第27話 鉱山で人間機械。
石油地帯西部方面に進むと、今度は鉱山地帯があります。
んとね、石炭、鉄鉱石、希少鉱物が採れるんだって。
ロゼス王国が大公国2国もあって(今はないけどさ)、1つの軍がぶっつぶれたのにもう一度その軍を再建できそうなのはこの資源の豊かさと、盛んな貿易によるものらしいっすね。そこまで国土は大きくないんだけどねえ。
私が向かう先は、地下深くに存在している希少鉱石の採掘ってやつですねー。
坑道を掘って、つるはしでトンテンカントンテンカンするやつですわ。……右手首から先がないんだけど、うまく操れるんでしょうか。
「責任者のわんわんおだおー。今時つるはしは古臭いわんお。坑道といっても機械で掘るんだわんおー」
みぎてっぽいなこの責任者。
「機械で掘るから最先端のところは鉱員が専門的に行うわんお。普通の人はロッキー山脈の機械が入れないところにある鉱石をつるはしでトンテンカントンテンカンして鉱石を掘ってもらうわんお」
結局つるはしじゃん!
ということでロッキー山脈の鉱石採掘場に連れて行ってもらいました。
私は【魔力塊生成Lv2を利用した大きく硬い】岩盤採掘用ドリルを【形成】し、【精密】に【狙って】【操作】する、という形で削ることに。
削ってできた石ころを【収集】する人が収集して、トロッコに積んで地上にもっていくという形。
やってることは機械ですねー。すごいね。
つるはしどこいったんだろう。
さてガッリガリ削っていきます。ただあまり早いと坑道をガチガチに固める人の作業が追い付かなくなるので、わりとのんびりした作業です。
作業はみぎてにやらせています。全てみぎてにやらせています。こいつアメーバの時手持ち無沙汰すぎて鼻くそほじろうとか思っていたやつなのでこういうときはバリバリ働いてもらおう。
[みぎて:ひどい、ひどすぎるお]
ひだりてと私で鼻くそをほじりながら作業作業。
こういうサポート以上の事をしてくれる存在はありがたいです。この子たちは自分で考えるし、私の身体コントロールや、難しい計算を自動でやってくれますからね。のんびり鼻ほじりながら歩いていけばいいだけです。
いやーすごい勢いでお金がたまっていきます。
なんというか、私という存在は人の姿をした大型機械のようなものでして、希少鉱石を凄い効率で掘れているようなんですよ。
なので賃金の値上げ要求がほぼすべて通っていましてね。うふふ。
すんごい久しぶりに楽な人生を謳歌していたんですけど、ずっと続かないのが私の宿命というかなんというか。
のんびり掘っていたらわんわんおから緊急の呼び出しがかかりまして。なんだろーって思いながら事務所に向かったらですね。
「たいへんだわんおー! 鉄鉱石の露天掘りしているところに『金食い虫』がでちゃったんだわんおー! モンスターだから普通の作業員じゃ相手ができないわんお! 山咲さん総合能力AAの冒険者ギルドに所属している人わんおね? 対処してほしいわんお!」
「とりあえず契約は冒険者ギルド……じゃなくてハンターギルドを通してからお願いしますね。お尋ねモンスターになればだれでも討伐ができますから」
打算もあるんですけど、こういう時はお尋ねモンスターにしてしまったほうが楽なはずです。対処できる人が賞金目当てにやってきますからね!
