第54話 フェニックス討伐戦2
さてさて、どうしたものでしょう?周りを見ても、何も分からない状態。マッキーさんが、徐々に後退して行きます。すると、少し焦る仕草をするフェニックス。えっと、見間違え?いいえ、違います。
おや?これは、もしかして何か有ります?
「ルイス、もう後退は無理だ!」
マッキーの言葉に、思わず振り向いてからハッとするルイス。何故なら、入って来た扉。それに、プレイヤーの防具が当たって、僅かに動いていたから。
もしかして、この扉……飾りだったりします?
「いいえ、後退してください!」
マッキーは、驚く表情をする。しかし、扉が音を立てて、先ほどより大きく動いた事により理解する。
「なるほど、騙されたな……」
トキヤは、苦笑して呟き後退する。
フェニックスは、慌てたように範囲魔法を放つが、ルイス達は既に扉の向こうである。
魔法は、扉に当たり扉は粉々に……
その代わり、ルイス達はノーダメージで範囲魔法を回避する事に成功した。怒りに叫び、苛立たしく羽を羽ばたかせる。しかし、近づいては来ない。
ルイスは、それを見て確信する。
「どうやら、あのラー神殿の炎には効果範囲があるようですね。取り敢えず、なるべくこちらに誘導したい所ですが。ここは、根気比べですね。」
とはいえ、フェニックスを倒すのに火力が足らないのも事実です。今から、デバフをかけてもそこまで効果が薄い。けれど、だからといってバフをかけても、おそらく激戦するには火力不足でしょう。
ルイスは、真剣に考える。
「ルイス、これを見つけた!悪魔フェニックスの、討伐報酬らしい。たぶん、弱体ポーションだ。」
マッキーは、弱体ポーションだと思われるポーションをルイスに渡す。ルイス、受け取り鑑定する。
赤属性弱体ポーション
火・炎・業火・獄炎などの、火関連または熱関連の属性持ちを弱体化させるポーション。
属性の弱体化!?これ、見た事が無いんですが。やっぱり、まだ解放されてないポーションが有るんですね。あ、レシピまで書いてある。報酬が、レシピですか。なるほど、後で頑張ります。
にしても、グレンにも効果が有りそうですね。
「あれ、何か寒気が……」
グレンは、少しだけ体を震わせて言う。
「さて、使うならば無防備な状態が良いですね。」
グレンと敵対したら、真っ先に投げられるように量産しとかないとですね☆まぁ、半分冗談ですが。それに、他の弱体化ポーションも気になります。
「ルイス?変な事、考えてないよな?」
おっと、グレンさん鋭い。流石です。では、ポーカーフェイスでさらっと流しましょうか。
あら、やっぱり無理です?
さて、少しだけ心の余裕が出て来ました。相変わらず、グレンはジト目で見ていますが。
うーん、来ないですね。では、仕方ありません……
「別に、良いですよ。来ないなら、僕達も回復しちゃうだけですから。とっ、言う訳でです。」
「数人に、牽制を任せて回復するか。とっきー、そっちのメンバーからポーションで回復な!」
すると、トキヤは頷いて指示を出す。
「でも、あっちも回復するかもな……」
マッキーは、真剣に呟けばルイスは否定する。
「いいえ、暫くは無理です。おそらく、ラー神殿の火には効果範囲とクールタイムが存在します。」
「へぇー、それは詳しく知りたいな。」
ルイスの言葉に、少し驚きニヤリと笑って言う。それは、周りのメンバーも同じである。ルイスは、火に飛び込もうとするフェニックスを見てから呟く。
「300秒……。だいたい、5分のクールタイムですか。失礼、それでは説明しますね。」
マッキーは、ハッとしつつも頷く。
「あの火は、2部屋目……いいえ、扉の向こう側の範囲しか効果を発揮しません。そして、1度回復すると5分のクールタイムが発生します。ゲージは、1本だけしか回復が出来ないのが幸いですね。ですがまあ、ラストゲージを5分以内に削るのは不可能なのですがね。さーて、どうしましょうか?」
ルイスの言葉に、クランのリーダー達は考える仕草をしている。グレンやトキヤ、レンジも考える。
