第91話『第四階層:世壊』

「蘇るんだったな。次の準備だ」




 さっき放り投げた武器庫アーセナルを拾う。

 大人一人くらいなら余裕でおさまる。鉄のカゴ。

 カゴの厚さは10センチ。





 ――黄金の粒子が集まる





 黄金道十二宮アンヘルゾディアックの発動の予兆。

 つまり、どこに復活するか予測可能。 

 シンの復活が始まる。



 黄金の粒子が集いシンが復活しかけていた。




 武器庫アーセナルを逆さにし。

 頭の上から鉄のカゴを被せる。

 面白いほどシンがキレイに納まった。







「害虫、ゲットだぜ」


「暗いッ……何も見えねぇッ!!!」







 ユーリは鉄のカゴを両腕でガッチリとクラッチ。

 両腕で万力のように圧し潰す。






 …………ギギギギギギギギ






 金属がにぶきしむ音が教室に響き渡る。

 鉄のカゴが軋み徐々に縮んでいく。



 カゴの中でシンが何か喚いていた。

 全く聞こえない。



 鉄のカゴの厚さは10センチ。

 遮音性能は抜群。

 何を言っているかは分からなかった。



 ……一応……叫びのような声は聞こえてはいた。

 だが、ユーリはその言葉に全く興味が無かった。

 だから結果的に、





 ユーリは両腕に鉄が軋むのとは別の感触。

 中で何かが暴れている気がした。






「ゴミでも入ってたか」






 鉄のカゴの下からは血と汚物があふれ出る。

 最終的に武器庫アーセナルは巨大な鉄の玉になった。








「よし。これで、現代アート。、完成。鉄で出来た地球の下を濡らすドス黒い血。なんとなく社会問題を暗示しているような気がする。こういうのがウィットが効いているというのだろう。たぶん……。きっとアートは、こんな感じだ」







 ……ユーリはあまり美術に詳しくなかった。

 明らかにこれは現代アートではない。


 ただの丸い鉄塊と。散らばる汚物。

 美術の先生は務まりそうにない。










《――――超神展開デウスエクスマキナ緊急起動・・・・・黄金道十二宮アンヘルゾディアックの十二宮の完全破壊を確認・・・・・あ~あ・・・・・取るに足らない雑魚スキルでしたね・・・・並びに、シンの敗北を検知――マジウケる。やっぱシン、死んだし(笑)・・・・世界を適当に捏造、改竄しちゃいますね・・・・・天体の運航に強制干渉・・・成功・・・黄道にを追加・・・・よって今後は黄道十二宮は、になっちゃいました・・・・・スキルの設定改変もあわせて実施・・・あぁ・・・めんどいので・・・適当な感じで完了・・・・イケてる感じのアップデート・・・完了・・・詳細についてはメッセージウィンドウでも御覧くださってみればぁ?》











 教室の壁に文字が映し出される。

 壁にひたすら頭悪そうな文字が浮かぶ。

 このスキル、世界も人も完全にナメている。

 









 ********************

 ななな……ななんと! 驚愕の事実が判明!


 へびつかい座が十二宮に追加されちった。テヘペロ。

 今後は、になっちゃうねっ!(笑)


 だから黄金道十二宮アンヘルゾディアックの設定も変更しちゃった!

 シン・黄金道十三宮シン・アンヘルゾディアック、遂に爆誕!(爆)


 やったねシンちゃん!  残機が増えるね!

 ********************











 天体に干渉し星を創造。

 それにあわせてスキルも捏造。



 前後の文脈も脈絡もない世界改変。

 明確な世界への干渉。

 やりたい放題のデタラメ。



 超神展開デウスエクスマキナの存在は到底許されるモノではない。

 明らかにスキルの権限を逸脱した世界への越権干渉。 

 だが……このスキルにはその力が有る。



 雑な干渉は世界を破壊しかねない危険な行い。

 だが、それでもこのスキルは構わないのだ。

 世界なんて壊れて良い。そう思っているのだから。

 







「チッ……。持ち主とお似合いのクソスキルだったか」

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