閑話 チューリング完全、停止性問題を中心としたコンピューターと強いAIに関して

1. 「数学的完全」に関して

チューリングによるチューリング完全、停止性問題に関する証明より、チューリング完全であっても解けない数学的問題が存在する。

またゲーデルの不完全性定理より、数学体系は「完全」であるとは言い難い。

また、拙著より、数学と論理学は「家族的類似」(ヴィトゲンシュタインによる)の関係である。

その際、数学における公理→推論→定理(証明の形式)において、「数学の公理」を用いれば数学に、「論理学の公理」を用いれば論理学の議論になる。


(参照)

閑話 数学における形式主義、また論理学と数学との関係性について - 水谷一志のエッセイ「クラインの壷」(水谷一志) - カクヨム (kakuyomu.jp)


上記より、「数学的に完全なコンピューター」でも解けない問題は存在する。


2. 強いAIに関して

ジョン・サールの提唱する「強いAI/弱いAI」の内の「強いAI」に関して、それを作成できる可能性は極めて低い。

なぜなら、「数学的に完全なコンピューター」でも解けない問題が存在し、その内、数学でない論理学の問題に関して、人間は解くことができるからである。

また、人間の持つ「感情」に関して、コンピューターで再現できる可能性は極めて低い。

なぜなら(少なくとも論理学において)「公理→推論→定理」と「証明の形式」を導く場合、「感情」を公理化して推論し、定理として「全ての感情」を導くのは極めて困難だからである。

さらに「数学的に完全なコンピューター」の場合は「感情」を「数学の公理」(数式等)として置かなければならず、このことはさらに困難である。


以上より、強いAIの実現は不可能である可能性が極めて高い。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る