デート

ガヤガヤガヤガヤ、電車を降りると彼らは喋りだす。もう3が日も過ぎたというのに浅草駅は人々でごった返していた。

「寒いね」

駅を出て美和子が言った。

「マフラーしてこないからだよ」

「マフラーってなんか子供っぽいんだもん」

「子供は風の子」

「だから私は子供じゃない」

「まだ成人じゃないじゃん」

「女の子は、男の子より年を取るのが早いのよ」

「かわいそうだね」

「ぜんぜん」

「大人になってからおばさんになるのは、男の子よりとても長いから」

「女ってずるいね」

「男だってずるいよ」

そうこう言っているうちに僕らは雷門の前につく

「雷門ってなんで雷門って言うの?」

「雷がよく落ちるからだろ」

「へ~」っと面白くなさそうに美和子

「雷おこしはなんで」

「昔、お菓子に雷が落っこちたんだよ」

「へ~」

そうこう言っているうちに仲見世通りの中程だ

「今年は子年か」

商店街の上に飾ってある干支の絵をみて美和子が言う

「なんで猫年ってないんだろうね」

美和子は猫を飼っていた、ロシアンブルーのミントと言う猫だ。

「ネズミを食べちゃうからだろ」

「あれば来年猫年なのにね」

そうこう言っているうちに賽銭箱にたどり着く、10円玉を放り投げお願いごとをする。

「コウクンなんてお願いした?」

「全てが幸せでありますように、全てがうまく行きますように」

「ワンパターンだね」

「ミワは?」

「内緒」

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