あと、金食い虫といわれても私モンスター知識あるわけじゃあないので、対処方法分からないんですよ。ハンターギルドならドラゴンの対処方法すら知ってますからね。金食い虫も知っているでしょう。
討伐にはもちろん参加するので、一応先行して【観察】することにしました。高倍率の双眼鏡買ってあるんだー。
スキル【鷹の目】のほうが融通が利くし、私のLv2なら双眼鏡なんて笑えるくらいの性能なんだろうけど、一般スキルなんで市場に全くなくてね。
さあ観察観察。じー。
デカいメスのカブトムシみたいな昆虫? が50匹ほどいて、露出している鉄鉱石を溶かして吸ってますね。
確かに金属を食べる虫、『金食い虫』だわ。
一匹大型の金食い虫がいますね。ほかの虫は緑色、こやつだけ茶色。
集団の女王とかってやつかな? 中ボス相当なんだろうし、あれは私が倒したいなー。ハンターギルド経由なら、倒したことだけが重要なので、死んだ残骸やドロップ品は私のものになるのです。ぐふふ。
1日かからずにお尋ねモンスターになったという通達が来ました。一度ギルドに戻って、対処方法を聞いてきます。
「ウホ、金食い虫は殺虫剤とか毒ガスで倒すしかないウホ。強烈な酸もしくはアルカリで金属以外にもほぼすべてを溶かしちゃうからだウホ」
「まじっすかウホウホさん。じゃあ武器防具は持って行かないとして……魔法はどういうのが?」
「くそ硬い上にくそ強い魔導防御があるから、一般的な破壊系の魔法は届かないウホねえ。殺虫剤か毒ガスを、風魔法とかでそっと届けるウホ」
あれ、あんまり今回は役に立たないぞ? なんて思いつつ現場に向かいました。
鉱山害虫って金食い虫以外にもいるらしくて、私が到着したころには害虫駆除業者さんがすでに到着していて、金属製の毒ガス入り砲弾をドコスカ撃って駆除してました。
なるほど、鉄鉱石よりも精製された金属の砲弾だから鉄鉱石よりもおいしい。つまりおびき寄せられるわけで。食べたところで毒ガスが放出されて死ぬわけですね。
今回は見学かなー。レアジュエル欲しかったなー。
楽しく観察していたんですけど、女王虫はぴんぴんしていて。どうも業者さんの殺虫剤が効かないみたい。
殺虫剤が効かないモンスター。業者さんは一般人。そう、ここで私の出番である。ひゃほーい。
がっつり固めたハンマーを形成、突撃して接近。思い切りぶん殴ってみました。
見事に効かないわ。魔導防御で止まる。ウホウホさんは正しかった!
女王虫、反撃の液体噴射!
私は大量の水を生成し中和を織り交ぜる!
それを水蒸気にして全身を覆い、完全に中和! Lv3水生成で作った水蒸気の壁をなめるんじゃねー!! 27倍のスキル効果だぞ!!
さて防御ができたところで反撃することを考えましょう。
魔導防御って常に発動しているわけじゃあなくて、空気なんかは通過させるんですよ。魔導防御が反応しちゃって酸素を通さなくて窒息する、とかはないんです。
ただ、飛んでくる物体が持っているエネルギーが強いと、それに選択的に反応しちゃうんです。そよ風レベルで超高温の炎を発射しても、超高温の炎がもつ熱エネルギーに反応して、熱エネルギーを減少させちゃいます。
つまり逆説的にいえば、よわーいエネルギーなら通過させられるんです。
簡易に形成した念と魔力塊を混ぜ合わせた
この間、みぎては必死に液体と飛びかかりから防衛してるんですがまあ気にしない気にしない。
10分くらいは格闘したかな? 今、目の前には動けなくなっている女王虫が。
うん、粘るLv2を縄に含ませておいたんだわ。
女王虫の力なら網を引きちぎるのは簡単なんだけど、引きちぎっても粘って体に付着しますからね。続けていけばやがて粘りで動けなくなる、と。
粘る以外はエネルギーを極小にしたので魔導防御はほぼ反応せず。
液体は中和、飛びかかりは結界で防御したり、横っ飛びで回避したり。攻撃は完封してたんですよねー。みぎて頑張ったなー。鼻くそほじっていいぞ。
とどめは完全に呼吸器官を封鎖して窒息死。レアジュエルがドロップしました。
時間はかかりましたけど、完全勝利ですね。
強い心で我慢してきましたけど虫とか大嫌いなので、もう触ることなく業者に引き渡し。いやーいいお金になりました。討伐報酬ももらったしね!!
さ、レアジュエルを鑑定しましょう!
「へーへーへへへい、へいへいへへへい!」
スナップダンスというダンスらしいのですが、これダンスっつーか、手拍子してるだけだよね。ずるくない? 30歳の女性ってずるい。
レアジュエルは、【酸とアルカリ】でした。強酸と強アルカリが作れるようになったのは大きい。
スキルで溶かすというか、科学的に溶かすわけだ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます