第52話 フェニックス討伐戦前

さて、やっぱり俺達が一番か……。そこには、トンガとシャルムが座って手を振っている。


マッキーは、少しだけ考えてから頷く。


「ちょっと、セロン達を見てくる。」


「なら、俺も一緒に行く。」


トキヤが、部屋に入って来て言う。


「なら、俺はルイスの方に行こうかな。」


グレンは、暢気に笑っている。こうして、戻ったメンバーのほとんどはセロンの助っ人に行く。


ルイスの方には、グレンと一応聖職者のランコルが行く事になった。今日は、ランコルさんが休日だったのと、本人の希望で出入口で待機する事に。


一時間して、セロン達も達成。出入口に、合流して待機する。聖職者が、森に入ろうとしたが結界に阻まれて進めない。どうやら、クエストが始まると入れないシステムのようだ。厄介……。




ルイス視点……


ふぅー、龍人に戻れないので辛いですね。


おやおや、全員クエストが終わりましたか。では、僕だけですね。さて、茂みに隠れてやり過ごしまーす。よし、通過しました。では、背後から失礼しますね。よし、やっぱり魔物からも羽はドロップしました。後、3つです。頑張って、狩りますかね!


「リル・ソル、もう少しだけ頑張ってください。」


2匹は、まだまだ元気とばかりに尻尾を振る。


「うーん、疲れてるのは……僕だけですかね?」


ルイスは、思わず苦笑して2匹を見る。


ふんすっ!ふんすっ!とっ、やる気満々でキョロキョロと森を見渡す2匹。完全に、久しぶりの戦闘に胸が高鳴っていますね。数も多いし、敵はつきる事もない。お遊びモードだった2匹も、狩猟本能的なものが刺激されたのか凄い激戦をしています。


2匹とも、僕はくたくたですよ。


と言っても、隠れないで立ち止まれば死にますし。そのまんま、放置するんですけどね。他に、プレイヤーも居ないようですし。迷惑にも、ならないでしょう。さて、そろそろ魔法のクールタイムが回復しますね。リル・ソルの位置を、素早く確認して魔法を放つ。よし、集め終わりましたぁー!


後は、死なないように出入口を目指すだけです。


ルイスは、飛びかかってきたワイトを回避する。


ちなみに、ワイトとは……

元々は人間を意味する言葉で、スカンジナビアの伝承では人の姿をした悪霊です。モンスターとしてのワイトは、『指輪物語』に登場する「塚人」が元になっており、王族など高貴な人物の死体に悪霊が取り憑いたものです。触れた者を、昏倒させるなどの力を持っています。また、エナジードレインというレベルを吸収する能力を持つことが多く、ワイトに殺された者はワイトになって蘇るとか。


上のように、触れられて昏倒は嫌なので、問答無用で容赦なく祓います!悪霊なので、罪悪感を感じないのが良いですね。うんうん、さらばです!


僕は、止まる訳にはいかないのですよ!


さて、マップが真っ暗で表示されないので困りましたね。方角は、合っていると思うのですが……。


リルが、旗を見て止まります。


ちょっ!止まらない!って、出入口の前ですか。では、旗は装備から外して短刀を装備。うーん、かなり装備がボロボロになりました。短刀にも、亀裂が入ったので打ち直して貰うかしないとです。


「ルイス、お疲れ様。ボロボロだな?」


「ランコルさーん、回復ください。」


ルイスは、回復を貰うと短刀を構える。


「さて、最後の敵が来ますね。」


「手伝おうか?」


ルイス、断る。最後の敵は、結界の外に出て来る。なので、聖職者ではなくても参戦可能なのだ。


「最後まで、1人で頑張ってみます。」


異常回復を、素早く重ねて掛けして警戒する。


ドラウグル 古英語の「妖怪、幽霊」、アイルランド語の「前兆、流星」の両方から来ています。一般的に、黒く腫れた死体の姿。超人的な力を発揮し、体を巨大化させ重量も増加させる事が出来る厄介な魔物。そして、物を腐らせる悪臭を放つ。北欧やアイスランドの、いくつかの神話でアンデッドとして記述されているそうです。表面上、知性が残っていて宝物を守り生き物に損害をもたらし、彼らを不当に扱う物を苦しめるとか。何とか……。