取り敢えず、マッキーは気になる事を問う。
「聖王の無敵スキルは?」
「クールタイムは、回復してます。ですが、あれは180秒……3分しか効果時間がありません。」
2分間、仮にも稼げたとして火力が足りない。
うーん、無茶をすれば5分以上の効果時間を出せますが。だいたい、10分が限界ですけどね。
「無茶をすれば、10分以上に延長可能ですが。」
「無茶?」
トキヤは、少しだけキョトンとして聞き返す。ルイスは、困ったように笑い頷く。
「『身喰い』のスキル、それを使えばHPをMPに変換できるのは知ってますよね?実は、身喰いのもう一つの効果はHP消費による、効果時間の延長なのですよ。僕は、回復職業なのでHPが少ない。なので、使っていませんでした。まあ、スキルで回復したりポーションを飲めば何とかなります。」
身喰いは、最近に追加されたプレイヤーが使用可能な禁術の一つです。勿論、反動はやばいですよ。
「ん?前衛職業とは、効果が違うんだな?」
身喰い
前衛…HP消費して攻撃火力UP
中衛…HP消費でクリティカル率UP
後衛…HP消費でMP回復職業
共通…HP消費でスキル効果の延長(※条件あり)
条件とは…
神様の加護、それ以上の恩恵を持っている事。それプラス、下の条件をクリアしなければならない。
前衛…自己回復を持っている事
中衛…狙撃スキルを持っている事
後衛…防御スキルを持っている事。
ちなみに、このスキルは効果が切れると、暫く体が硬直してしまいます。だいたい、10秒くらい。
むぅ……、どうしましょう?
「なら、ルイスには無茶振りして貰うか。コンボ的に、火力は足りないけど。支援の支援、同時進行でやれるか?無茶に、更に無茶を押し付けるけど。」
トキヤは、笑顔でルイスを見る。ルイスは、嫌そうな表情をするが、少し悩んでから苦笑して頷く。
「はぁ…、絶対に後で倒れるパターンですね。分かります、分かります。良いですよ、やってやります!こうなれば、気絶覚悟で頑張ります……。」
身喰いで、MPがゼロになると気絶状態になるんですよ。そしてです、自然回復でしか解除不可能なのです。つまり、回復するまで無防備になります。
本当に、厄介!
自然回復って、かなり遅いんですよね。ちなみに、気絶状態になると視界が真っ暗になって怠さを感じます。ちなみに、身喰いは発動すると持続的に発動し続けます。つまり、ONやOFFは手動です。
これ、ゲームですよね?って、思いますよね。ゲームです。運営さんが、リアリティを出す為にこういう仕様になっているそうです。
仲間が、居るからこそ使えるスキルですね。
さて、では無茶振りターイム!
「じゃあ、始めるか。」
「我、この身を贄として不幸をもたらす者。我、この身を贄として禍いを払う者。神よ、禁忌を犯す愚かな我らをお許しください。『身喰い』」
どす黒いオーラが、ルイスの周りに現れる。ずーん、ステータスダウンのエフェクトが現れHPが減り始める。ルイスは、素早くポーションを出す。
右手で、神託の御旗を持って肩で支え左手でポーションを飲む。そして、右手でスキル発動。無敵が入り、激戦を繰り広げるメンバー達。
コンボは、貯まりフェニックスに回復されながらもやっと何とか火力がたまりました。
ルイスは、苦しそうにポーションを飲む。
こちらの世界では、ポーションは薬であり飲み物です。そう、たくさん飲めばお腹がたぷんたぷんになります。そして、長期戦になればなるほど辛くなります。そんな、ルイスをグレンは心配そうに見る。
「ルイス、もう少し頑張ってくれ。」
「………了解です。」
そして、何とかフェニックスを討伐完了。ルイスは、スキルを解除する。すると、MPにしようとして、しなかったHPが戻ってきます。そして、MPはゼロに。ルイスは、気絶状態になったので仕方なくログアウトする。3分後、ログイン!
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