第16話授業を楽しむ少女3

「今日の【対魔法剣技アンチブレイク】の練習を終わりにします。今回は、優秀な生徒が多いようで見よう見真似で、それに近しいものができる人ちらほらいました。しかし、今回できなくても大丈夫です。次回にしっかりと原理を教えます。それを理解できればみんな使えるようにしましょう。」


聞いている側で、最初の方で落ち込む生徒もいたが、最後に先生が言った原理を理解できれば使えるようになるという言葉を聞いて顔を明るくする生徒もいた。


「ただし、今回できた人『ジーニアス』とできなかった人『オーディナリー』の2種類に分かれてしまいました。この差は、単に才能というだけではないかもしれませんが、決定的な実力差が生まれています。その中でも特に、リーナさんはこのクラスのトップと言えますが、彼女に追いつこうとしてもただ練習するだけでは無理だと私には見えました。」

「わ、私ですか!?」


いきなり自分の名前が出てきたのでびっくりしてしまった。


「今日の事で自分の今の立ち位置が理解できたと思います。しかしこの差は、覆すことは努力次第でどうにかできます。ですので、今後の授業をどう受けるか考えるといいでしょう。別に今のままでもかませんからそこは勘違いしないでくださいね。」


先生の一言のせいでみんなから憧れや嫉妬の視線であふれた。

私ににとっては何とも気まずい雰囲気になった。


「それでは残りの時間は、私たち先生側から皆さんにプレゼントをお渡しする時間に移します。今から少し場所を変えるのでついてきてください。」


プレゼントという言葉を聞いて全員が歓喜の声を上げる。

プレゼントと聞いて喜ばない女子はいないだろう。


そして、先生の後ろをついて行き、競技場を出てから向かった場所は、体育館裏のリーナが部活でよく訪れているハウスだった。


「先生、ここ私が所属しているライフガーデニン部が使っているエーテル館ですよね?どうしてここへ?」

「あれ、リーナさんは部員の人から聞いてないんですか?」

「何のことですか?」


先生に聞きながら宿舎に入るとそこには、お姉さまとヒマリ先輩とマリア会長だけでなくあの猫(?)までいた。さらには、お姉さまに抱きかかえて貰っていて、こちらに不適な笑み。まるで挑発のようだった。しかし、私も大人である。こんな挑発に乗ることはなく笑みを保つ。

そんな中、会長が先生の前に一歩出て、


「魔法の実践授業をしている生徒は全員終わらしています。」

「そうですか。それでは私たちも終わらせましょうか。準備などは……」


何やら話していたが、直ぐに先生が戻ってきた。


「それでは今からここの最下層に行こうと思います。エレベーターを使いますので、ついてきてください。」


先生の指示に従ってついて行くことになった。お姉さまとヒマリ先輩もついて来るみたいだったので詳しく聞いてみることにした。


「お姉さま、ここのの一番下は地下2階ではないのですか?ですがあそこは、薬草などを植えている畑しかないはずなのですが?」

「ごめんなさいね。会長から直接見るまで教えないように言われてるの。でも、ここの一番下は、地下10階よ。」

「そんなに下まであったんですか!?」


驚きの真実を知った。このハウスにはまだ見ていない階が8階もあったなんて予想もしなかった。

そんな事実を知りながら、エレベーターに乗り地下1階、地下2階‥と降りていく。

そして、地下10階へと着くと、ゆっくりとエレベーターが開かれる。


「ここが、地下10階。なんと神秘的なんでしょう!」

「でしょ?この階は滅多に来れないけど、いつ見ても生きた自然を感じるわ。」


この階は、ほとんど外の森林のようになっており水も流れていた。その森林にの真ん中にはひときわ目を引くほど大きい樹木があった。そして、ちらほらと目で確認しずらいほどのちいさな光を宿している何かが住んでした。


「お姉さま、あの小さな光を宿してるものは何ですか?」

「やはりあなたも見えるのね。あれはね、この世界樹『ユグドラシル』を守る世界樹の『世界の門番フェアリー』なの。」

「『世界の門番フェアリー』ですか?という事はこの『ユグドラシル』は本物なのですか!?」

「そこら辺は今から先生が話してくれるから、静か聞くのよ?」


先生が話を始めるという事で静かにすることにした。


「それではまず、地下10階『エーテルの下界』へようこそ。」

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