダーが大きく項垂れる。
(スポーツ用品店の息子さんですか?)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます