忘れる駅

朝には朝のことのはが

昼にちらちら紡がれた

夜に優しさと怒号の電車の中

嘆きも喜びも

車内で消《か》える

忘れ駅

うつうつと、うつらうつらと

ゆられ、希望も夢も絶望も

どこに帰る《きえ》か

終点の終端が

静かに終わりを告げる時

そこは忘れた駅である

昼間の電灯、暗闇の外、星は小さく、月たよりなく

その地はうたれた混凝土

いざなう階段

物言わぬ改札

異世界とうたうか、日常か

ここは忘れ駅

明日へ向かう

さようならのホーム

午前零時をお知らせします

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る