ちなみに、ウキペディア調べです。


運営さん、かなりマニアックな敵を出しますね。


異常は、腐蝕と毒です。


臭いので、全員が顔をしかめます。


「さて、臭いがつくので離れてくださいな。」


2匹は、頷くと涙目で子供の姿になる。そして、前足で、器用に鼻を押さえている。


可愛い……、じゃなくって……。敵を倒さなければ!さて、敵を弱らせなければいけませんね。


ルイスは、薬師になり試験管を投擲する。爆発音。


ふむ、肉体は破壊されても再生しないんですね。


ルイスは、フラスコと試験管を出す。そして、フラスコの中には黄色い液体が。試験管には、赤い液体が入っている。ルイスは、フラスコの中に試験管の液体を入れて放り投げる。投擲は、使っていない。


爆発音からの、火柱がたつ。


ふむふむ、痛覚が無いので無意味てしたね。まあ、全て燃えてしまえば倒せるんでしょうが。


もしや、全て燃えたら肉体が再生しだすとか……無いですよね?いえ、あの運営さんですし。これは、一思いに祓った方が良い気がしてきました。


光属性の攻撃で、弱らせて回避してを繰り返す。


では、時間も有りませんし、そろそろ結界の中にお戻りください。ルイスは、小さく詠唱してドラウグルを祓った。そして、ゆっくりと皆の方へ歩く。




ルイスは、疲れたように息を吐き出す。


「さて、お待たせしました。」


「お疲れ様!」


グレンは、暢気に笑っていう。皆も、口々に労いの言葉をかけてくれる。ルイスは、笑顔で頷く。




さて、お店に戻り話し合いする事に……。


「これで、悪魔フェニックス対策は大丈夫だな。」


ルイスは、装備が壊れたので薬師にジョブを変えている。ルイスは、御守りをレシピで作りながら頷いている。他のメンバーも、寛いでいる。


「ルイス、防音コートだけど。狩衣の上に、装備が出来ないみたいなの。着物なら、出来るけど……。」


「ふむ、どーしましょう。」


ルイスは、少しだけ困ったように首を傾げる。シャルムは、ニコニコ笑ってあの装備を出す。


「でっ、今回はこれを着てくれない?」


「シャルム、良いの作ったな。」


トキヤは、暢気に笑っていう。


「でしょー!てなわけで、ルイス!」


ルイスは、キョトンとしてそれを装備する。


『おぉ……。』


全員が、思わず何度もルイスを見る。


「何か、神秘的な雰囲気が出てる。」


トキヤは、暢気に笑って言う。


「服が綺麗なのに、インパクト少なめなのも良いよな。そして、帽子まで今回はついてんだな。」


「それは、イメージは聖人様ですからぁ~♪」


マッキーの言葉に、シャルムは嬉しそうに言う。


「えっと、ありがとうございます。」


「ちなみに、狩衣はフェニックス狩が終わったら渡すわね。何か、変な設定が増えてて……。」


シャルムは、困ったように言う。


「ん?」


ルイスは、首を傾げる。


「えっと、自動修復とエフェクト変化よ。どう、エフェクトか、変化するとかルイスに渡す前に試さないと少し怖くて。だから、取り敢えず待って。」


「なら、クエスト終了後に一緒に紫陽花に行きますよ。僕の装備ですから、試してみたいですし。」


シャルムは、考えてから頷いた。


「それと、この装備は現地に到着してから変更しますね。ちょっと、恥ずかしいので……。」


ルイスは、恥ずかしそうに笑って言う。


「まあ、無理は駄目よね。」


シャルムも、頷くと座る。


「では、準備も出来ましたし行きましょうか。」


『おう!』


こうして、全員で移動しだすのだった。

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