N4話 ドンドンの実況中継-その1

基本的には“たたかう→こうげき”と苦し紛れの“ぼうぎょ”を繰り返すばかり。そのため、少し落ち着いた気持ちで戦闘を見ることが出来るおりがあった。


-イベント初戦

(よぉーし。やってやるか)

≪タローはハイトルネをとなえた≫

≪まもののむれに平均87ダメージ≫

≪まものたちはたおれた≫

(つよっ!もう終わっちまった、、、)

タローのハイトルネによって、まものたちは竜巻に飲み込まれ一瞬で消え去ってしまったのだ。ドンドンは驚きつつも、自分の出番がなくて良かったと胸を撫で下ろした。


-魔王ベリエル戦

(魔王戦か、攻撃痛そうだなぁ。帰りたい)

(あれ⁉︎あそこにいるのは、もしかして神父さまじゃない?)

≪ドンドンの───

(俺の番か。こうげきをくらえ)

───こうげき≫

≪ベリエルに59ダメージ≫

(効いてない、、、)

≪ベリエルはハイトルネをとなえた≫

ドンドンを含め、パーティ一行が竜巻に襲われる。荒ぶる竜巻の中で、静かにドンドンは敗北を覚悟した。


その後もベリエルの規格外の攻撃で、パーティはてんやわんやとなっていく。しかし、神父さまだけが全く動じていなかったのだ。

(流石の神父さまだなぁ。早く倒してくれよー)


タローにベリエルの攻撃が当たる時、ドンドンは素早く飛び上がる神父さまの姿を見た。

(この姿だ、俺たちが待っていたのは)


ここからの一連の出来事について、タローのようなユーザーとNPCたちでは、全く見え方が異なっていた。


ベリエルの拳をハンマーで受け止め、そのまま目にも止まらないスピードで叩き込んでいく。決して相手に反撃の余地もなく、無慈悲かつ完膚なきまでに執行する神父さま。少なくともドンドンには、その姿が救世主のように思えてならなかった。

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