第8話 オハゴーンへ安全に進むために。
借金、返さないとなあ。
[みぎて:逃げちゃうのはだめなんだお?]
[ひだりて:借金がそのまま懸賞金になります]
お、探しものアイテムを
6メートルほど飛んで壁を乗り越え、こっそりと探し物のところへ。結婚指輪をげっと。これで100ドルエンかな。
探し物もこれくらいだと安いね。なんか、ドーンと手に入る手段はないかねえ。
[ひだりて:これも継続すればお金になりますよ]
[みぎて:一攫千金なら遺跡だお! 遺跡でおいしいのゲットするお!]
あ、細々と暮らしていたころには遺跡なんていかなかったなあ。遺跡いいかもしれないねえ。
ここの周辺はやはり取りつくされているのかな?
[ひだりて:取りつくされてますね、1万人都市なので]
[みぎて:オハゴーンだお! オハゴーンは遺跡が多い地方都市だおっおっお!]
よく調べてあるね……。
[ひだりて:手に持っていただければ書物なら情報をすべて取り込めますので]
[みぎて:取り込んだ情報を順次牡丹ちゃんの脳に送れるから、本は買う必要なんてないお!]
いえ、本は書籍を買ってこそですから。買ってこそですからっ。
オハゴーンはこちらからだと細い道しかなくて、川を上って着くようなところだそうです。山伏のための街なのかな……?
[みぎて:水を守る街だお。オハゴーンの水流が、湾口がある巨大都市ミルハンドまでつながっているんだおー]
本当詳しいね。よし、じゃあオハゴーンに行ってみよう!
ハンターギルドと冒険者ギルドに話をつけて、オハゴーンへ出発。船で出発するそうです。国際河川並みに川幅が広い……。
ふーねーは大きーなー偉大だーなー
途中の街にて休憩をしていると、この近辺にお尋ねモンスターがいることがわかりました。
「ほうほう、『ギョギョギョ! シーラキング』という魚モンスターが見境なく船を沈没させて巡っているいると。ふーむ……」
よし、この私が対処して見せよう。賞金額1000ドルエンとかめちゃくちゃおいしいしねグヘヘグヘヘ。
経費で落とせそうなスキルジュエルと道具を買って、いざ巡視船へ。巡視船のお手伝いは常に募集しているそうですよ。
巡視船というのはモンスターやどう猛な生き物を倒したり、密猟を摘発したり。川の安全な利用を守るために存在する船です。
さて乗り込んだけど、やることないしお手伝いでもしますかねえ。
「いやー君みたいな人が一人いると凄い楽だね。どうだい、うちで働かないかい」
なーんて船長がおっしゃりますが、笑って誤魔化しました。
スキルって、強い。
交代で休憩に入って、しばらく経つと、急に船内が慌ただしくなってきました。ついに来たか!?
甲板に上がってみると、ギョギョギョ! シーラキングとの戦いが始まっていました! でけえぞギョギョギョ! シーラキング!! 4メートルくらいはあるんじゃないかな。
「戦闘部隊の部隊長さん、甲板に引き上げればうおっうおっになりますかね!?」
「多分そうなるが手段がないぞ! ジャベリン斉射!」
よし、じゃあ引き上げてみようじゃあありませんか。
私がおもむろに取り出したるは、『釣りセット』。うん、そう。
ギョギョギョ! シーラキングを釣りあげてしまうぜ作戦を決行する。
おもむろに針へイカという餌を通し、ぽちゃん。つーれるーかなー。
「おいおいおい、この状況で釣れるわけ――」
部隊長の声を遮るように――
「――ヒーット! シーラキングの子供かな。惜しいな。もういっちょ」
「ヒーット!」
「ヒーット!」
「ヒーット!」
「くっそー子供ばっかり釣れる。イカはギョギョギョ! シーラキングは食べないのかなー。サンマにしてみよう」
ヒーット!!
「デカいのきたぁ!! シーラキングとの戦いだぁ!!」
釣りあげようと糸を巻いては引き戻され、巻いては引き戻され。持久戦だね……。
グググ! グググ! グググ!
手に汗握る展開!竿よ持ちこたえてくれよー!
グググ! グググ! グググ!
ギョギョギョ! シーラキングが疲れてきて、ちょっと力が緩みスキが出た瞬間! これはチャーンス!
「一気に引き上げるぞー!」
ザッバァ!
「釣れたぁぁぁ!!」
「す、凄いな彼女は。よし刺し殺せ! 今がチャンスだ!」
部隊長の声が始まりとなって、甲板でうおっうおっしているギョギョギョ! シーラキングに次々と槍が刺さり。ギョギョギョ! シーラキングは絶命したのでした。
終わったー。
「あ、スキルジュエルドロップ2個もしてますね、これ欲しいので、ちょっと巡視船本部と交渉させてくださいね。賞金は、皆さんが目撃者ということで大丈夫かな」
「もちろんだ。ジュエルも巡視船みんなでお願いしておくよ。今日は本当にありがとう」
後日、スキルジュエルとお礼状そして賞金が私のところに届きました。
「ひゃっほう、これで借金消えるねーふひひ」
「らーめんそーめんそーめんらーめん……」
本日の踊りはラーメンとそーめん、どっちが強いかダンスだそうです。これを3歳のお子様に踊られちゃったら、顔にやけるしかないよねぇ。グフグフグフフ。
「ふう、これは潜水泳というジュエルでしゅ! 潜水は普通にスキルとしてありましゅが、潜水泳は潜水の豪華バージョンでしゅ。泳ぐ際の3次元機動が楽に行えるようになりましゅ!!」
「おー潜水して3次元起動ができるって素晴らしいね。」
「そーめんらーめんそーめんひやしちゅうか……」
今度はそーめんとラーメン。何が違うのでしょうか……
「これは伝達というジュエルでしゅね! 効率よくスキル効果を伝達できましゅ! 通常も全く伝わらないわけではないのでしゅが、これはすごく効率をあげてくれましゅよ!」
わーいわーい! お子様に大量のお菓子をプレゼントして意気揚々と帰りました。今回死者は出ませんでした!
――
レアスキル
中和Lv1
浮遊Lv1
伝達Lv1
潜水泳Lv1
身体能力向上Lv2
――
おっほっほ、組み合わせると面白くなりそうなのばかりだね。
さーて、オハゴーンへ『安全に』進んでいきましょうね。
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