第16話 活路を求めて
うーん、まいったなあ。まいったぞう。
得体が知れないなあって思っていたステアミナ神王国は独特な国みたいです。冒険者ギルドが閉鎖されていました。
ハンターギルドは開いていましたけれども……。お尋ねモンスター制度は廃止され、人や物を安い懸賞金で探し出す、探偵ギルドみたいな感じになってます。
とりあえず仕事をもらおうと、ハンターギルドにいって、個人情報を紹介してもらったんですが……。職員は顔を真っ青にして。
「牡丹さん、逃げたほうが良いよ。この国では借金は罪なんだ。1000ドルエン以上も個人で借金があったら重罪だよ」
と助言してくださりまして。むー……。
ここから北のロゼス王国に抜けるとしてもかなり遠いです。南は大公国の大半のお方が逃げたようなので、追撃のために軍隊が集結しているらしく。
魔導飛行船はもちろん飛んでいませんし、魔導船も北航路は閉鎖されています。
むむむ、クーガーで陸路を走ってロゼス王国に抜けるべきでしょうか。
冒険者ギルドが消える時点で、神王国は私と価値観が合わないと思います。正直敵性国家って感じがします。
[ひだりて:北に行ってロゼスまで逃げるしかないと思います。クーガーは燃料満タンなら1000キロは走ります。ロゼス王国までは約1600キロ。一度大補給できればなんとか。]
[みぎて:正直大公国は歴史から消え去ると思うお……ハンターギルドに合った最新の国境線地図を読み取った限りだと、北北西のロゼス王国か西のクラウディア帝国に移動したほうが良いと思うお……]
[ひだりて:ここからクラウディア帝国に直通するには、鉄のカーテンと呼ばれるロッキー山脈を越えないといけませんね]
――――――
連連王王王海 西北東
連連王王王海海 南
帝国山神神神海
帝国山神神神←現在地
帝国山山大海
――――――
むー……。とりあえず情報収集しないとどうにもなりませんね。
酒場に行ってみましょう。
少し飲んで、聞き耳を立ててみますと……。
「明日はここでモンタの絞首刑が行われるそうだな」
え。確か勇者様パーティの……というかモンタはムショ送りでは」
「ムショじゃ足りねえってところだな。勇者様に隠れて犯罪を犯しまくっていたというわけだし」
「総合指揮官殿の面子をつぶしたってわけか」
え。
「まあ、ユウイチ様のそばに付いていればやりたい放題なのは事実だもんなあ。神王国は英雄ユウイチ様、聖女ヒナタ様の戦場における大活躍でここまで勝利を収めてきたからな。このお二方のパーティメンバーだったんだろ?」
「ああ。神王国に本格的にユウイチ様がお手伝いを始めるまでは、な」
「神王国には犯罪者はいらねえよ。食料事情から都市整備まで一気によくなったんだ。神王国万歳だよな」
「神王と指揮官様の繁栄を願って、乾杯!
うん、うん。話3割としても、モンタが死ぬのは事実でしょう。ムショどころか死んじゃうのか。
明日見に行ってみるかな。やはり拷問した恨みは忘れられない。
明朝、処刑祭が始まりました。ユウイチとヒナタも同席しています。まじかよ。観衆は1万人を超えていそうです。
モンタのほかにロザン・カオマース大公および大公家全てが処刑されるそうです。……凄いタイミングでこの都市に入ってしまったもんだ。
絞首台にて。
「おれは無実だああああ! 牡丹、山咲牡丹が俺のスキル一覧に嘘を表示させたんだ。【偽装工作】とかでやったにちげえねえ。祐一、助けてくれよう!」
モンタがそう叫びます。隣にいるユウイチは冷たい目でモンタを見て。
「俺の恥さらしのほうが重罪だ。牡丹は俺がどうにかしてやるから、苦しんで死ねよ」
といって、首つりにしました。こっわ……元パーティメンバーを……あっけなく……。
「さあ、次は大罪人大公家の処刑に入る」
といって次々と大公家の処刑をはじめ……大公ってそんなに重罪なのかな? 戦争をしたからそういうもんなのかな。
「大公家の首をこの聖剣アーロンダインではねた事によって、アーロンダインの力がますます強くなった! 罪人を殺せば殺すほどアーロンダインはその力を増す。力を増したことが犯罪の証拠だ! 処刑は終わった。あとは死体を焼いて処分する。また、俺を何度もだました大罪人、山咲牡丹がこの都市周辺に隠れていると聞く。賞金は大公の3000ドルエン以上、5000ドルエンをかける。必ず生きて連れてきてくれ。俺が直々に処分する。特徴などはハンターギルドなどに張っておく」
逃げろ。
なんでや、わからんけど狙われてる。
迷う暇がなくなった、ロゼス王国にとりあえず行こう。大公を処刑したんだ、ロゼス王国は神王の国を恨むに決まってる。逃げこもう。
****
『中型機動装甲車クーガー』を置いていくことになりました。ロゼス王国までには大きな河川がいくつもあって、その時その時に身分照会などが行われるっぽいです。神王国の所属になると犯罪者が消えるのはこういうところで検問的なことをしているからかなあ、文明度が高い。
それで、クーガーは目立ちすぎて、川を渡ろうとしてすぐに私という正体がばれました。即座に逃げたので私は大丈夫でしたが、クーガーは助けられなかった。
川を渡る限りこれが繰り返される。西の荒野を歩いて、ロッキー山脈を抜けて、帝国へ渡ろう。とにかく神王国から出ないと。
――――
りょうての計算によると、半年ほどかかりましたが荒野を歩いて、なんとかロッキー山脈まで到着。ここに来るまで、水は生成できましたが食料は生成できないので、死体の肉などを焼いて食べて生き抜きましたよ。
ハイエナ同然もしくはそれ以下の行為をしてきましたが、私は悪食Lv3、強い心Lv2がありますからね、これくらいではへこたれません!
ふふふ、半年って前の世界の1年半に相当しますからね、モンスターも結構倒しました。動物に近づくための【忍び足】、風上に【潜伏】。これらのLv2を手に入れてあります。
服はボロボロ、リヴァイアー様の槍は壊れて捨ててしまっています。これで見るからに標高が高くて強いモンスターが出そうなロッキー山脈を越えられるのでしょうか……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます